三刻構想と時計の文字盤(お題箱から)
※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。
頂いたお題はこちら：
ものあし様、こんにちは！以前、敦と夏目先生の変身する異能力について送らせて頂いた者です！新しく考察(疑問点)が生まれたので送らせて頂きました！
ドストエフスキーが(本編軸)三年前にシグマは、『本』の書き込みによって生まれたと話していました。恐らく特務課が保管していた『本』の頁とはまた別物だと思います。
またドストエフスキーは『探偵社設立秘話』にて夏目先生を探していました。こういった事からドストエフスキーは夏目先生が『本』の居場所を知る(もしくは所持者を知っている)と考えているのだと思います。
だとすれば、ドストエフスキーがシグマを生み出した『本』の頁はどうやって手に入れたのでしょうか。
それに夏目先生が関わっているのではないかと思います。
夏目先生が世界線を突破して、ドストエフスキーに頁が渡るように(もしくはシグマを生み出すために)仕向けたのではないかと思いました。
また本編では天人五衰編以降、三毛猫(夏目先生)の姿を見かけません。(間違ってたらすみません……。)人々が吸血鬼化し、世界が大変なことになっているにもかかわらず、今回の事には関わっていないように思えます。(もしかしたら影で動いているのかもしれませんが……)
ある意味今回の天人五衰編で、夏目先生は傍観者の姿勢を取っています。もしかしたら太宰のマフィア移籍説、福沢が探偵社の社長の引退説、マフィア・探偵社の再建などの今後の伏線に関わるのではないかと思います。
また織田作がミミックとの戦いで亡くなったのも、間接的に夏目先生が関わっています。また太宰がマフィアに在籍した際も三毛猫として登場していました。
12巻にて、探偵社の社長・福沢とマフィアの首領・森さんの事を夏目先生は『面倒な奴等』と評していました。夏目先生は今現在の決別した探偵社とマフィア(と特務課)の関係を良く思っていないように感じました。
今後、探偵社とマフィアの仲直り？(敵対関係)の修復に夏目先生は関わってくるのではないかと思いました。(太宰のマフィア移籍に一番反対しそうなのは敦なので、彼と夏目先生が本格的に関わるのかも？もしくは敦が動くように仕向けるのかも？)
長々と失礼しました。よろしくお願いします！！
■はじめに
お題を頂きありがとうございます！以前頂いたお題、懐かしいなあと思いながら読み返しておりました。
五衰編には夏目先生が全然出てきませんでしたね。
主犯であった福地は、探偵社やマフィアに危害を加えたかに見せかけて、実際のところは最初から危害を加えるつもりは毛頭なかったようなので、夏目先生はその辺も全部見越して、なんもやらんでええか～と春野さんちでぬくぬくしてたというのが私予想ですがいかがでしょうか。
この後、敵が福地から神人に変わったりドストエフスキーの裏の目的などが絡んで来たりする局面では、登場する可能性もあるのかも？
種田さん絡みのところから、設立秘話で三田村が言及していた「国の屋台骨を腐らす寄生虫」としての異能者の真実が明らかになっていって、その中で再び夏目先生に光が当てられていったらいいなあとぼんやり考えています。
■ヨコハマ防衛線
今回は時事ネタ（？）でもあるので「三刻構想」について少し考察をしていきたいなと思います。
夏目は三刻構想を立ち上げてすぐ引退しているので、三刻構想の立ち上げが夏目にとっては最終目標的なものだったと捉えられますかね。
夏目はなぜ横浜の街の平穏を守るための盤石な体勢を築くことにそこまで尽力したのか。街の平和と均衡を守るというのは一体どういう意味なのだろう、結構漠然としているよなあと前から思っていました。「守りたい具体的な何か」がもっと奥にあるような気がして。
そこで、こないだ思いついた突拍子もない図をご紹介します。
文スト世界を時計の文字盤の上に再現してみたらなんか面白いことひらめくかも…と遊んでみた結果です。
横浜の組織には組織名に数字が含まれることが多いよなあということで代表的なものを文字盤に並べてみました。
時計にしてみると「さんかく（三刻構想）」の防衛線（前線）から内側に向かって秘密の保持を目的としている組織が並んでいて、最深部にある「６」を３重の防衛線で守っているような構造になっている…そういう風にも見えます…
「６」になにがあるのかは現時点では想像できませんので、まずは「６」を取り囲む組織について特徴などを挙げながらひとつひとつ詳しく見てみたいと思います。
＜さんかく（三刻構想）＞
夏目が構想した「横浜の平和と均衡」を守るための組織であり、昼を特務課が、夜をマフィアが、宵を探偵社が担当して治安を維持している。
だから３社は可能な限り協力体制を築いて敵に立ち向かうべし、というようなニュアンスのことがギルド戦や共喰い編で描かれてきたようにも感じます。
単行本５巻には「人情をかく 義理をかく 恥をかく」と書かれた額縁が晩香堂に飾られていると相互さんに教えてもらったのですが、この言葉は夏目漱石の『吾輩は猫である』に書かれている言葉で、文ストの額縁にも夏目漱石の署名があります。
「かく」を３回繰り返していることから「さんかく」という読み方ができるので、夏目先生の目指していた三刻構想を表している言葉だったりするのかもなと思っています。
街を外敵から守るための最前線部隊、それが三刻構想であって、外敵たちは「６」にあるものや白紙の文学書を目指してやってくるので、三刻構想というのもやはり「６」を守るために存在する機構と考えることができるのかもしれません。
＜よんぱち（４８）＞
４８は『太宰を拾った日』に出てくる組織ですが、元警察関係者で構成された組織で、証拠の抹消・犯罪記録の書き換えを得意とするとされています。市警内部の協力者を通じて色々な隠蔽業務を行っているので、七號機関の「より民間に近いバージョン」というイメージでしょうか。「秘密保持」の特色が強い組織なので、「６」の実態を覆い隠すための何かもやってる…？
＜ななごう（七號機関）＞
犯罪の隠蔽と洗浄を専門にした犯罪組織であり、政治犯罪の揉み消し、違法な作戦、醜聞隠しをするのがお仕事のようです。
虫太郎の異能が利用されていた場所でもあり、「政府の犯罪を集めて隠す性質上、政府を脅せる立場にある」と安吾さんは言っています。
こちらも隠蔽、秘密保持の特色が強いので、「６」の秘密を覆い隠すための重要組織という位置づけかもしれません。
「七號機関とドストエフスキー、考えられる限りで最悪の組み合わせ」と安吾さんは警戒しているのですが、ドスくんが司る数字は「５」。つまり時計の盤面上の「５」はすでに鼠にかじられているんじゃないかなと想像しています。その「５」の部分にあたるのが「號」の字。號の字には虎が隠されていることを考えると、なんか怪しい感じがしてしまいますね。
こんな感じで「６」の秘密を守るために、日本政府がバリアを張っているように見えるんですよね。
「６」にあるものが、異能者についての真実であったり、白紙の文学書の本体であったりするのかもしれません。
そして夏目先生は「６」にある秘密を知っているひとりで、その秘密を外敵から守るために三刻構想を立ち上げたという可能性もありそうです。
■敵たちのいろとりどりの戦略
文ストに出てくる敵たちも、白紙の文学書を手に入れる、あるいは「６」に侵攻したり破壊したりすることを目的にしていると考えると時計の盤面上の戦いってこういうことになるのかなというのを図にしてみました。
単独行動のねずみは小さいところから最少の資源で攻め込むしかないので、まずは５をかじって、その後ひそひそと６にかじりつこうとしている的な。
大胆にお金で解決するのが一番手っ取り早いと考えているフィッツは特務課だけと言わず「内務省をまるごと買収する」とか言っているので、実質３～９まで買収するつもりで、全部買ったら「６」がおまけでついてくるのを期待している的な。
やる気のある人にやらせとけ、で優雅にティータイムしているアガサさんは、焼却の異能者を嬉々としながら送り込んできたので、６も含めてまるごと燃やしちゃったら秘密も悪ももろとも消えて楽ちんなのにと思っている的な。
文ストの敵組織の考える戦略って、大胆で奇抜で余裕があって魅力的～。こんな感じの捉えた方もできましたよ～の遊びなのであんまり本気にしないでくださいね。
■時計の盤面上にある「邪魔なもの」
さてさて、時計を引っ張り出してきたからにはこれをやっときたい。
時計の不思議話。
３ー９とか４ー８とかそういう風に時計を繋いでいくと、時計の盤面って綺麗に１２という数字で構成されていることに気づきます。
でも「６」だけが半端もので、こいつだけは１２を形成しないんですよね。
つまり、１２だけで構成されていたはずの神聖な神の国を堕落させているのは「６」なんです。怪しい話になってきた…
神の国について語るとき、このnoteの読者は一体どれだけの前提知識があってどこから説明する必要があるのだろう…とよく迷うのですが、念のため簡単に。
神の国というのはヨハネの黙示録で予言されている「最後の審判のあとに訪れる調和の世界」のことです。そこは死も苦しみもなく、神と永久のときを幸福に暮らすことができるとされていて、キリスト教徒たちは神の国に入場するために、キリストを信仰し、苦しみに耐えながら善行を積むのですよね。神の国は「狭き門」だと言われていて入るのがとっても難しい。仏教徒などの異教徒は当然地獄に堕ちる予定になってます。
そんなみんなの憧れ、キリスト教の最終目的地「神の国」通称「新しいエルサレム」は「１２」という数字で構成されています。
１２の門、１２の部族、１２の使徒、１２の土台、１２の宝石があって、都の大きさはすべての辺が１万２千丁で構成されているそうです。
ということは、１２とは「神の国」を象徴する数字。
聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、神のみもとを出て天から下って来るのを見せてくれた。
その都の輝きは、高価な宝石のようであり、透明な碧玉のようであった。
それには大きな、高い城壁があって、十二の門があり、それらの門には、十二の御使がおり、イスラエルの子らの十二部族の名が、それに書いてあった。
東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。
また都の城壁には十二の土台があり、それには小羊の十二使徒の十二の名が書いてあった。
わたしに語っていた者は、都とその門と城壁とを測るために、金の測りざおを持っていた。
都は方形であって、その長さと幅とは同じである。彼がその測りざおで都を測ると、一万二千丁であった。長さと幅と高さとは、いずれも同じである。
また城壁を測ると、百四十四キュビトであった。これは人間の、すなわち、御使の尺度によるのである。
城壁は碧玉で築かれ、都はすきとおったガラスのような純金で造られていた。
都の城壁の土台は、さまざまな宝石で飾られていた。第一の土台は碧玉、第二はサファイヤ、第三はめのう、第四は緑玉、
第五は縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。
十二の門は十二の真珠であり、門はそれぞれ一つの真珠で造られ、都の大通りは、すきとおったガラスのような純金であった。
そこで時計です。時計の盤面も「６」を除けば、すべてが１２で構成される神聖なもの。なので「６」を取り除けば、「神の国」をもたらすことができる。「６」こそが堕落した原因の中枢なわけです。
もちろん「６」という数字が象徴するものが悪魔であることは多くの方がご存知だと思いますが、異能者が罪だと言われたり寄生虫だと言われたりするのも「６」こそが異能を生み出している大元で、そこになにか重要な秘密があるからなのかもしれません。
だいぶオカルトちっくな話になってしまいましたが、三角術といえばサインコサインタンジェント。サインはsinと書きますけど、sinとは英語にすると罪ですよね。それもcrimeとは違って、より実存的な宗教上の意味を持った罪を指すことが多い。代表的なsinは原罪です。
私は数学についてはパッパラパアなのでこれ以上は何も言えませんが、三角法と絡めてこんな解釈あるよ〜ってなにか思いついた方いたら教えてください。
ということで、夏目先生は「６」にある秘密を知っている重要人物で、白紙の文学書にアクセスできるひとりでもあるのかなと考えています。
お題主様のおっしゃるように、シグマの誕生も、太宰が探偵社から抜ける未来を見越して夏目先生が3年前に作っておいた、みたいなのだったら面白いですね！太宰さんの後任としてね。ムルソーでのあの二人のやりとりがれっきとしたOJTだったら美味しいなと思います。
夏目先生は乱歩さんでも動揺するくらいすごい人っぽいので、そのくらい超越した計画を練っていても不思議ではない気がします。
途中で全然関係ない時計の話をしてしまって恐縮です。
お題を頂き、ありがとうございました！！
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