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山口一郎と厚着
私のサカナクションとの出会いは
2007年の彼等のメジャーデビュー時。
その頃snsの先駆けとなった「MySpace」というエンターテインメントを軸としたソーシャルネットワーキングサービスがありました。
大物ミュージシャンからインディーズアーティストまでフォローし、新譜をいち早く視聴出来るなどのメリットがあり、自分流のプロフィール画面を作成することに満足感を得られるその頃にしては斬新なサイトでした。
インディーズバンドなどその場でメンバー募集とかしてましたね。
ある日エレクトロミュージシャン系のアイコンを多数貼り付けていた私のアカウントに一通のDMが届いてました。
「初めまして北海道から上京したサカナクションと申します。この度メジャーデビューとなりました。エレクトロな音楽がお好きなようなのでもし宜しければデビュー曲を聴いていただきたいと思います。」
うろ覚えですがMVのリンクと一緒の内容のDMでした。
釣り好きな少年が軽快なリズムのエレクトロに心象風景を思わせる歌詞を乗せている。
私は音楽を最後まで聴き感じたのは音と歌詞のシンクロ。
きっとこの頃から彼等の音楽の魅力に惹き込まれていたと記憶してます。
そのうちいつかライブに行けるだろう。
そうこうしているうちに、彼等のライブのチケットは簡単に入手できないほどに大きな規模となりました。
2022年頃全国ツアー前にフロントマン山口一郎氏の体調不良がニュースで伝えられた時思ったのが
「この時期(コロナ禍)こんな感性の人が普通でいられるわけがない」ということ。
彼の書く歌詞から想像することができる直球でありながら繰り返される力のある大事な「言葉」
なかなか普段口に出して言えない頭の中の言葉を上手く表現できる感性は、逆に自己をも蝕んでいったのだと思ったのです。
・好きなもの(趣味など)から離れていく
・周りに諦められてしまうのではないかという不安感
・昼は身体的にしんどくて、夜はメンタル的にしんどい
・仕事なら直ぐに辞められる。仕事じゃないから、音楽は辞められない。だから逆に厄介なんだ。 音楽はぼくにとって趣味。 大袈裟に言うと「人生」
・圧倒的な孤独と不安そんな中でも、病を受け入れて、この野郎って肩を組む気持ち
・人生は不可逆。かつての自分と今の自分は違う。すっかりそのまま過去の自分に戻ることなどできはしない。好きなことを好きなままでいられたら、苦しみとも肩並べて歩んでいけたら、それで十分。
・一番近くにいる(いた)仲間に病気の症状などを知ってもらえたのが良かった。
・番組がこの病気(うつ病)のリファレンスになれたらいいなと思った
今回NHKスペシャルにて、彼のドキュメンタリーで語られていた言葉です。
私は同じ病気を抱えながら
ようやく吐き出せたキモチというのは自分にしか理解できないことであって、誰かが助けてくれるものではないというのを嫌と言うほど経験してきました。
これからもきっと人生には問題は起こるし、辛い思いもまた必ず経験することになるでしょう。
ただそれに順応する強い心があるか無いか。
世界を変えようとしても無駄。
優しい言葉をかけて欲しいと身近な人間を変えようとしても無駄。
やはり自分が変わらなきゃ何も解決できないんだと私は毎日毎日言い聞かせています。
元の戻るのでは無く新しい自分になる。
彼はきっとそれに気付いたんだろうなという印象でした。
人それぞれ抱えるものの大きさも重さも違います。
でも感じる心のストレスの重量は皆同じ。
彼の書く歌詞に何曲か「厚着」という言葉が登場します。
メジャーデビュー時、彼は厚いマントを着たように見えていた。とかつての地元のバンド仲間が告白しています。
過去の経験、現在のしんどさ、目に見えないプレッシャー、それらを全て重たい厚着をすることで包み隠し、自分の中に蓄積して行ったのだと私は感じました。
うつと戦うのではなく肩を組んで付き合っていく。
まさに今の私が感じ始めていることです。
最近季節の変わり目も加わり体調が非常に悪いし、寝込む程の頭痛は相変わらずです。
帯状疱疹の後遺症が辛くまたあの痛みが襲ってきたらと不安もあります。
しかし以前ほどの手探り状態でもないし、自分に合う投薬も続けています。
明日になれば良くなるというパターンが大分分かってきました。
これまで厚着で隠しながら無理をしていたんだという事を素直に認め
「焦る」という気持ちさえ持たなければ体調もマイペースでいられる。
「期待」もしなければ、誰かの何の中身もない言葉に傷付くことも無いし怒る事も無い。
何故分かってくれないのだろうという疑問も湧かなくなる。
自分は自分。
他人はしょせん他人。
そうやって時折肩を叩きに来る黒い犬を上手く飼い慣らしながら、軽く挨拶をし私は付き合っていこうと思っています。
I Had a Black Dog.
https://youtu.be/FOzId4FwEPk?si=ce5F5j3aD5I9aQtP
そして、メディアでこの病気と向き合う自分を曝け出した彼の勇気に感謝です。
きっとまた素晴らしい「ミュージック」を届けてくれるでしょう。
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