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『ちむどんどん』第14回 昭和の悪しき偏見を殴り、進路を変えるヒロイン

1971年、沖縄返還前年。比嘉家はつつましく暮らしていましたが、青春には金がかかるのです。

青春には金がいる

暢子が食べるハンバーガーは、早苗のお手伝いの引き換え。
そして良子のフォークダンス。その姿に石川も驚く。レトロな服装の川口春奈さんのかわいらしさ。でも、それにはお金がかかっておりまして、帰宅してから母に今月はあまりお金を入れられないと詫びるわけです。
この優子という母がなあ。子が遅くなるからとご飯を用意して待っていて、全てを包み込む慈愛そのもの。本を買ったと嘘をついたけど、おしゃれだったと打ち明ける良子に見せる笑みといい。昭和のよい母ですね。
良子が青春をエンジョイしようにも、こういう経済格差があって。

熱血教師に目をつけられる歌子

歌子は音楽の時間、熱血教師の下地に目をつけられました。那覇から来ていて音楽教師としては名高いとかなんとか。そんなエリートに目をつけられたことに、家にピアノがある英子は嫉妬しちゃうわけだ。
これも昭和よなあ。
お金持ちエリートと、貧しいのに才能がある子。その対比って、定番だったわけじゃないですか。経済格差が薄れてくるとひねらなければいけなくて、『弱虫ペダル』の坂道くんみたいに「オタクが自転車始める」みたいな設定になりますけどね。
かつてはただ、「家が貧しいくせに強い」というだけで規格外で、スッキリするからそれでよかったわけ。歌子はそういう昭和の設定を感じますよ。
それにしても、上白石萌歌さんのおさげがなんとも似合うこと。セーラー服のデザインももっさりしていて、そこもまたいいんだな。

ボンボンがなぜムカつくか?

主役の暢子も、貧しいのに才能がある枠ではある。
なので、ハンバーガーショップで芋をあげたのをつけあわせにすれば合うと閃いちゃうわけだ。でも貧しいから。高校でて就職することがしっかり頭に入っているから、自分の才能を伸ばすなんてことは思いつかないのよ。
と、ここで就職先のボンボンがやってきて、どうせ結婚する、玉の輿狙いだといい、暢子が殴ってしまうわけですが。
ボンボンは悪として誇張されているけれども。成り上がりでお育ちもそんなによくないとも思える。のみならず、昭和の悪を凝縮したような奴なんだなあ。
女は結婚しないと経済的に行き詰まる。
だからどうせ玉の輿。
何かやりたがる女なんて、所詮は世間知らずの自己実現だ!
そう言い切っている。
こういう昭和の悪をヒロインがぶん殴ることで、朝ドラの意味を再確認したとも言える。そいつを殴ったことで、進路も変わるわけですよ。

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