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不定期にカブキスレイヤー関連を上げるアカウントな

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最近の記事

デッドリー・スクリプツ【エンカウンター・ウィズ・ピルス・レギオン】

「た……助けてくだちィーッ!」「イヨーッ!」悲鳴が虚しく響き渡り、鋭いカブキチョップがズタボロに傷ついたニンジャぴるす、プレリュードの首を切断する……その寸前!「ノン!」野太いカラテシャウトと共に壁が砕け、巨大な張り手がホワイトパロットを突き飛ばす! 「ヌゥーッ……!何者だ!」張り手の形に空いた壁の穴を無理矢理に広げ、スモトリめいた巨体の男が部屋の中へとエントリーした。「ドーモ、テディベアなのん!」その風体に似合わぬ奇怪な口調!「……まだ居ますぜ!」テディベアに続き3人の男

    • 【マッドネス・アンド・カースド・ソウルズ】

       ぴるす正教会による騒乱は正教会の主たるポープの死により終息し、生き残りの信者ぴるす達はコウライヤにより処分、あるいは捕縛され再教育されることとなった。これにて万事解決。コウライヤに再び平穏な日常が戻る。……はずであった。  しかし、ぴるすによる大災害の芽は未だ深くまで根を張っている。それも恐らくはコウライヤが把握できぬほどの深層まで、秘密裏に。サルファリックは眉間に皺を寄せながらUNIXを操作する。  1つ、ポープとホワイトパロットが戦闘を繰り広げる中で人知れずシス

      • 【ユア・ブラッディ・バレンタイン】

         重金属酸性雨の降る街中、赤い耐重金属酸性雨レインコートを着た少女がポストを前に佇む。寒さに身を震わせながら彼女はしばし悩むようにポストの周囲をうろつき……やがて、紅潮した顔を隠しながら小包をポストへと投函した。 【ユア・ブラッディ・バレンタイン】  ネオサイタマの路地裏、入り組んだ細い道を突き進んだそのさらに奥。周囲を高層建造物に囲まれ正午の僅かな間しか光の届かぬ隔絶された土地へと荷物を抱えた一人の男が近づいていた。彼は宅配物の徒歩運搬を生業とするヒキャクであり、こ

        • 【コウライ・ピルス・チーム】

           薄暗い森を3つの人影が歩く。赤き竜のマントをはためかせる赤鎧の男、灰色ローブに身を包む男、そして両腕をサイバネアームに置換した男。異様なアトモスフィアを放つ3人。 「……あったぞ、あれだ」赤鎧の男が崖の側面に空いた大穴を指差し、彼らは暗い洞窟内部へと足を進める。洞窟は曲がりくねり、時に分岐しながら地下へと傾斜していた。「私の感覚では……こちらかと……」ローブの男が三叉路の1本を指差し、3人は迷わずその道を進む。  もしこの3人を正面から眺める者がこの場に居たのならば

        デッドリー・スクリプツ【エンカウンター・ウィズ・ピルス・レギオン】

          【コール・フロム・ディープウォーター】

           鬱蒼と茂る木々の下、作業服姿の男は長い間整備されていないのであろう獣道じみた道路を歩く。周囲から枝が伸び、つる植物が地面を覆い、裂けたアスファルトの隙間から生えた低木が通行を阻害する。遮る枝を押しのけ、植物に飲まれかけた道を男は進んでゆく。枝に弾かれ落ちたNSTVキャップを男は拾い深く被り直した。   歩き続けるうちに道路の痕跡すらも消え果てて完全な獣道となり、更に進むとその獣道すらも無くなった。人の背丈ほどもある草をかき分けながら男は道標もない薄暗い森林を一人歩く。

          【コール・フロム・ディープウォーター】

          【イニシエイション・オブ・ピルストロフィ】

          【イニシエイション・オブ・ピルストロフィ】  その時、彼はモノクロの浜辺で空を見上げていた。なぜそこにいたのか、なぜ空を見上げたのか、それ以前の記憶はとうに彼方に流れ去った。もはや『それ以前』などという物が本当にあったのかも定かではない。空では黄金の立方体が輝き、光が流星めいて空へと昇ってゆく。存在する次元が異なるような畏怖すべき光が。 (((我が姿を見たな)))光が問うた。(((我がソウルを見たな)))光が問うた。(((我が死を見たな)))光が問うた。彼にはただ頷く他

          【イニシエイション・オブ・ピルストロフィ】

          【ボンノ・べルズ・ピーリング】

          【ボンノ・べルズ・ピーリング】  ゴーン、ゴーン、ゴーン……。新年を前に、ボンノ鐘の音がネオサイタマに厳かに響く。この鐘の音は日を跨ぎ108打鳴らされる、テックが進歩した今でも続く古き風習だ。鐘の音は人々の抱えたボンノを打ち払い、人々は今年の因果を断ち切って来年へと踏み出す。神聖なる音。  ……しかしこの夜、その厳かな鐘の音に邪悪なる陰謀が紛れ込んでいた! ◆  街はずれのテンプル。「ケオーッ!」屋根の上で1人のニンジャぴるすが己の青銅めいた腹を叩く。ゴーン……。鐘

          【ボンノ・べルズ・ピーリング】

          【イーヴン・ピルス・ウィル・リパルス】

          【イーヴン・ピルス・ウィル・リパルス】 【前編】 #SCRTKORAI:hakoh: ボスと接触した。名をポープ。RIENnetにて共有| #SCRTKORAI:aqaregia: 確認完了。詳細調査開始| #SCRTKORAI:novice: こちらも同上です| #SCRTKORAI:hakoh: 今から地下へ侵攻。分かり次第情報求む|  ホワイトパロットはコウライヤ秘匿IRCチャンネルを閉じ、地下へと降りる階段を睨みつけた。勇猛すぎる者は策略に死ぬ。だが臆病

          【イーヴン・ピルス・ウィル・リパルス】

          【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】

          【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】  深夜のネオサイタマ郊外、大型トレーラーが荷台のゴミを降ろし去ってゆく。ここはコウライヤが秘密裏に所有する廃棄物最終処分場の一つ。コウライヤのあらゆる廃棄物……主にシャガイ級機密や公に対し秘匿すべき要素を含むものが集められ外部に漏れぬよう処理される地である。  不意に雲が切れ、間から差した光が処理槽を照らした。月光に照らされるゴミ……トレーラーが下ろしていったそれは無数の人、否、ぴるすの死体であった。ドクロめいた月は眼下の光景

          【カースド・スウォーム・オブ・ザ・マリス】

          【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】

          【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】 【前編】 「……我々は虐げられるべき存在なのか!」カソックコート姿の男が祈りを捧げる人々へと呼びかける。赤ら顔の男を象ったステンドグラスから、色付いた光が大聖堂に差し込んだ。 「否!我々は救われるべきなんですけお!」彼が語り掛けるのは何百人もの信徒達。注視すれば彼らの顔が一様に似通っていることに気づくだろう。彼らはぴるす、コウライヤによって産み出される半ばクローンめいた存在だ。 「無論君達モータルぴるす諸君には己を縛る鎖を千切るこ

          【ストーム・イントゥ・ザ・ネスト】

          【エクセプショナル・ロア】

          【エクセプショナル・ロア】  人里を遥か離れた険しい山中、森が開け、山の抉れた地にその鍛冶屋は存在した。そう広くない家屋の大半を鍛冶場が占め、それ以外には必要最低限の生活品しか存在しない。  無骨に切られた白く短い髪、しなやかで引き締まった身体、太陽と炉に焼かれ赤銅色が染みついた肌。カナチと呼ばれる鍛冶師はただ一人金槌を振るい、赤熱する鋼を鍛え上げる。  日も天頂へと登ろうかという頃、戸を叩く音が鍛冶場へと響き、カナチは炉に薪を焚べる手を止めた。今日完成するよう伝えた

          【エクセプショナル・ロア】

          【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】

          【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】  イチカワ・ソメゴロ……元マツモト・キンタロは空を見ていた。ウシミツ・アワーの近付く夜空には珍しく重金属酸性雨を降らせる雲も無く、ドクロめいた月が廃テンプルの上で輝いている。  現実味のない浮遊感に包まれながら、ソメゴロは己が放り出された窓を見た。廃テンプルの5階、割れた窓が遠ざかってゆく。ソメゴロの体は今、空中にあった。  ニューロンが加速し世界が鈍化する中、それでも次第にソメゴロの落下速度は増してゆく。背後には地面が迫っているの

          【ビルドアップ・ザ・ユア・カブキ】

          【ホワイトアウト・エルドラド】

          【ホワイトアウト・エルドラド】  極北、常に吹き荒れる凍てつく吹雪と自然的磁気嵐の影響により物理的、電子的共に隔絶された氷の大地。そしてあらゆる国家、暗黒メガコーポ中立を謳う(厳密に守られているかは別だが)、文字通りの空白地帯である。  その漂白空間にただ一つ、調和を乱す物が存在した。北極大氷河のほぼ中央、雪と氷に閉ざされた白い世界に突如現れ異彩を放つ黄金色の建造物。その名はピル=ドラド宮。壁、床、柱、シャンデリア、そして調度品に至るまであらゆる全てが黄金で作られたその

          【ホワイトアウト・エルドラド】

          【ウェア・ザ・ナイフ・ハド・ゴーン】

          【ウェア・ザ・ナイフ・ハド・ゴーン】「いいか、腕を構え、意識を集中し、カラテを込めて振り下ろす。それだけだ」ジュー・ウェア姿の男が身振りを交えながら語る。同じくジュー・ウェア姿のもう一人の男は頷き、腕を構え、振り下ろす所作をした。  手入れの行き届いたタタミ敷きのドージョー。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはナギナタ、サスマタ、ソデガラミ、ハンマーの見事な墨絵が描かれていた。 「それでいい。見ていなさい」

          【ウェア・ザ・ナイフ・ハド・ゴーン】

          【ブレイク・フリー・オブ・プレディクション】

          【ブレイク・フリー・オブ・プレディクション】 ネオサイタマ地下水道内に作られたアンダーグラウンド無許可教会の廃墟、その最奥に二人のニンジャぴるすが佇む。「ケオッ…」死の脳波パルスが与える不快な痛みに、一人のぴるす、パサーは顔をしかめた。「今、プレーブス=サンが爆発四散…これで防衛部隊は全滅なんですけお」 「予知を元に対策を取ってこの体たらく…いや、むしろ敵を褒めるべきなんですけお」ザゼンするもう一人のぴるす、プロフェシーはこめかみに指を当てたまま答えた。敵…コウライヤのサル

          【ブレイク・フリー・オブ・プレディクション】

          【ノルウェー海海上:ホワイトパロット】新たなヴィジョン

          「イヨーッ!」恐るべきポン・パンチが、船を締め壊そうと目論む1本の巨大触手を爆散せしめた。「ケオーッ!?」恐るべき巨体の軟体ぴるす…プンナーは海面で悲鳴を上げる。「愚かなり、君に力を与えたのは誰だと思っている」ホワイトパロットの声が極北へと至る冷たい海に響く。 プンナーというぴるすはかつてコウライヤが生み出し、そして海洋へと放った後に行方をくらませていたニンジャぴるすである。何の縁か彼はぴるす正教会の手先となり、極北へ向かうホワイトパロットの前へと現れた。「イヨーッ!」「ケ

          【ノルウェー海海上:ホワイトパロット】新たなヴィジョン