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『水都百景録』を楽しもう「嘉靖の大倭寇」

 上田信先生の『戦国日本を見た中国人 海の物語「日本一鑑」を読む』を読みました。おもしろい。明代というのは、中国側が日本を意識した時代です。そんな明からみた日本です。

日本ってどんな国?

 敵を知らねばどうにもならない。そう考えた鄭舜功が日本に渡り、観察した結果が書かれた本です。五行説をあてはめて日本人気質を解説しようとしたり、迷信みたいなところもあるとはいえ、かなり重要な書籍であることは確かでして。
 この本は、公正公平に見ようとしていると思いました。明代の記述となれば「あの迷惑な連中かあ」と悪意みっちみちのものもありますから。むしろ多国籍暴力団を作っているならそうなって当然でしょうが。

鄭舜功は文徴明あたりと同年代か

 『水都百景録』の知府のみなさんに押さえておいて欲しい点は、鄭舜功は文徴明と同年代くらいと推定できるところです。文徴明も生きた嘉靖年間は、「嘉靖の大倭寇」と呼ばれたほどの時代でした。
 あの世界観では「倭寇が出たってよ」と民がおしゃべりで恐れていましたが、史実として嘉靖年間の江南水都は倭寇に怯えていたのだから仕方ないでしょう。そしてこの倭寇が日本人だけとは限らず、なんちゃって倭寇も相当数いた。そのくらいは中国史の常識です。そうはいっても日本の服を着て、武器を持って、日本と取引していたら、「日本こわーい」ってなるでしょうよ。文徴明が主人公なら、そこは避けて通れない。

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