よくある質問と回答の部分を書きました。

「うまくいくコミュニケーションのコツ」のお話をしたときの代表的な質問についての回答を書きました。
3,872文字でした。

あとは、「おわりに」と「著者

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第7章 よくある質問と回答

質問1:「私はあなたの味方ですよ。」のメッセージを伝えているのですが、うまくいきません。

「私はあなたの味方ですよ。」というメッセージを伝えているのですが、相手がPs−fを開いてくれている感じがしません。

どうしてでしょうか? どうしたら良いのでしょうか?

<ここから回答>

「私はあなたの味方ですよ。」のメッセージを伝える方法には、2つあります。

1つは、言葉で伝える方法です。

「私は、いつもあなたの味方だからね。安心して、何を話してもいいんだよ。」

などと言葉で伝える方法です。

この言葉を使うコミュニケーションのことを「バーバルコミュニケーション」と言います。

もう1つは、言葉以外の表現で伝える方法です。

身振り手振りや姿勢・表情、声のトーン・大きさなどの表現で伝える方法です。

この言葉以外の表現でのコミュニケーションのことを、バーバルコミュニケーションに対して、「ノンバーバルコミュニケーション」と言います。

相手にメッセージを伝えるときには、バーバルの部分よりもノンバーバルの部分の方が重要なのです。

どんなに言葉で「あなたの味方だよ。」と伝えたかったとしても、顔が怒っていたり、背中を向けていたり、大きな声で怒鳴るように言っていたりすると、伝えたいことは伝わりません。

このことは、アメリカの心理学者である、アルバート・メラビアン博士が心理実験を導き出したメラビアンの法則というもので説明されています。

「言っている言葉」と「その言葉の言い方(声の調子)」と「表情」の3つの要素が、伝わることにどれだけ影響があるのかを実験したものです。

結果は、「言っている言葉」:7%、「その言葉の言い方」:38%、「表情」:55%だったのです。

バーバルで伝わるものはたったの7%という結果だったのです。

言葉だけでどれだけ想いを伝えたとしても、ノンバーバルの部分が伴っていないと伝わらないのです。

質問者さんの場合、ノンバーバルでの「私はあなたの味方ですよ。」の表現を工夫・改善すると良いのかもしれませんね。

質問2:ペーシング・ミラーリング・バックトラッキングをしているのですが、うまくいきません。

一生懸命、ペーシング・ミラーリング・バックトラッキングをするのですが、相手がPs−fを開いてくれている感じがしません。

どうしてでしょうか? どうしたら良いのでしょうか?

<ここから回答>

実はこれ、ペーシング・ミラーリング・バックトラッキングの3つのテクニックを学んで、実践し始めたころによくあるお悩みなんです。

一方で、私はコミュニケーションに関するセミナーに参加したり、開催したりする立場なので、次のような残念なご意見を聞くことがあります。

「ミラーリングやペーシングをされているのが、わざとらしくて気になってしょうがない。」

「気になりすぎて、話が入ってこない。」

「ミラーリングやバックトラッキングをされ過ぎて、不快感さえ覚える。」

などというものです。

3つのテクニックを使う側も使われる側も困っているという状況です。

では、この3つのテクニックを使うことは間違っているのでしょうか?

そういうことではないんです。

これらのテクニックは、相手のPs−fを開いてもらうための手段です。

しかし、特に3つのテクニックを学んで、実践し始めたころには、これらを使うことに夢中になり、使うことが目的になってしまうことがあるのです。

目的は、相手のPs−fを開いてもらうこと。

3つのテクニックを使うのは、そのための手段に過ぎません。

目的と手段を混同してしまってはいけないのです。

残念なご意見が出てしまうということは、目的に逆行している証拠です。

基本に立ち戻って「うまくいく原則」を思い出してください。

うまくいっているか、そうでないかを見極めるための観察力と

うまくいっていなければ、工夫・改善する柔軟性を駆使して、効果的に相手のPs−fを開いてもらえるようになったら良いですね。

質問3:相手にPs−fを開いてもらえたはずなのに、うまくいきません。

相手にPs−fを開いてもらえたはずなのに、その後のコミュニケーションがうまくいっているような気がしません。

どうしてでしょうか? どうしたら良いのでしょうか?

<ここから回答>

これは、「一度相手にPs−fを開いてもらえたら、それでOK」と考えてしまっている場合に起こります。

相手には、いつでもPs−fを開くことができるのと同じように、いつでもPs−fを閉じる自由があります。

「コミュニケーションはキャッチボールだ」という喩えは、どこかで聞いたことがあると思います。

せっかく開いてもらったPs−fを、閉じられてしまわないように、相手とのキャッチボールの最中、次のことができているか振り返ってみてください。

1.キチンと向き合っているか?
2.相手が投げてきたボールを投げ返しているか?
3.相手が捕れない・捕りたくないボールを投げていないか?
4.相手に受け取る準備をさせているか?

順番に見ていきましょう。

1.キチンと向き合っているか?

キャッチボールは2人が向かい合ってするものです。

相手を見ていなければ、相手がボールを投げてきていても気づかなかったり、受け取れなかったりします。

相手を見ていなければ、相手が捕れるようなボールを投げられません。

コミュニケーションの場面で言えば、パソコンやスマホ、テレビなどに目を向けたまま返事をしたり、話しかけたりしていませんか?

これでは、相手の様子を観察できないので、うまくいく原則を実践できませんよね。

2.相手が投げてきたボールを投げ返しているか?

相手が投げてきたボールを捨てて、違うボールを投げ返していませんか?

例えば、野球ボールを投げてきた相手に、サッカーボールやラグビーボールを投げ返していませんか?

これでは単なる嫌がらせに過ぎません。

相手が投げてきたボールをしっかり受け取って、そのボールを投げ返すのがキャッチボールです。

コミュニケーションの場面で言えば、相手の投げかけ・問いかけを理解して、その背景なども考慮した上で、その答えを返していますか?

聞かれたことの返事ではなく、自分が話したいことだけ話していないですか?

多く見られる例として、

「そんなことより、あの件はどうなっている?」

というようなものがあります。

3.相手が捕れない・捕りたくないボールを投げていないか?

相手にまで届かないボールや逆に剛速球を投げたり、相手の手が届かないような暴投をしたりしていませんか?

コミュニケーションの場面で言えば、相手が知らない話や理解できないようなムズkさ良い話をしていませんか?

相手を傷つけるような暴言や妄言を吐きつけるようなことをしていませんか?

4.相手に受け取る準備をさせているか?

相手がグローブを着ける前に、ボールを投げていませんか?

ボールを投げる前に、グローブを着けるように言って、着けたことを確認しましょう。

コミュニケーションの場面で言えば、相手を傷つけないようにと気を遣いすぎてしまい、伝えなければいけないことまで伝えられないのも問題です。

伝えようとしなければ、相手に伝わることはありませんから。

このようなときは、言い方・伝え方を工夫してみましょう。

私のオススメは、クッション言葉のようなものを付けて、相手に受け取る準備をさせてから伝えることです。

クッション言葉のようなものの例として、

「言いにくいんだけど、大事なことがあるの。言っていい?」

と了解を得てから言うとか、

「こんなことを言うと、怒らせちゃうかもしれないけれど、そういうつもりではないことは分かってね。それじゃ、言うね。」

などはいかがでしょうか?

ここまで丁寧でなく、

「言いにくいんだけど、大事なことだから言うね。」

「こんなことを言うと、怒らせちゃうかもしれないけれど、言うね。」

でも良いかもしれません。

「怒らせちゃう」の部分は、「嫌われちゃう」「落ち込んじゃう」など、他の言葉にも置き換えて使えます。

このようなクッション言葉のようなものを挟むことで、言いにくいことを言おうとしていることが伝わります。

怒らせることが目的ではないことが伝わります。

相手の聞く準備、心の準備ができます。

とはいえ、クッション言葉を挟んだからといって、怒らせること、嫌われること、落ち込ませてしまうことなどを、必ず回避できる・確実にうまくいくとは限りません。

ただ、試行錯誤を繰り返していくことで、あなたのコミュニケーション能力の向上、そして、うまいコミュニケーションができる環境が出来上がっていきます。

そして、あなたが言いにくいことを、言いたいことを言うだけでなく、相手にも言いたいことを言う機会を作ってあげましょう。

相手が何かを言いたそうな感じなのに、言わないなぁというときや、相手に何か考えていることがありそうだと感じたときには、

「今、何か言いたいことがあるでしょ。そのまま口に出して言ってみて。」や「今、何か考えていることがあるでしょ。そのまま言ってみて。」と促してみましょう。

「そのまま言ってみて」というのがポイントです。

どう言ったら良いのか、何と言えば良いかを考えているうちに、言うタイミングがなくなってしまわないようにしてあげてください。

相手のまだ言葉になっていない気持ちや意見が聞けるようになります。

これを繰り返していけば、よりうまいコミュニケーションができる環境になっていくでしょう。
(相手の様子に気づくためにも、観察力が大事なことが分かりますね。)

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