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高校生によるエッセイ ΠΡΟΔΟΣΙΑ No.9

いや、時間が経ちましたね。もうすぐ10月ですってよ。

高校生によるエッセイ

ΠΡΟΔΟΣΙΑ

No.9
「なんとか生きてます」

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僕の記憶では、このエッセイの更新が止まってから3ヶ月、プレイリストを作るのを止めてから2ヶ月が経った。
あれから本当に沢山の理不尽に巻き込まれ、割と今までにないほど疲れてしまって、暫くこんなものを書ける暇などなかった。

放送部の大会で無理強いをする後輩と対立し、結局3人程度で作ることになったラジオドラマが県大会で止まり、3ヶ月間毎月テストや模試が連続して非常に気怠い上に苛立っていた日々が悶々と続き、昨年出来た友人との仲があまり芳しく無くなって、6月に入る前は半年弱ぶりに例の鬱状態を発症して気が滅入っていた。
とまあ、エッセイ停止の言い訳をここまでつらつら書いてきたが、時間をおいた今では何とか普通に生きている。

久しぶりにエッセイを書こうとした6月1日の下書きをここに乗せておこう。この頃が、件の後輩とのいざこざがあった頃なので、今年一番病んでいたと思う。

(作品提出も最早諦めていた頃の事だったので、今自分で読み返しても虫唾が走るほど自分のことを可愛がっているように見えると思うが、了承して欲しい。)

6月に入り、もう僕のすることも出る幕も無いので部活に顔を出しては帰ってくる嫌な先輩っぽい生活を送るようになった。晴れ晴れとした空の下、帰路について今日も何となく非常に消えてしまいたいのでイヤホンを取り出した。
苛々する。神様というのが本当に居るなら、相当薄情なんだろうなとつくづく思う。先輩たちが親身になって僕の話を、愚痴を聴いてくれたのでそれだけで立ち直れとでも言うのか。頑張っている人間を認めてくれないのならあんたなんかいらねぇよ。

...うん。大層傲慢に見える。なんならこの下書きを見つけて恥ずかしくて堪らなかった。苛立っている自分を傍から見たら単なる自己中過ぎて逆に笑けてきた。じゃかしいな。

まあ、この日に件の後輩に泣かれた所為で僕の立場は非常に良くない所に落ちていったのは事実だ。先輩たちに愚痴を言って、自分の言い分を話すことで何が幼かったかとか、どこがいけなかったのかを見つめることも出来たし、胸の中からかなりの割合の苛々が吐き出されていた。今はもう引退してしまったので、ありがとうと感謝を伝える機会を逃がしてしまったのは非常に残念だ。気が滅入っていた僕は、自分が可愛くて仕方ないであろう件の後輩とさほど変わらない状態に陥っていたのを痛感した。よくない。これはよくない。

しかし、理性ではそんなことは解っているし今では直ぐに解るのに、とにかく見返りが欲しくてたまらなかったのだ。名誉だとか地位だとか報酬とかそういうものが欲しかった。僕は所詮その程度だったのだ。

兎に角、目先の利益と名誉が欲しかった。今しがたこうして思い返してみると、自分にこうも生々しい欲望があったことに気が付いて驚いている。「誰か僕を見てよ、こんなに頑張ってるのに」という恥ずかしいザマを晒して歩いていたのである。
自分で自分を惨めに仕立て上げる、なんというか「さほど」どころか本当に例の後輩と同じようなモノになっていたと思うのだ。
とりあえず、その日のうちに、何とか自分で出来るだけの編集と録音を繰り返して帰った。

翌日、あんなにひどく言っていた神様が、僕を見捨ててなかったことを知る。米津さんのライブのチケットに当選したのである。
自分でも現金なヤツだとは思うが、この時、僕の中から後輩への鬱憤が消えて晴れ晴れとしたのだ。何度米津さんに救われる人生なのだろうか、本当に感謝しかない。

さらに星野源のオールナイトニッポンからねぶり棒が届いたのだ。緑のねぶり棒だ。なんて嬉しいことだろうか!

それからの顛末をつらつら書いていると読む気がきっぱりと失せると思うので省く。冒頭に言った通り、何とか作品制作を終え、結果的には県内3位になったのだが全国大会には進めず。テストがあるし英検には落ちるし文化祭は忙しいしで超過密な毎日を過ごした。

その上、僕は放送部部長にまでなってしまったのだ。もう何があれど放送部から逃げることは出来なくなってしまったのだ。しかし、もう多分あまり嘆かないだろう。苦しい度に、源さんから貰ったねぶり棒を眺め、米津さんの当選メールを見て気分を高めて何とか乗り切ってきた。

今、僕は本当に多くの人間に生かされてるんだなとつくづく思う。

期待に応えようと思える程、心に余裕が出来た。
しばらくこうした日々を生きていくのだ。なるようになればいいと、そう思うのが一番いいのだ。これが今の僕なのだ。

海沿いの街が見えてきた。高速バスでこのエッセイを書いていたのだが、どうやらもうすぐ着くようだ。
シューという音をたててドアが開いた。

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