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【忍殺】だがこれは本編とは大きく関わりの無い鈴木である

 ガイオン・エクリプスおもしろかったですね! 連載開始が2017年の11月末ですからおおよそ半年にわたる長期連載だったわけですか。ニンジャスレイヤープラス全体では、ザ・グロウ、デッド!デター・ザン・デッド!に続く長編作品の完結になりますね。短編もいいですが、半年~一年ペースの連載エピソードがあるのは、twitterではなく文芸雑誌のテンポに近く、個人的にはとても新鮮で好もしいです。コヨミの魔術により召喚されし黒鳥居、ゆるふわコミックと書籍エピソードに結びつくマニアックさ、語る「小説家」と語られる「探偵」が相互影響しあう関係性、シキベとガンドーが担う創作と推理の間で揺れる不完全な「名探偵」役、メガネそばかす芋娘コートアンドロイドと三本足のおっさん烏というデザインが百億点満点なこと、ハルピュイアがえろかった話など語りたいことはたくさんありますが、それらはとりあえず脇に置き、これは本編とは大きく関わりのないスズキ・マトリックスの話です。あと金剛寺さんは面倒臭いは最高の漫画なので各自読んでおくように。買え

 二人の探偵の物語の登場人物ではない、ユンコやアズールが彼らの物語に大きな影響を与えているのめっちゃいいよねって話です。思えばニンジャスレイヤーだってそうですね。ユンコの青春譚も、ニンジャスレイヤーの復讐譚も、二人の探偵のリブートストーリーと関係する物語ではない。ユンコに至っては、ガンドー・シキベのストーリーライン上で名前すら出ることがありません。プレイヤー(主人公たち)が冒険するステージの外側にもオブジェクトが配置されており稼働しているということに感動するのです。そしてそれは触れられぬほどに遠く離れた位置からも、因果を連鎖させ今ここでの出来事に確かに影響を与えているのです。これはまさに、無数のストーリー、無数のジャンルが、互いに対立し矛盾し合流し別れながら語られる『ニンジャスレイヤー』という作品だからこそ創造しえた「世界の豊かさ」「情報量の多さ」であり、第三部ネヴァーダイズによる全世界全ジャンル全物語の混交を得たからこそ書き得たものと解釈することもできるでしょう。複数の物語の並走はトリロジーで終わり、AOMでは互いに断絶する小世界がぐちゃぐちゃに重なり配置されている。ケオスの時代。コトダマの時代。そこでは、全ての情報を含まない不完全な因果の連鎖が物語として筆記されている。カートゥーンの探偵という虚構を担うニンジャ・ガンドーが、「カートゥーン」だけを抽出され、バグってアニマルカートゥーンになりカラスになるのとかまさに第四部だなあって思うのでした。ディテクティブってニンジャネーム、たぶん今は文字化けしてるんじゃないかな。