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白紙の本の制約とシグマについて(お題箱から)

※この記事は文豪ストレイドッグスの考察です。
※お題箱に頂いたお題への返信です。

頂いたお題はこちら:
立原が本の制約を超えて「探偵社は無実だ」と自ら思い至ったということは、本は万能ではないのでしょうか

万能の願望器みたいに思われている本ですが、なにかの切っ掛けで制約の外に出る→可能世界から連れてこられたと思われるシグマが消滅してしまうみたいなエンドはあり得るのでしょうか

いつもお題楽しみにしています
よろしくお願いします


お題を頂きありがとうございました!
シグマが制約の外に出たらどうなるのか…とても興味深かったです!

本の持つ「強度」については、世界を一変させる巨大な力を持つ割には脆い性質があるなと思っていました。
脆いということは、ハードな何かではなく、ソフトな何かである可能性が高そうだな…と考えて思いついたのが、文スト世界はそもそも文字で成り立っているのではないか、ということです。
本による改変も、文字の世界に文字を上書きするようなものではないのかなと…。
だとすると、文字の持つ強度とは?という話になります。
文字は人間の頭の中で作り上げた約束事であり、言ってしまえば実体のない幻想に過ぎません。
だからこそ、何かをきっかけにして消え去ることはあると思います。
それが、立原が魂の力で制約を打ち破ったシーンが表していることなのかなぁと考えています。
こちらの考察にも、本の構造と制約について書きましたので、ご興味があればぜひご覧ください。
白紙の文学書の構造について。自律型の小説世界という可能性。

さて、次はシグマがもし制約の外に出てしまったらどうなるか、ですね。

消滅するか、記憶を取り戻すか、のどちらかのような気はしますが、消滅してしまったらとても残念ですね…。
シグマが制約を破るということは、「シグマが突然現れた」と書かれた小説の一文が破られてしまうということだと思います。
世界が文字によって構築されているなら、その一文が破られるということは、そっくりそのままその部分の世界改変が無効になるということのような気がします。
そうすると、お題をくれた方のおっしゃるとおり、シグマが消えるというエンドも十分あり得ると私も思います。

あるいは、白紙の本に書かれた内容が実は「シグマが突然現れた」ではない場合、例えば記憶を失ったとかそういう内容だったら、記憶を取り戻すのかもしれませんが、今のところはその根拠がないので、シグマは消えると考えるのが自然かなと考えています。

シグマが制約を破るとしたら、何によってそれは破られるのか。
シグマ本人も自分が無から生まれたことを知っているし、周りの人も知っているので、「無から生まれた」んだと皆が思い込むことで、信念が積み増され、より既成事実として力を持つようになる、それが改変の力を助長していると言えるのかもしれません。
だとしたら、本人含め全員がシグマを「存在しないもの」として心で拒絶し始めたとき、もしくは魂が何かを思い出して「無から生まれたのではない」と気づき始めたときのような、「無から生まれた」ということを人々が受け入れなくなったときこそが、シグマが頁を破るタイミングなのかもしれないですね。

とても興味深いお題を頂きありがとうございました!!

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