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合唱活動を再開しよう

 この記事は「公民館は再開しているが、歌唱の利用は出来ない」という施設において、「歌唱を伴わない形(=学習形式)で、合唱団の活動を再開させること」は出来ないかを検討し、その内容の一例を提示するものです。
 この考え自体は多くの人が思い描くことでしょうが、それを文字にしている情報があまり見当たらないので、代わりに書いておきます。新規性・創造性のある内容ではありませんので、そこはご承知おきください。

業界ガイドライン

 5月25日に、国による緊急事態宣言の解除がされました。それを受けて、各都道府県はロードマップを定め、各業界ではガイドラインの修正が出されました。
 公民館は公益社団法人全国公民館連合によるガイドライン(pdfファイル)、劇場・音楽堂などは公益社団法人全国公立文化施設協会によるガイドライン(pdfファイル)があります。公民館や劇場・音楽堂はこのガイドラインに沿ってそれぞれの運用をします。そして、それを利用する私達は各施設の運用を尊重・遵守し、可能な活動を模索していく必要があります。

※他業種を含めた業界別ガイドライン一覧が内閣官房サイトにありますので、興味ある方はそちらも参照ください。

現状の公民館の様子

 私が合唱指導で利用している公民館(あるいはその近隣の施設)での利用制限などを調べていますが(東京・千葉・埼玉の一部地域です)、大まかな割合は下記のとおりです。

05%:公民館自体が再開していない
85%:公民館は再開しているが、歌唱の利用は出来ない
10%:公民館は再開しており、対策をしていれば歌唱利用も可能

 そこで、冒頭の内容を考えます。「公民館は再開しているが、歌唱の利用は出来ない」という施設において「学習形式なら良いのでは」と思い、ざっくりした内容を考えていきます。

合唱団での「学習」

 「練習中に先生の言っていることが良く分からない」という事があっても、全体の練習進行の妨げになりそうなので質問できない、そんな事も知らないのかと言われそうで恥ずかしい、という事態は良く聞きます。それを後で調べようと思っても、個人ではなかなか調べなかったり理解できなかったりします。そのような普段の練習では時間が取りにくい箇所をフォローするのに最適な期間となるでしょう。いくつかの例を挙げてみます。

(1)楽譜の読み方(楽典)
 最も想定しやすい内容でしょう。初級者の多い合唱団では、ドレミも分からないまま練習をしていることがあります。音の高さ・長さ・強さなど、基礎的な楽典の知識を底上げしておくことは、その先の合唱活動に大きな力となると思います。
 中級者で独習が難しいと相談を受けることが多い内容は「和音」と「移動ド」です。それは、自分のパートを固定ドで音取り出来たら合唱練習上ではそれほど困らない(満足している)、という中級者的な実情があって、これらの学習には「それを学んだ結果、合唱がより楽しくなる」といった報酬系の刺激が必要になります。指導者はそこ含めた学習体験を提供できると良いでしょう。

(2)指揮法
 合唱団員が指揮を振る必要はありません。指揮の見方を伝えましょう。指揮者が指揮をしている時に、そこにどんな意図があるのかを具体的に説明しましょう。「左手がこうなっている時は、皆さんに〇〇して欲しいことを示しています」などと言いましょう。これは、実際にある程度歌いこんである楽曲での例示がとても効果的です。
 指揮法を書籍を通じて学習する場合の問題点として、奏者が理想的な演奏をした際の指揮法しか書いていないという事があります。しかし、現実はそうではなく、目の前の理想的でない音楽への対処に追われます。例えば「曲中でテナーの音量が過度に大きい時」に「それを諌める指揮ジェスチャー」をご存知ですか。「ソプラノに、他のパートを聞いて欲しい時」「アルトにもっと情熱的に表現して欲しい時」「ベースのテンポがズレている時」に、指揮者が何をしているか知っていますか。指揮者の意図と団員の認識にズレはありませんか。

(3)指揮者による楽曲分析
 フレーズの頂点はどこにあるのか、ブレスの位置はどこにあるのか、特筆すべき和音進行はどれか。その楽曲全体に求められているものは何か。作曲家について、作詞家について、時代背景や様式感について。指揮者が楽曲をどう捉えてどういう表現を望んでいるのか、改めて確認する時間はとても有意義になりそうです。

(4)ピアノ演奏を単体で聞いてみる
 歌と一緒に演奏されるピアノの音楽性に関心がない人も少なからずいらっしゃいます。あるいは、関心はあっても実際の音としてピアノ演奏をそれ単体で聞いたことがない人も多いと思います。そういう人にとっては新しい体験になるかもしれません。
 そして、自分のパートとピアノの音形はどの様な関連性があるか、意識してアンサンブルするためには何が必要か、今までとは違った価値観が生じたら素晴らしいことです。
 また、合唱練習は指揮者が進行するスタイルが大半だと思いますが、ピアニストがどういう思いで弾いているのかを話していただくのも新鮮でしょう。(話すのが苦手なピアニストさんもいるので、要相談ですが)
 これは録音・録画でも可能ではありますが、生ならではの情報もほしいところです。指使い・息遣い・体使い、ペダリング、譜めくりタイミングなど、感じるところは多々あるかと思います。

動き出そう

 これらは一例なので、結局何でも構いません。場合によっては、顔合わせ&近況報告でも構わないのです。ただ「歌唱が出来ないから集まれない」という所にとどまらず、今の状況で出来ることを考えたいのです。

 一歩、動き出しましょう。

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