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魅力的な地域『鹿沼』から学ぶ地域創生

はじめに

鹿沼市って知ってますか?

栃木県に位置する鹿沼市は、東京から約100キロの距離にあり、東京周辺からは日帰りでも行くことができる場所に位置します。鹿沼市では、経済復興のために住民が事業を起こし、現在は市役所との連携を取りながら新しい事業に取り組み続けている地域です。

私は、大学3年の夏休みにゼミナールで、鹿沼市に実際に訪問し、何があるか知らないけど行ってみたらいいところがたくさんあり、とても楽しかった。そして行ってみないとわからない課題はたくさんあり、地域の現状・課題について知り、解決策を提案させて頂きました。その経験をもとに私の考える地域創生についてnoteを書きたいと思います。

1.地域創生とは

2014年、「地域消滅論」を発端に、立ち上がった地域創生案は、地方創生総合戦略なるものが策定され、2015年から全国各地で展開されている。その背景として、少子高齢化の進展、人口減少、産業構造の変化なと社会情勢が大きく変化していることが挙げられる。

1-1.地域消滅論とは何か

日本創生会議で座長・増田寛也氏が、2040年に若者女性の流出により、全国の896市区町村が消滅の危機に直面すると発表した。

この発表は、以下の原因から分析されている。

1つ目に、日本の人口減少による、極点社会化である。極点社会とは都市部に人口が集中し、国全体がどんどん縮小していく社会のことである。

図1 日本の人口の推移

出典:厚生労働省 日本の人口の推移「人口統計」

2つ目に、出生数の減少である。平成23年の出生率は105万698人で、前年より2万人強減少した。合計特殊出生率(一人の女性が平均して生む子供の平均)は、第一次ベビーブームをから低下し続け、2005年には過去最低の1.26になった。その背景として、第二次ベビーブームより下の世代の人数が減少していることの加え、35歳~45歳の女性の出産数の増加が挙げられる。(図3より第1子1出生時の平均年齢は年々上昇していて、平成23年では30歳を超えている。)そのため、出生率が上がってもす出生数が上がらず人口減少が進んでいく。

図2 出生数及び合計特殊出生率の年次推移

出典:厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計画(概数)の概要

図3 第1子出生時の母親の平均年齢の年次推移

出典:厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計画(概数)の概要

これらの要因から20~30代の若年女性の数が地域にとって必要である。人口移動による極点社会で人口移動を加味して計算した時に、若年女性の数が2010年と比べて半分以上に減る自治体を消滅可能性都市として全国の約半分に当たる869市町村ということである。

1-2.若者が都心に集まる原因

都道府県別に転入超過率をみると、都心が大幅に超過していることがわかる。また、東京圏を年齢別にみると15歳~29歳がとても多いことがわかる。

図4都道府県別転入超過数(2017、2018年)

出典:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 結果の概要

図5 東京圏の年齢5世階級別転入超過数(2017、2018年)

出典:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 結果の概要

図6 大学の学生地数地別シェア

出典:文部科学省「平成29年度学校基本調査」より大和総研作成

図6から、日本の大学生の2割が東京23区に、大学生の4割が千葉・埼玉・神奈川を含めた東京圏で集中していることがわかると同時に、東京に一極集中は大学生の進学から始まっていると考えることができる。

なぜ、このような人口移動や大学の集中はなぜ起きるのか?

首都圏は、最新情報サービス飲食店などが集まり、ビジネスにおいて最重要な”人・モノ・カネ”が集中しているためである。

1-3.地域創生 ≪施策≫

内閣官房・内閣府総合サイトは地域創生の施策として、まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」を打ち出した。

1.「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」
2.「地方への新しいひとの流れをつくる」
3.「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」
4.「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」

以上の4つの基本目標に向けた政策を進め、人口減少の克服、成長津づkwる力を身に着け、「活力のある日本社会」維持を目指している。

2.事業としての地域創生

2016年のNHKの調査で明らになったのが、内閣府が先進的と紹介する事業のうち目標を達成したのは28事業、全体の4割に満たなかった。木下斉の地方再生大全では、ネタの選び方、モノの使い方、ヒトのとらえ方、カネの流れの見方、組織の活かし方を体系化し、それぞれの成功例と失敗例から、成功する地域創生を提言している。28の事例から、木下氏は、地域創生は、内閣府の政策として今までと同じやり方ではなく、その地域に合うモノで、持続可能でお金を生み出し続けることのできる事業を行うべきと述べている。

私も、実際にゼミナールで訪れた鹿沼市で持続可能な事業を作ることの大事さを実感しました。

3.鹿沼市の取り組み

3.1 商業分野 ーネコヤド商店街ー

図7 事業所数・従業者数・年間商品販売額の推移

出典:鹿沼市商工会議所 中小企業庁

図8 事業所の現状

出典:鹿沼市商工会議所 中小企業庁

図7,8から、商業・サービス業の衰退が進行している。これに対し、鹿沼市に住む風間氏が作り上げたイベントが鹿沼市を盛り上げている。それは、ネコヤド商店街である。月に1回開かれ、自分のお店を開業したいと考える人たちが集まって実際にお店の出店を体験できるイベントである。鹿沼市外からも多くの人を呼んでおり、東京からは1000人近くものお客さんが参加する。2006年に路地裏で「ネコヤド大市」という名前でスタートし、その後規模を拡大させ、「ネコヤド商店街」という名前に変わっていった。現在、このイベントは休止となっているが、このイベントをきっかけに路地裏から地域が賑わい、出店者は自分のお店を持つ前に常連客を得ることが出来るといった、地域とイベント参加者の両方にメリットが生まれたことは確かである。
 このイベントが開催されるきっかけとなったのが「饗茶庵」だ。饗茶庵は風間教司氏が自宅を改装し、1999年に当時24歳で開業したカフェである。経営が安定してきた時に、もっと多くの人に来てもらうためにはどうすればいいかを考えたときに、たどり着いた答えが鹿沼という地域の魅力を高めるということだった。「地域に魅力があれば人は集まってくるし、そうすればこのお店にも人は来てくれる」。ただのカフェで終わるのではなく、「人が集まれる空間を作りたい」という思いのもとにお店を続けた結果、地域の人がお店に集まり始めた。次第に「これができる人を探している」「こういう企画をしたい」などの要望を持ったお客さんが集まり、お客さんが他のお客さんと情報を共有し、情報が集まる場所になった。
 次第に、饗茶庵を訪ねてくるお客さんの中に「自分もお店をやってみたい」と望む人達が出てくるようになった。饗茶庵を開業するにあたって周りの人や地域の人に助けられていたこともあって、自分も相談を受けたらしっかり対応をしたいという思いが風間さんにはあったという。風間さんはそういった相談を受けて、若者の起業家達の支援を始める。このような流れから、前述の「ネコヤド大市」が始まった。ネコヤド大市にたくさんの人が訪れ、路地裏が賑わうことで、出展者は自分のお店を持つ前に自分の常連さんを獲得することができる。風間さんは、鹿沼市内の空き家物件を開業志望者に紹介し、そこを開業の拠点とさせることで地域の魅力向上を図ろうと考えた。こういった活動によりネコヤド大市の近隣には新規起業を目指す多くのチャレンジ店が並ぶようになった。次第に15~30の店舗が参加するようになり、多い時には60店舗近くもの起業家が集まるほどになった。やがてゲストハウスなどの多くの開業の成功にも繋がっていき、2017年時点では、ネコヤド大市から独立して鹿沼市内に開店した店は5年間で15店舗ほどになっている。こうして、路地裏という新たな観点から人と人との繋がりが生まれていった。現在風間さんを中心に、起業支援事業や、町活性化事業を行っているのが鹿沼市である。

3.2 製造業

図9 鹿沼市の製造出荷額

出典:平成29年度鹿沼市統計書工業(平成28年経済センサス-活動調査)

鹿沼市は、以前は木工業や繊維産業中心だったが、鹿沼インターンチェンジの開業により、機械金属分野の企業誘致により、機械金属分野中心の産業構造となっている。

そこで、以前盛んだった木工業を復興することでさらなる経済発展や地域復興ができると考える。現在、鹿沼市の木工業は、東京などのデザイナーとコラボしたり様々な取り組みをしているが、課題は”売り方を知らない”という点だった。そこで、銀座・有楽町といった地方アンテナショップの集まる地でアンテナショップを出店することや、点々とある木工業者を集めて情報発信を可能にするプラットフォームの提案を行った。

3.3 地域の人が取り組みたいこと=成功する

訪問して、現状を知り課題を提案したが、地域の人しか知らない課題や現状があり、実際に事業に取り組んでいくのはそこに住む住民であると改めて実感したため、地域創生はつねに地域発信でないといけないと考える。地方創生大会の木下氏や鹿沼で利を生み出し続ける風間氏の言うように持続可能な事業が成功するため、事業の提案をするときにはその地域の方・従事者の方が続けていきたいと思える提案をするべきだったと反省した。その経験から、地域創生とは地域がやりたい・こうしたいという意思を掻き立て、利を生み出し続けることで、元気な地域の実現が可能になると私は思う。

終わりに

今、注目されている地域創生は、様々な法則ややり方・事例があるが、それをそのまままねるのではなく、その地域1つ1つに合った方法をその地域の人がやりたいと思うことで行うことで魅力ある地域の創造が可能だと思う。だからこそ、国と共に日本に住むすべての人が身近な課題を見つけていくこと、解決していくことができたらいいと思う。しかしそれは難しい。課題を発信する人と解決従事者を結ぶプラットフォームなど作ってみたら面白いのかなとこのnoteを書き終得てから思ったのでそれに関して12月中に考えてみたいと思う。

★ちなみに鹿沼市では、10月にユネスコ無形文化遺産である彫刻屋台の鹿沼秋祭りが開催されていたり、通年を通してサイクリングサービスや、鹿沼蕎麦や、鹿沼ブランドのイチゴ、などたくさんのサービスや食べ物があり、1日で非日常を味わうことができるので気になった人はぜひ行ってみてください!★

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