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<埼玉県 令和4年度当初予算>ケアラー支援関連 約12億円に

※この記事は「ケアラータイムズ 第4号」(2022年3月号)からの転載です。

埼玉県の令和4年度当初予算が発表され、ケアラー支援関連予算が、約12億円に上ることが分かりました(表)。令和3年度当初予算と比較しても約1200万円増額、事業数も「新規」で7項目増えています。令和3年度は初めてケアラー支援が予算化されましたが、2年目はより実態に合わせた内容に適正化されています。

総額は2憶から12億へ

令和3年度のケアラー支援関連予算は約2億円(本紙第2号参照)だったにもかかわらず、今回総額が約12億円に上った理由をここで解説します。

これは、予算総額が6倍になったわけではありません。約10億円の差が生じたのは、実は表の真ん中あたり、「教育相談等支援体制」として計上した項目が1つ増えたからです。それは「スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置・拡充、オンライン・SNSを活用した相談体制の整備」という項目。令和3年度は「いじめ・不登校」対策のための施策でしたが、令和4年度の支援対象に「ヤングケアラー」が加わったのです。これによりスクールソーシャルワーカーが増員(約1.5倍)され、これまでよりも相談しやすい体制となったと言えるでしょう。つまり、新規に予算が増えたわけではなく、支援対象が広がり、支援体制が拡充されたということです。これは金額云々よりも、評価できることだと思います。

認知度大幅アップ

さて、この予算内訳の背景には「ケアラー・ヤングケアラー」という言葉の“認知度”が関わっています。なぜなら、普及啓発や教育研修へ割く予算が大きいからです。

その背景を踏まえ、「ケアラー支援普及啓発」予算が約半分に減額となっていますが、これは様々な広報物が令和3年度に完成したこと(2年目以降は新入生用のみの提供分となるので)、何より認知度が上がったことを示していると思います。認知度がまったく上がっていなければ、むしろ予算を増額しなければならないのです。

令和3年12月に実施した、県政サポーターを対象としたアンケート調査では、「ケアラー」の認知度は65.8%(前回令和2年10月は17.8%)、「ヤングケアラー」の認知度は67.4%(前回16.3%)に急上昇。3か年のケアラー支援計画における、令和5年度の目標値「70%」達成間近です。

行政による啓発だけでなく、市民・NPOや民間企業による啓発活動も活発に展開されました。それに加えてテレビや新聞などマス・メディアによる特集もタイミングが重なり、令和3年度は大きなムーブメントが巻き起こったと言っても過言ではありません。

条例制定から3年

埼玉県で全国初のケアラー支援条例が成立したのが、令和元年3月27日。ちょうど3年前です。当時はまだ「ケアラー・ヤングケアラー」という言葉が認知されておらず、「ケアラーって何?」と度々聞かれたものでした。この3年間、プロジェクトチームの設置から、条例化、実態調査、支援計画、予算化という流れで、振り返ってみれば順調に活動を進めることができました。令和3年の年末には「ヤングケアラー」が流行語大賞にノミネートされ、大きな波動が広がっていくのを肌で感じました。

認知度が上がり、予算が付き、支援の中身が拡充されていくことは、条例第3条の理念「社会全体でケアラーを支援する」ことにつながっていくと思っています。

◆文・吉良英敏

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