『おかえりモネ』第30回　明るくて、まっすぐな、いい子たち

　田中はしみじみとアヤちゃんに似ているとモネに言います。むしろ母親似は妹で、中身は父だとモネは返す。中身はコージー！　気の毒に！　そう言われます。ここでアヤちゃんの大逆転について語り出したいと言い出す田中です。視聴者も気になっていた！

アヤちゃんの全肯定

　亜哉子はあきらめなかった。コージーが音楽をやめて銀行員になるとなって、女の子はさーっと去っていったのに、引いてもガンガンくる。どこがいいって？　初めて聞いたとき、明るい、影のない音だと思ったのです。コージーからすれば褒め言葉とも思えない。
　コージーはトムさんにいう。俺の音好きじゃないでしょ？　明るくてまっすぐてつまんねって本心で思ってる。音楽やる奴は、影とか傷とか不幸とかそういうの背負ってねえと、本当の色気はでねえって。
　ここでアヤちゃん登場。
「正しくて明るくてポジティブで前向きであることが魅力にならない世界なんて、クソですっ！」
　朝から言い切った！　どこまでも明るい、吹いている音まで明るい、最高に素敵です！　影が魅力だとか不幸が色気とか、そういう安っぽい価値観で汚さないでください！　そう言い切ったぁ！
「自分のつまんねえと思ってたとこ、あそこまで全肯定されたらうれしいよなあ」
　そっからはあいつらはニコイチ……死語だね。二人でひとつってこと。
　クセのある朝ドラ相手役でブレイクした内野聖陽さんを、明るいおじさんとして戻してきた。そんなNHK朝ドラチームの誇りを感じます。

菅波、中村の策に屈する？

　菅波は中村と電話中。訪問診療の枠を増やせて中村は喜んでいます。積極治療なら応じるという言質を取られていて断れない菅波。頑固だけど証拠あると弱いのです。完敗です。
　このあと、モネとの勉強会へ向かう菅波。モネは現場安全パトロールで遅れたことを謝ります。菅波は感情的にあたったと反省して謝る。モネも何もわかってなかったことを謝ります。そして二人はこう言い合います。
「はじめますか」
「はい」
　　勉強会でモネは、菅波が田中の往診を引き受けたことを語ります。菅波は淡々と治療方針が変わっただけという。そして本音も吐き出します。ただ中村先生の思惑通り訪問診療に足を踏み入れたことは本意ではない。患者の望みより自分の治したいという欲を優先させてしまう。本質的に患者のことを考えていないと反省と自己分析をしています。
「……患者の気持ちや生活を丸ごと抱える訪問診療は向いてません」
　人間の感情に向き合うことが苦手と。自分の感情もそこには含まれています。モネはスマホを見ながら、菅波はすっごく自分勝手と断言した。自分のことしかわかっていなくて、長文で正論をぶつけてくる。正論だけど相手ができないことを書いてある。めちゃくちゃ腹たつ！　そう言いつつスマホをかざすモネ。
　モネって曇りなき眼で正論をズバズバ言う系だ……モネも菅波のできない正論を言っている……。
　でもモネはそれだけじゃない。
「先生は私のためを思って一生懸命考えてくれてる。だから患者さんのことを考えていないというのは違うと思います」
　モネはよき理解者だ。

みんなでテーブルを囲んで

　田中は元妻に会いに来てくれと頼んでいました。人づてに聞いたアドレスに送ったとか。テーブルができて、つい送ったと。モネに一緒に待っていた欲しいと言います。一人では無理。そしてテーブルを作ってもらってよかったと言います。問題は、あいつが来るか、こないか。メールの返事は来ていないって。
　三時にまちあわせで、時計は二時半をさしています。トムはコーヒーを淹れて、待っているけど来ない。そらからは雪がちらほらとふる。
　すると田中のガラケーが鳴っている。返事です。田中はそれをモネにも見せます。
　今の今まで迷ったけど、やはりお伺いするのはやめておきます。すみません。そう短くあります。田中は自嘲的になってしまいます。奇跡は起きないのか。
　そう思っていると、「うわー雪だよ雪！」と大声を出しつつ耕治が来店します。
「なんだよその顔。ひっでえ顔だな。ああ、体も妙にちっこくなっちゃって。なんだよ、シャキっとしろよシャキッと」
「そこまで言わなくてもいいんじゃない」
「ああ、アヤちゃん！」
「トムさん、ご無沙汰してます」
　元妻ではなく、旧友夫妻の登場です。こうしてみんなであのテーブルでコーヒーを飲むことになったのでした。アヤちゃんにドヤされるとか、毎日それに耕治はビクビクしているとか。軽い調子で話す大人たち。
　そして耕治は、自分の若い頃の写真を見つけてはしゃいでる。アヤちゃんが毎日通っていた思い出話に花が咲きます。
　トムさんが撮影した写真には、モネと菅波のものもある。
　みんな明るくて、まっすぐな、いい子たちです――そう語りかけられる中、ジャズ喫茶では話に花が咲くのでした。