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着ることのない、わたしのワンピース

「失敗した」

鏡の前の自分の姿を見て、私はがっくりきた。

わたしのワンピースを求めて

3x歳。性別 女。
4歳の娘を育児しつつ、第二子妊娠中。

妊娠生活も後期にさしかかかり、手持ちの妊婦用ズボンがキツくなってきたので、ゆったりしたワンピースが欲しくなった。
娘を寝かしつけたあと、暗がりのなか動けない身体でスマホをいじる。

いくつかサイトを巡ったあと、すんごく可愛いワンピースを見つけた。

これだ!!

しかしすんごく可愛いだけあってネットショプではSOLDOUT。
幸い、実店舗が近くにあるため、娘の習い事の帰りに立ち寄ってみることに決めた。

幼児連れのショッピングは無理がある

習い事を終え、おもちゃコーナーで遊びたい娘を

「お願い!ね、ちょっとだけ!」

となだめ、なんとか目当てのショップまでたどり着いた。

しかし狭い店内をデカイ腹を抱えつつ幼児の腕を引っ張って歩くのは至難の技だ。
繊細な小物、雑貨類、皿まである。

「さわっちゃだめ!!!」を繰り返し、やっと見つけた。
そこにはまだあったのだ!すんごく可愛いあのワンピースが!!

少し鏡の前で身体に合わせてみる。
片手は娘の腕を掴んだまま。

娘は、いつも私が着ているしょうもないTシャツと雰囲気が違うからか、

「にあわないんじゃないかなぁ」

と一丁前に意見した。

それでも私はそのワンピースをレジに持っていった。

「ご試着いかがなさいますかぁ?」

店員のお姉さんが聞いてくれたが、この状況を見てくれ。
すきあらば店内を走り回ろうと目論む幼児を押さえつけている母、兼 妊婦のこの形相を。

「あ、ちょっと無理なんで大丈夫です」

私とお姉さんは互いに苦笑いして、会計を済ませた。

わたしのファッションショー

家に帰り、娘がテレビに夢中になっているすきにさっそくショッパーからワンピースを取り出す。

鏡の前で身体に当ててみる。
うん、やっぱりすんごく可愛い!

わくわくしながら袖を通してみる。
そして哀しき哉、冒頭に戻るのだった。

あたしは失敗した。

実際に着てみると、出っ張ったお腹がワンピースのシルエットを台無しにして、余計に腹を目立たせた。
鏡の中の私は見るからに妊婦であり、しかもフェミニンなワンピースを可笑しく身にまとって悪目立ちした。

これは着られないよ…。

かくしてこのすんごく可愛いわたしのワンピースはお蔵入りとなったのだった。

着られることのないわたしのワンピース

さて、ではこのワンピースいつ着よう。

産後?
いやいや、もし授乳となるとたくし上げられないワンピースなど着られるものか。

卒乳後?
えっと、そしたら私30代半ば?
ごめんちょっとサバ読んだ、もしかして四捨五入したらアラフォー??
このワンピース、年齢的に無理じゃない…???

今回のワンピースにしろ、妊娠前のピンヒールにしろ、スキニージーンズにしろ、妊娠中や育児中は衣服にも制限がかかるのだ…。
そして育児がひと段落した頃には年齢の問題が浮き上がってくる。
わかっていたことなのに、わかっていなかった。

加えて私は、しばらく美容院にも行けなくなるという理由で、長い髪をバッサリと切った。

教訓

試着はしよう。

妊娠前は、ネットショプで購入しても困ることが少なかった為そこまで試着を重要視していなかったが、着たあとのシルエットを確認する大切さに気付かされた。

とはいえ、子連れでの試着は厳しいので他者の協力は欲しいところだ。

さいごに

妊娠中でも、育児中でも、年齢を重ねても、お洒落な女性はたくさんいる。

「〇〇くんのママ、きれいね」

保育園の帰り道に、娘と話したことがある。

「うちのママも、ステキな服を着ればきれいだよ」

娘の返したそのことばに笑ったものだ。

本当はママも可愛い服が着たい。
自分に似合う服を見つけてみたい。

娘も(いつも保育園用の汚れても良い服を着させているが、)本当はもっと別な服を着たかったりするのかな。

そんなことをふと思い出した。

XLのTシャツとデカパンを身につけて、夜。

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