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深夜0時のキングランナー「ショートショート」

暗いトンネルの中に、俺の息づかいと足音とそして奴の足音がすぐ後ろに聞こえてくる。

「須藤優香里様、僕はあなたの事が大好物のカレーより大好きです。」俺等は、笑わないと誓った。誓ったが一斉ににみんな笑った。「ひでーな、笑わない約束だろ!」

位置についてよーいどん!で俺等の未来が変わる。

ゴール出口には、自分の書いたラブレターが空き缶の中に丸めて入っている。それを先に取った方が勝ち。そして恥ずかしい愛の告白。ラブレターを負けた奴は、勝者にみんなの前で朗読という名の発表会を開かれてしまうのだ。

対戦は、一週間に一回。しかもクジで当たった二名の対戦一試合のみ。そこで俺は負けなしのキングランナーになった。どこからか情報が洩れて、知らねー奴が最近増えてきた。

深夜0時ー俺は久々にクジが当たった。俺の対戦相手は陸上部のスプリンター【通称】機械ヤローだった。奴は俺に、運動会の100メートル走で負けた事に根に持っていた。

スタートは、俺が遅れた。奴は嬉しそうに軽快に飛ばしてきた。俺は、離れ過ぎずにピッタリと奴の斜め後ろを走った。トンネルの中は少し上り坂になっていた。

「バカ!グラウンドの100メートル走じゃあねーんだよ!」と俺は走りながら奴に言って、奴を気持ち良くトンネルの出口寸前で抜かした。

自分のラブレターと奴のラブレターを空き缶から抜き取って両手を高く上げた。空には綺麗な星が見えた。奴は悔しそうに俺を睨んだ。息が上がって苦しそうだった。

発表会ー。
俺は奴のラブレターを開いて勢い良く大声でラブレターの内容を読んだ。

大爆笑の嵐が夜のトンネルのなかにコダマシタ。奴は俺を見て少しはにかんだ。そして俺は奴からの愛の告白に戸惑った。

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