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弟と私

弟は「お母さん大好きー!」と言える子どもらしくて素直でかわいい少年だった。
うちの息子もそうだから、見てて弟の子ども時代を思い出す。
私はどうしても言えなかったし、弟みたいに「お母さんおかえりー」と玄関まで走って行って抱きつくこともできなかった。
甘えちゃダメだと思ってたし、そう思い込んでた。

お母さん=弟のもの

感情はいつも隠してた。

クールでポーカーフェイスだった。

心の中は、いつもふてくされていた。
人前では絶対に泣かなかったし、メソメソ泣く弱虫や甘ったれた子が大嫌いだった。

だから小学校では弱い者イジメや仲間外れもしたし、自分も仲間外れにされた。

小学校でも中学校でも、先生に反抗的な態度をとったし、校舎に落書きをして親を呼ばれたりもした。

勉強はできたし、発言もするし、リーダーシップもあったし、父親が地元の名士だったり、PTA会長とかもやっていたので、学校としてはおそらく扱いにくい子ども(問題児)だったと思う。

【あなたは手がかからなかったから】

そういつも言われてたし、弟がとても甘えん坊で、手がかかる子だったし、自分はしっかりしなくちゃという思いもあった。

なぜなら母にいつも

「お姉ちゃんなんだから」

言われてたから。

好きでお姉ちゃんに生まれた訳じゃないし、私だってお兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しかったし、そして私だって甘えたかった。

ひとりっ子に憧れたこともある。

だけど今は違う。

弟がいてくれて本当によかったし、神様に感謝している。

彼は若い頃に大病を患い死の淵から生還し、現在は代々続く家業もしっかり継いでいる。

頼りない姉のことを、心の中でいつも案じて、そして声援を送ってくれている。

彼の一言があったから、私は幸せな結婚をすることが出来たし、そして幸せなお母さんになることができて今「ここ」にいる。

あの一言がなかったら、私は今頃どこでどうなっていたかわからない。

お互い家庭を持ってからは、年に1回か2回しか会えないけど、今度会ったらきちんと伝えたい。

照れくさいけど、ありがとうを伝えたい。









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