見出し画像

『水都百景録』を楽しもう 馬伯庸『両京十五日』を読もう

 時代は変わりまして、今は中国や韓国の翻訳小説邦訳が出るようになりました。中国を舞台としたミステリとしてファン・ヒューリックを読み漁っていた頃と比べると隔世の感があります。

主役は朱棣の孫

 『水都百景録』ファンならば、『両京十五日』はおすすめです。主人公・朱瞻基は朱棣の孫です。朱瞻基は祖父と行動を共にしたこともありますので。朱棣についても言及されます。偉大なる始祖としての朱元璋も「洪武爺」と呼ばれ、言及されます。序盤では鄭和も少しだけ出番がありますよ。

 両京というタイトル通り、南京と北京、1000キロにわたる距離を主人公は移動することになります。舞台は明代前半です。日本ではあまり人気がない時代ですが、『水都百景録』を遊んでいれば勝手がわかる描写があります。朱瞻基はコオロギを大事にしておりますが、その理由も『水都百景録』を思い起こせばピンとくるはず。皇太子でありながら、闘蟀(とうしつ、コオロギ相撲)に夢中なのですね。

 主人公以外にも実在の人物は登場しており、なかでも生真面目な官僚である于謙は印象的です。于謙は明を代表する名将ですので、実装されてもよいとは思います。悲劇的な最期を辿るとはいえ、非業の最期を遂げた名将枠としては藍玉もいることですから。それより前に日本版にも戚継光が実装されて欲しいところではあります。

日本では人気がない明代だが

ここから先は

476字
『水都百景録』をまったりと楽しむポイントや歴史トリビアなど。

『水都百景録』を楽しもう!

¥100 / 月 初月無料

『水都百景録』の攻略というか考察など。

よろしければご支援よろしくお願いします。ライターとして、あなたの力が必要です!