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文ストアニメ5期3話(53話) 感想

※アニメ派の方を考慮して、単行本ネタバレなしでお送り致します。安心して見てってください。

1週間考え続けてしまいましたよ〜、どっちがヒーローでどっちがクリミナルかをね…それで思ったんだけど、小さな犯罪はクリミナルが生み出すものだけど、大きな争いは英雄が生み出すものだったりするよなあと。自分を英雄だと思うからこそ敵が生まれて争いが生まれるし、英雄って世界を救うようでいて実際は戦争の元凶でもある。
自分を英雄だと思うのは傲慢さであって、自分は罪深き卑小な人間だと思うことが謙虚さなのだって、こないだ読んだドストエフスキーでもなんかそんなこと言ってたよ。クリミナルであると自覚しながらも誰かに手を差し伸べずにはいられない、そういう等身大の探偵社でいてほしいなあと思うので、探偵社員は英雄じゃない説を推すことにしました。国木田さんも俺たちはヒーローじゃないって言ってたしね。
題名がひとりあるきしてだいぶ本編と関係ないこと考えてしまったああ。

いざ!戦場ならぬ、船上へ!!

お、回想からきた。なにこの出会いの場所!もっと恐ろしい場所だと思ってたのに、昼間だとこんなに清らかで平和そうなの?
巨木のそばに座ってる太宰さん、賢者感がすごいよー。仙人だ仙人だ。精神年齢二千歳の男が樹齢二千歳の樹に腰掛けてる〜。

「世界の裂け目からどす黒い渾沌が~」っていう言葉ほんと好き〜。もっと言って〜。
そして這い出てくる赤いドスくん。最高だな。
なんとなくこの台詞、ヨハネの黙示録9章の第五のラッパの啓示を思い起こさせるのよね。底知れぬ所のかぎ持ってるのドスくんでしょ?かぎ開けちゃったんでしょ?

第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗くなった。

ヨハネの黙示録 9:1

「私の目となってほしい」っていう会話の背後に鳥のさえずりいれてくるのおしゃれすぎまする~サンクチュアリ感も増し増しで気持ちいいなあ。

やつがれくん来てくれた~!口封じに骨のおれそうなやつだと瞬時に見抜かれたやつがれ。無口だと申告した覚えはないもんね。
容赦なく先手で羅生門決めにいったああ!かっこいいい!
かつて船上で敵同士として戦ったこの二人が今度は船上で共闘してるの熱すぎるよね。あの頃を思い出しながら見ちゃうよね。同じような煙まで上がってるからすごくデジャヴ感~。

わあああ。太宰さんと芥川くんの密会の地、昼から夜に切り替わる瞬間がかっこよすぎるよ。急に狗の遠吠えきたよ、すごいな。決して咆えることのなかった心なき狗が、初めて心に湧き起こる声を世に解き放った瞬間。それを遠吠えで表現してくるのずるくて、心ずたずただ。
ああ、外套をかけてあげた太宰さん…そのあと肩に手まで置いて……
このときの芥川の気持ちを想像すると泣けてくるう…

太宰さんの外套ってきっと芥川が初めて誰かに”もらったもの”だったりするんじゃないかなと思うのですよ。芥川くんはきっとそれまで人から奪うことでしか生きていけなかったのではないかなと。
もう奪わなくていい、とその瞬間から太宰さんはすべてを与えてくれた。
親も保護者もいなくて、ゴミのように捨てられ見下されていた自分を拾ってくれた。だからもう一度捨てられるなんてそんなこと絶対に起こさせたくはないよね。そうしたらすべての意味がまた失われてしまう。
芥川は力も持ったし、所属する組織も持ったし、太宰さんに捨てられることがすなわちかつての貧民街の生活に戻ることに繋がるわけではないはずだけど、芥川が見る世界は太宰さん以外のものはまだまだ色を持ってないのかも。世界でたったひとり自分のそばに立ってくれた人であり、なにがなんでも失望させたくはないと血眼になるほど、与えてもらったものの価値も意味も大きかったのだろうねえ…肩に手をかけて並んで歩く二人を見てたらそんな風に思ってしまいました。

ひょー。船が切れたあ!なんてことを!
というか動きがダイナミックすぎてすんごおお!
SPの台詞がやたらかっこいいんだよねえ、運転手もそうだったけどモブの台詞なんでこんなにかっこよいの?記憶に残ってしまう~。

芥川が敦くんの胸ぐら掴んで黒虎絶爪を提案してるとこめちゃかっこいい。ちょっと実演してみてるだけだからか、外套の右側半分だけ剝がれてて先進的なオシャレしてる人みたいになってるやつがれ。器用だわ~。敦くんの黒外套姿もほんとかっこいいなあ。
コメディ部分も双黒を意識する部分も削られてるけど、でも雰囲気がとってもいいので好きです。

福地と会っちゃった。この時点で17:40かあ。思ったよりも随分夕暮れどき!
客船の時計塔が、時計塔の従騎士を連想させる。ボズウェリアン号ってストブリでも英国の要人運んで来航していたので、英国籍の客船なんでしょうか。そんな欧州の重要そうな船をいとも簡単にスライスしちゃって…怒られないかね、福地さん…そっちのほうが心配だ…

二人を見上げるときの福地さんの顔、かっこよすぎてさすがにいけおじが過ぎる。OPの炎の中に立つ福地のあの姿もいけおじすぎてたまらん~。

ぎゃあ~戦闘がダイナミックすぎて心臓ばくばく…BGMでも心拍数あげてきすぎだよ…尺八の音ですかね?戦いの音にも和の演出入れてくるのなにごと…!最高ですね、このBGM!!テンションあがる!
そして出てきた時空剣!鍛冶してる絵図のとこで叩くような音を合わせてくるのすごい。この辺の音の演出とにかくすごい。何度も見入って聞き入ってしまう!
時空剣ほんと不思議ねえ。剣に異能ってどうやって込めるんだろ。

それにしても戦いがなんともリズミカル!
省略された部分も多いけれどもその分テンポがすごーい。目を見張るような速さで戦いが展開している。心地よく惹き込まれる一方で、なんだろう、見せ場だけが誇張され脚色された演劇に近い感じがする戦いだったような。個人的にとても好きでした。

ん~福地さんのキャラ、またまたブレる~。ほんとどこからどこまでが演技なんでしょ。

芥川くんと敦くんの合言葉的な意思疎通、ものすごいぐっとくる。
そしてここで流れるのねこのBGMー!DAのNestiio!PV第2段の最後にも流れてて、あああ~いい~~って思ってたの、このシーンのための音だったのかー!たまらぬー!
これが信頼!!!その言葉をついに口にした!!
えええええ。この瞬間に...18時の鐘鳴らすの...すご…神演出だ...心臓止まるかと思った......す、すごい……
時間が巻き戻されるところまで…神演出だ…
こ、これは…名場面すぎる………
もう一度…鐘が…すごい………
すごいすごいすごい………

芥川の白シャツ異能!ついにフリルが役に立つときが来た!!白いのも白いので清廉な感じがして素敵ねえ。
はあ…なんかちょっと一息ついたと思ったら…唐突に「あっぱれなりい!」と歌舞伎役者が最後決め込んで来てしまった…
芥川くん…首が…そんな……お願いだから無事でいて…

そしてここでOPが流れて、黒画面のエンドロールはもう…言葉が出ない。
今回の演出は一体どうなってるんだ。どれだけクオリティを上げたら気が済むんだ、この制作陣は…
もう拍手喝采じゃ足りないほどに感激してしまったよお。53話、すごい。すごいしか言えないのが残念だけどほんとにすごかった。

ここからは考察タイム。
アニメ勢さんはあれね、福地の動機がわからない現象になりそうね。わからないとまではいかなくても原作勢と認識が違ってきそうね。

整理しておくと今こんな感じ。(53話の内容で原作だけに描かれた展開があるので、アニメ勢にとってはある意味ネタバレになるかもしれません)

■アニメ勢:
設立秘話でVの目的が国内の異能者の駆逐だと聞かされる
⇒Vは五衰のことだと乱歩さんが推理する
⇒五衰の目的は国内の異能者の駆逐だ、という認識が形成される
⇒船上で福地が国家消滅の話をしない
⇒国内の異能者の駆逐が目的である、という認識が継続する

■原作勢:
福地が国家の消滅を望んでいることを原作読んで知っている
⇒Vは五衰のことだと乱歩さんが推理する
⇒五衰の目的は国内の異能者の駆逐なのか、国家の消滅なのかどっちかわからなくなる
⇒船上で福地が国家消滅の話をしない
⇒「削った意図は?あの話はなんだったんだ?」イマココ

ということで、福地のキャラだけじゃなくて、組織の動機までもがブレ始めていて、どんどん迷宮入りする~。国家消滅のくだり、実はそんなに重要じゃないのか、別のところで話をされるのか、びっくりさぷらいずのための仕掛けなのか、いまのところはよくわからない感じですね。

この辺の考察はあんまり考えてもどうしようもないので、一旦忘れてまた来週から楽しも~っと!
とにかく今は…芥川くんが無事でいることを祈ろう。
RIPを言うにはまだはやい。

[23.07.30追記]
相互様からのご指摘でようやく思い出したのですが、国家消滅の話はすでにアンの部屋で虫くんの口から語られていましたね...!なぜ...なぜそれを覚えていない私...
ということで、船上では敢えてもう一度説明を繰り返す必要性がないということで削られたのかもしれませんね。
五衰の組織の目的については、今のところアニメ勢も原作勢も相違はないということになりそうです。お詫びして訂正させて頂きます。

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