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小夜左文字:工芸鏡、古今刀剣物語、刀剣史料



『工芸鏡』横井時冬,六合館,1894


左衛門三郎のところで小夜左文字ほか宗三左文字など左文字の刀の紹介。

左衛門三郎は祖父を西蓮といひ父を實阿といふ筑前隠岐濱の人正宗十哲の一人にて世これを左文字といふ後村上天皇の正平十年没す年八十五今川義元左文字の刀を得て珍重す桶狭間の敗これを以て敵の槍幹を断ちて戦死す信長其刀を得て義元左文字と號し常に佩用しけりとなん阿部忠秋の入道切土井利房の小夜中山などの寶刀もこの左文字の作なりしとぞ

工芸鏡では主な所有者が土井利房ということになっています。
また名も小夜左文字ではなく「小夜中山」の宝刀となっているところが興味深い。


『古今刀剣物語』前田稔靖. 大洋社, 1939.


当主(山内一豊)からの拝領の品として300石が与えられた。長さ八寸八分。三斎公はこの短刀の由来を知り西行法師の歌にちなんで小夜左文字と名付けた。

古今刀剣物語では小夜左文字で仇討を果たした少年に300石が与えられたと記されています。
また名づけは忠興説を取っています。


『刀剣史料』 1963年


小夜左文字 長さ八寸八分 
此伝説も諸説があって一定しない。幽斎が所持していたというから命なりけり小夜の中山の歌から鑑みて命名したのだろう。

刀剣史料では仇討ちの話からではなく歌人として有名な幽斎だからこそこの名を付けたのだろうという推測をしています。


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