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太平洋岸自転車道を走ってみた話。 #10

10日目

もう10日も経っているというのがヤバい。予定よりも遅れている。
本当ならばそろそろ終盤にかかっているはずなのに、まだ静岡にいる。 

雨のせいでモタモタしていたのと、スマホが水没してやる気を失っていた。
今日は天気も持ちそうだし、気持ちを切り替えて急がねば。

浜松まで行けたらいいな。

まずは昨日行けなかった焼津を目指す。
水産加工品の作られる様子が見れたらベスト。

静岡市の後半から、急に道が普通の車の道じゃなくて自転車道になった。
車を怖がらなくていいのがすごく快適。ただ、草とか砂とか色々落ちてるけど。
ここに来てやっと自転車道らしくなってきたか。 

鯖節の加工工場


焼津に着く。
一つ目の店に行くと、何ものぼりとかが無い、ただの工場。

鯖が流されるところ


隙間から「営業中・ご自由に入ってください」というのだけ見えたので、中に入る。
他にお客さんもいないので、不安になる。
来るとこ間違えたかな。

チビた魚が積まれている


奥に人がいるけど、仕事をされている様子。
入ったらいけないだろうか?
一度不安になって出ようとしたが、もう一度覗いてみると、魚を仕分けしている。

勇気を出して「見学してもいいですか?」と聞くと、どうぞ、と答えてくれた。
わけわけしている様子や、中の様子をゆっくり観察する。

何人かのおじさんたちが、手作業で小さい魚を分けている。

しばらく見ていると、一人の優しそうなお兄さんが、「簡単に説明してあげる。」と言って工場内を説明してくれた。
なんて優しいのだ。

ここの工場では、鯖節というものを作っている。
鯖を運んだり、湿気を取ったり、匂いを取ったり、色んな工程を経て鰹節みたいにしていく。機械の説明をたくさんしてくれた。

これは匂いを飛ばすところ


残念ながら今日は鯖が取れなかったらしく、実際に動いている様子までは見られなかったが、お兄さんがわざわざ説明してくれたことがとてつもなく嬉しかった。

鯖節飲んでみたいな。
鰹節よりも甘いらしい。気になる。 

もっと先へ行くと、工場見学もできる店があるよ、と他の店のことまで教えてくれた。
いい人すぎる。

自転車で千葉から来ました、とか色々話をし、教えてもらった店に向かう。

急に行ったのに、優しく教えてもらえてすごく嬉しかった。

教えてもらった店では、さすがに当日いきなり見学はできなかった。残念。
また来てみたいな。
商品も美味しそうだった。

工場見学は、出来たのかどうか怪しいが、時間もあるし今日のノルマはこれで達成出来たことにする。

急いで浜松へ向かう。
これ以上のんびりしていられない。

これはなんですか?


途中、御前崎というところに寄り道してご飯を食べる。
海鮮を食べたが、何の魚か分からなかった。
聞けばよかったな。
多分鰹。

登れる灯台があるらしい。
せっかくなので行ってみる。 

ここに至るまでにも、たくさん灯台を通ってきていた。
しかし、初めのところがすごかったので、いっぱい見るとその凄さが薄れる気がして、あまり行かなかった。
次機会があれば、行っていない灯台に訪れてみたい。

灯台は元気出るね


御前崎の灯台は、静岡の南端なだけあって、眺めがとても綺麗。
なんか灯台ってワクワクする。
登れる灯台は、全部で16基。
いつかコンプリートしてみたい。

これぞ太平洋岸自転車道


道中は、海岸沿いに自転車道が通っていた。右手にたくさん立っている風車。
左手に広い、荒っぽい波が打ちつける海。
どこまでも続く道。
周りには誰もいない。

どことなく北海道を思い出す。
壮大で、静かで、美しい景色。
来てよかったな。

自転車道は工事のため、何度も迂回しなければならなかった。
その度、曲がり角の印を見失っては、迷子になりかけていた。

また、一度だけ砂浜の近くの道で、砂にタイヤを滑らせて危ないタイミングがあった。
ギリギリこけなかった。

今のところ、今回の旅ではまだこけていない。
順調。
それが普通だけどね。

昨日までと打って変わり、気温がとても高く日差しが強い。
これはこれで違ったしんどさがある。

しかも、今日の走行距離が思いのほか長い。
だからか、後半にかけて体がハイになっていくのが分かる。 

昔からだが、自分は後半にかけて尻上がりに調子が良くなるタイプである。
おいこまれ追い込まれれば追い込まれるほど、キツくなればなるほど調子が出てくる。
ここまで来ると、キツイけれど気持ちがいい。

毎日これだけ走ると疲れるけれど、たまにはいいね。
暑いので、何度もコンビニで休憩した。 

最初は、炭酸ジュースを飲んだり、アイスを食べたりしていたが、今日は本格的に暑い。
水分をまともに取らないと死ぬ。

ジュースではなく、スポドリをガンガンに摂取する。体に水分が巡っていくのが分かる。

炭酸だと途中でお腹がいっぱいになるが、スポドリだとゴクゴク飲み切れる。
スポドリ様々だな。

何度も休憩をしながら、浜松まで着くことができた。

途中の道では、カニさんが何匹も私にアタックをかけてきた。
もうちょいよけてくれんか。
轢いてないといいけど。
では、また明日。