necro12:骨とけものと家族たち(後編)
【前編より】
◇◇◇
通された果物屋の2階は狭く、窓からは小さく切り取られた通りが見えた。夕暮れを過ぎ、暗闇が立ち上ってゆく中で、肉肥田商店街のアーケードが落とす日陰は既に夜に薄れて消えていた。店主たちはその中を鼠のように駆け回り、店頭に並んだ商品と、盗みを働こうとした不届き者の死体を片付けている。四肢を切り取り、上顎にフックを刺し、吊るす。店頭に鈴なりぶら下がった死体は、殺された当人たちが自分の肉体を買い戻すための目印になるに違いない。
「おら、やるよ。ご苦労さん」