台湾の地名の読み方

 昔、屋台で日本人友人と夕食を食べていた時、見知らぬ日本人男性が同じ屋台に来て、店主に注文し始めたが、中国語が話せなくて、店主とコミュニケーションが取れていなかったので、友人が代わりに注文してあげた。これが縁で同じテーブルで少し話をした。その男性は「私、出張で来ているんですが、明日、チュンリーに行かなければならないんですよ!」と言ってきたが、それがどこのことなのか、僕も友人も2、3分考え込んでしまった。その日本人男性は恐らく地図に載っていた地名のウェード式ローマ字表記をそのまま日本語ローマ字の読み方で読んだんだと思う。結局、行く場所は「中壢(ウェード式表記はchung li / ピンイン表記はzhong li)」だった。「中壢」なら台湾に長く住む僕らにとっては「ツォンリー」だ。

 日本人が中国語ローマ字表記を読む場合、無気無声音の読み方を濁音として読んでしまうという問題だけではなく、母音や二重母音を日本語ローマ字を読む方法で読んでしまい、中国語原音と相当ずれた発音になるという問題もある。日本で発行された台湾地図の地名も中国語ローマ字表記を日本語ローマ字のように読んで、それをカタカナに置き換えているので、中国語原音とは随分違う印象の地名になってしまっている場合が多い。台湾在住日本人相手に台湾の地名を話題に出す時には、その地名が日本語で読みやすい地名だったら、ぜひ日本語読みにしてほしい。「中壢」なら「ちゅうれき」というように。「台中」をタィチュンとかタイジョンなどと読む日本人が多いが、「たいちゅう」と読んでほしい。「台中」の中国語発音は台湾に長く住む僕らにとっては「タイツォン」だから、タイチュンとかタイジョンという読み方は耳に心地よくない。

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