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BILLY ELLIOT 2024(9)始めよければ終わりよし

まず忘れない内にしたためておきます。
スタンディングオベーションのタイミングです。

①フィナーレで主要キャストを紹介しその演技を讃えます。最後に主役ビリーが頭上高く掲げられ大拍手の間に幕が下ります。
②程なくして音楽が鳴り幕が上がります。ビリー一人が舞台の後方から前方に進み指揮者を紹介して音楽家の皆さんを讃えます。その後(ここが重要)出演者全員を呼び寄せフィナーレの前の一礼と同じ一礼をしてから手を振ってお客様とお別れをします。その間に幕が下ります。
③ここで拍手を止めたらアウトです。拍手を続けましょう。そしたらその拍手に応えて幕が上がります。スタンディングオベーションのタイミングはズバリここです。周りにつられて立つのはスタンディングオベーションとは言えません。自分の意志で立つのです。すると元気になれます。帰り道はルンルン気分。有意義な時間を選んだ自分に拍手を送りたい気持ちになります。ホントに!

このミュージカルは終わりよければすべてよしに該当しません。始めよければ終わりよしなのです。
一時も飽きさせません。何故なら4人の英知が結集したミュージカルだからです。

【4人の英知】
エルトン・ジョン/音楽
リー・ホール/脚本&歌詞
スティーヴン・ダルドリー/演出
ピーター・ダーリング/振付

開演前の音出しはバラバラで様々な楽器の音が聞こえてきます。開演5分前になっても音出しは続きますがスタンバイOKサインが出るとぴたっと止みます。女の子の甲高い声で注意事項を読み上げる最中にスモールボーイが客席の通路を通って舞台に上がり正面を向いてキャンディーを咥えると後ろの客席から「可愛い」の声。

1984年当時の映像が紗幕に映し出されると同時にスモールボーイは後ろ向きになって座り込み観客と一緒に映像を観ます。すると映像の音楽に被せるように生演奏が始まりあのバラバラだった音出しが柔らかなハーモニーに変わるその瞬間からプロの響きに心奪われ酔いしれてしまいます。そして追い打ちをかけるかのように紗幕の向こう側にいる一人の炭鉱夫が歌い始めると私は一気に物語の世界へ入り込んで、どっぷりと浸かってしまいます。それは彼の歌唱が秀逸だからです。彼の名前は辰巳智秋さんで合唱の要所要所で歌をリードしています。
これが毎回続くのです。だから私は何回観劇しても飽きるということがありません。これが私の性分であり個性なのです。

今回は9回目の観劇ということになりますが、真ん中の席から観劇するのは初めてでした。真正面からカムイビリーを観てるといつも近くにいるような気がして親近感が湧いてきました。歌唱も演技も自然体で変な味付けは一切なし。
お客さんのリアクションも的確でとても居心地の良い公演でした。

マイケル役の渡邉隼人さんは滑舌が良く台詞が聴き取りやすかったのでカムイビリーとの共演をまた観たいと思いました。

その願いは叶うのでしょうか?