【忍殺】メディアミックスの好きなやつ
先日、キルズのガントレット最高なんすよ~ってnoteを書きながら、メディアミックス各作品で一番好きなエピソードはどれかな~って考えてたんですけど、原作の好みの大小と必ずしも一致しない結果になり、なかなかおもしろかったので書き残しておきます。
👺無印
「アトロシティ・イン・ネオサイタマ」です。これは迷わず決まりました。正直に告白しますが、私、ラストガールあたりまでそこまで無印好きじゃなかったんですよね。画は素晴らしいと思うのですが、地の文演出がどうにも漫画に溶け込んでいない気がして、漫画なんだからもういっそ地の文全部省いた方がいいんじゃないか~とか思ってたんですよ。その舐めた批評家野郎の顔面をぶん殴ってくれたのが、無印アトロシティにおける「ヤバレカバレだ」からの一幕でした。タロの克己、ニンジャスレイヤーの決断、ガスバーナの悲劇と、ハイテンポな進行の中でその熱を冷まさぬよう、それどころか火をくべるよう、ただの文字による説明ではなく強烈な漫画の演出として差し込まれる地の文。忍殺を漫画に翻訳するとはこういうことだったのかという衝撃が無印アトロシティにはありました。
💛グラキラ
「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」です。ストーリーの再解釈という点で恐ろしいほどの完成度を見せるグラキラですが、その中でもサツバツナイトで語られた「ヒュージスリケンとアースクエイクの物語」はやはり極上の出来映えと言えるでしょう。媒体を変え、次元を超え、何度も何度も繰り返し遊ばれた「でかいニンジャのトイ」と「でかいスリケンを持ったニンジャのトイ」のブンドドの総決算。バラまかれた断片を意味づけによって結び付け、文脈をより上げ、一つの物語として編んでみせたこのメディアミックスの在り方は、今思えばヒュージスリケン版ネヴァーダイズと言えるのかもしれません。
🌳キルズ
「ジ・アフターマス」です。以前の記事にも書いた通り、バキバキに作りこまれたガントレットのギミックも最高なのですが、この時点において原典では「ヒロイン」という記号でしかなかったユカノへの魅力的なキャラ付け、得も言われぬ滋味と奥ゆかしいカワイイを秘めたガントレットとセンチピードのコンビ等々、多くの点で見逃せない一話になっていると思います。……ぶっちゃけますけど、「ジ・アフターマス」に限れば、原作よりキルズバージョンの方が私は好きです。一頁余さず、少年の心がかきたてられるんですよね。「イクサが熱く、かっこいい」、それが全てです。
🐻オーディオドラマ
「デス・フロム・アバヴ・セキバハラ」です。幼少期に落語ばっかり聞いてたので、こういう音で語る系のフィクションには親しみが深く、三部エピとかもっといろいろ出してほしいな~って常々思っています。セキバハラはイグゾーションとのイクサ描写がやはり凄い。緩急巧みな語りによって、まんまと手に汗握らされてしまいます。しかし、耳からの入力のみによって「アクションシーン」を脳裏に浮かばせるのって、相当難しいんじゃないでしょうか。視覚媒体→聴覚媒体と変換する上での言葉のチューンナップという点でも秀逸ですが、何よりゴブリンさん他アクターたちの語りの技量が凄まじい。ブッダスピードとかも聴いてみたいなあ。
💀アニメイシヨン
ラストガール以外全部好きです。それでは成立しませんね。でもこれちょっと選べなくないですか。心揺さぶられ燃えるのと同時に笑い転げてしまう忍殺独特の読み味を映像媒体で完全に表現してみせた最終回も素晴らしいですし、激烈なテンポと絞り込まれたシヨン表現により異様な熱を帯びたイクサ描写を完成させたマシンも好きですし、シヨンにおいて「しっとりしたストーリー」をどう表すかという難題に見事正解を示してみせたスワンソングも好きですが……やはり、「ボーン・イン・レッド・ブラック」でしょうか。シヨンは、音楽と映像とストーリーの相互演出がとても巧みだと思うのですが、この第一話は三者いずれもが主役として並び立っているという点で、最高の完成度だったと思います。すなわち、音楽を映像とストーリーがひきたて、映像を音楽とストーリーがひきたて、ストーリーを音楽と映像がひきたてている。音楽作品であり、映像作品であり、物語であり、その全てが「ニンジャスレイヤー」を表現している。「ニンジャスレイヤー」が、三位一体の「アニメイシヨン」として結実している。あの一話を観返す度に感じるニンジャスレイヤーの表現物として「完全さ」(完全な物語を否定する忍殺に対し、「完全だ」という称賛はズれているのかもしれませんが……)、それに対する猛烈な感動は、未だにどうにもうまく言葉にすることができませんが、無理に綴るのならばこんなところでしょうか。
🎶未来へ……
ハリウッド実写化はまあ当然として、ミュージカルとか観たいですよね。ミュージカル回もありますし。お話の途中でフユコ~♪ トチノキ~♪ おお~♪ と突然歌いだすフジキドが俺は観たいんだ。