戸倉君は少し変

わたしは、高校に入学して感じた事があった。隣の席の戸倉慶喜君が少し変という事だ。

戸倉君は、いつもラジオを聴いて小説を読んでいる。

周りに馴染もうとしない。

中学時代の仲間が

「戸倉!野球部に入部するよな?」

とわざわざ違うクラスから声をかけに来ても良い返事をしない。

噂だと戸倉君は、凄腕ピッチャーだったらしい。

スポーツ推薦を断って普通校を一般受験した。

わたしは、戸倉君に話しかけてみた。

「戸倉君、野球部入りなよ。」

戸倉君は、驚いた顔をして

「小林さん、野球好きなの?」

と聞いてきた。

「全然!」

と素直に答えた。

「そっか‥。」

と戸倉君は複雑な顔をして呟いた。

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