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逆噴射小説大賞2019感想戦その2

 逆噴射小説大賞の7~12本目のライナーノーツでございます。(1~6本目はこちら)弾もぼちぼち尽きるかと思いきや、まだまだ乱射をしております。この前文テキストを書いてるのは、14日なので、現状、記事を埋めれるのは二作だけなのですが、もう18日分まで書いちゃってるので、枠だけでもとって投稿しておこうかなと。

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【191013】模型楽団の夜(没作-5)

 ディザスター怪奇譚。なんとなくそれっぽい題名を先に考え、そこから内容を膨らますと言う完全なタイトル先行型。その問題のタイトルですが、投稿してから気が付いたんですが、これはもう完全に中島らもの『人体模型の夜』にひっぱられてますね。怪異のルールを探り出してゆく系の作品がとても好きでして、そういう意味でもリスペクト元は『コワすぎ!』と尾籠先生の短編集群と言ったところでしょうか(なんかもっとたくさん観た読んだ記憶があるはずなのに、ここ五年くらいで観た読んだものしか思い出せなかった)。内容を詰めて、この変化球な様式に落としこんだところ、なんだか怪獣映画みたいになってしまったのが、ちょっとおもしろかったです。

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【191014】竜切り華五郎の余生と今後(投稿作-3)

 和風人切りファンタジー。今回の逆噴射小説大賞用に書いた作品は、事前にめちゃくちゃ練って本文もすげー時間かかった奴と、ぱっと思いついてぱっと書いた奴の二通りがあるんですが、これは明確に後者ですね。翌日投降のカニサムライが典型的な前者であり、三日くらいかけて準備してたんですが、どう考えてもこっちの方がおもしろいので、こっちを投稿作にしました。時代劇で被っちゃったし。憎らしい。リスペクト元は『悪の教典』と『ヒトごろし』。『ヒトごろし』はマジで最高の人切りクズ野郎小説なんでみんな読んでください。あと、淡々とした性格なのに妙な愛嬌があるキャラが好きなので、華五郎くんにうまくそれが出てたらいいなと思いました。この影響は森博嗣ですね。ゼンくんとか海月くんですね。私の小説は森博嗣の影響がデカすぎる。

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【191015】短尾無双アフターマン(没作-6)

 甲殻類SF時代劇。ある日、意味もなくwikipediaで蟹のページを眺めていたとき、「十脚目短尾下目ってなんか時代劇みたいだなあ」と思いました。ライナーノーツは以上です。(以下、補足)そこそこの時間をかけ、結構納得のできる出来に仕上がったので本戦投稿用にストックしていたのですが、前日にぱっと思いついてぱっと書いた「竜切り~」の方が普通におもしろく、泣く泣く没にする羽目に。比べると、どうにも物語としての身が詰まっていないというか、甲羅もといテンプレをなぞっただけで、スパイスは効いているけど腹は満たされないなと。かわいそうなカニサムライ。リスペクト元は筒井康隆の短編(具体作はなし)と、『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』。あと、タイトル画像の出来は文句なしの自己ベストです。自分でも観るたびによいバナーすぎてビビる。なんで……?

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【191016】探偵葬儀(没作-7)

 非本格本格推理小説。完全に趣味の産物。「私の好きなミステリ」という考えを、何も落とし込むことなくほぼ未調理のまま出したそのまんまな内容。父・姉・弟というキャラクター設定がもたらす、登場人物の関係性により、かろうじて小説っぽく見えてはいるものの、これはもうほとんどむき出しの設計図、「僕の好きなミステリ」というタイトルで書いたnote記事とほとんど変わらないものであって、まあ、あんまりこういう姿勢で小説を書くのはよくないのかもしれませんが、はなからボツにするつもりで書いてます。でも、自分な好きなものを、そのまんま模写するというのはやっぱり楽しいわけで、一作くらいこういうのを書いてみるのも心の健康にいいですね。リスペクト元は、全部です。あと、タイトルになんか既視感があったのですが、あれですね。清涼院流水先生が原作の『探偵儀式』ですね。

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【191017】偶然は妻を象って僕を呼ぶ(没作-8)

 〈妻三景〉その2。コンセプトは、幽霊の出てこない幽霊小説、枯れ尾花だけでできたホラー。リスペクト元は『豆腐小僧双六道中』。京極小説って、妖怪やら幽霊やら一切出てこないのに、妖怪小説だったり幽霊小説だったりするのが凄いですよね。タイトルは『装って』か『象って』かで最後まで迷いました。前者の方がわかりやすくありますが、偶然に意思がないことが肝であるため、後者をとりました。文字列のビジュアルイメージ的にもこっちの方が綺麗な気がしますし。重要なのは、それが実在することではなく、それが実在したことで及ぼす影響であり、その影響を完全に再現できれば、それが実在せずとも、実在したのと同じことである、というのは『ニンジャスレイヤー』っぽくあるかもですね。

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【191018】気になるあの娘は反魂香(没作-9)

 新青春エンタ、あるいはガールミーツコズミック。これまた見事なタイトル先行型。とにかく「気になるあの娘」ってフレーズを使いたかっただけです。相対性理論にそんなタイトルの曲がありませんでしたっけ? 勢いだけで書いているので、最初は正体が死者だったはずの語り手が生者になり、最後になぜか概念存在になりました。あと、主人公の概念王子様御手洗くんが言う理屈が正しいなら、ハレー彗星や天動説なども生殖能力を先天的に持つ生物に変じていないとおかしいような気がします。リスペクト元は今は亡き、新青春エンタというジャンル。でも書いたらなんか別物になりました。英題は『好き好き大好き超愛してる。』(何度みてもすげえタイトルだ)の英題、LOVE LOVE LOVE YOU I LOVE YOU!(❤❤❤UI❤U!)からです。愛は祈りだ。死者に祈る。❤❤❤☠❤☠❤!