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ネクロ13

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小説。いい加減で雑で適当な街で、死体たちがドロドロでぐちゃぐちゃ。
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〈ネクロ13〉シリーズ 目次

【ネクロ13とは?】・小説です。 ・暴力的です。 ・舞台は、不死者たちが暮らす街・臓腐市で…

necro5:サザンカは焼肉が好き

◇◇◇ 「グンジ室長、今日は随分お早いですね」  腑分け台に反吐をぶちまけたような臓腐市…

NECRO5:動物大集合(4)

【(3)より】 ■■■  真白の屋敷の主と私兵、筋金入りの犯罪者2人、ヒトならざる現象の受…

NECRO5:動物大集合(3)

【(2)より】 ■■■  皿は骨でできている。ナイフも、フォークも、テーブルも。乳白色の…

NECRO5:動物大集合(2)

【(1)より】 ■■■  「島」にあるものは、無色と繰り返し、それだけだった。空が見えて…

NECRO5:動物大集合(1)

■■■  肩甲骨を断ち割って、鉄の翼が火を噴いている。タキビは不死者であり、その肉体も樹…

necro12:骨とけものと家族たち(後編)

【前編より】 ◇◇◇  通された果物屋の2階は狭く、窓からは小さく切り取られた通りが見えた。夕暮れを過ぎ、暗闇が立ち上ってゆく中で、肉肥田商店街のアーケードが落とす日陰は既に夜に薄れて消えていた。店主たちはその中を鼠のように駆け回り、店頭に並んだ商品と、盗みを働こうとした不届き者の死体を片付けている。四肢を切り取り、上顎にフックを刺し、吊るす。店頭に鈴なりぶら下がった死体は、殺された当人たちが自分の肉体を買い戻すための目印になるに違いない。 「おら、やるよ。ご苦労さん」

necro12:骨とけものと家族たち(前編)

◇◇◇  皿は骨でできている。ナイフも、フォークも、テーブルも。乳白色の朝日が窓の桟で遮…

NECRO4:市役所へ行こう!(4)

【(3)より】 ■■■ 「起き上がりの原理について、おさらいしましょう。肉体が致命傷を受…

NECRO4:市役所へ行こう!(3)

【(2)より】 ■■■  喋り方で誤解されがちだが、ヒパティの知能は低くない。少なくとも…

NECRO4:市役所へ行こう!(2)

【(1)より】 ■■■  臓腐市庁舎はとてつもなくデカい。そのデカさは市役所の権威の象徴…

NECRO4:市役所へ行こう!(1)

■■■  生き腐れの不死者共を無節操に詰め込んだこの街は、どこもかしこも混んでいる。棺桶…

necro0:深海博愛(後編)

【(中編)より】 ◇◇◇  〈蛸〉の残骸が活性化したという一報を受けた瞬間、タマムシの前…

necro0:深海博愛(中編)

【(前編)より】 ◇◇◇  ネアバスは己を手足と考える。与えられた仕事は2つ。市民の避難誘導と、指示変更を受け取れるよう通信回線を空けておくこと。前者の采配は明らかなミスで、誘導位置に立ってから数時間、ネアバスは市民を1人も見ていない。動線から外れた地点が誤って割り振られていたのだろう。こういった無為な仕事は好もしい。手足は思考せず、ただ脳と脊髄に従って動作するだけであり、是非を問わない。それは永遠を生きる上での自分の理想像だった。  ただ、2つ目の仕事である『通信回線