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魔法のピスタチオ

先日note界の神絵師、かこ姫からサポートのお礼ということですごいプレゼントをもらってしまった。

詳しい経過はこの↑記事に掲載されているが、プレゼントされた絵や漫画はフリーで使ってよいとのことなのでありがたく使わせてもらう。

金の黒猫と銀の黒猫

そして正直者の冷蔵庫は、金、銀、黒の猫たちをもらえました、めでたしめでたし。

せっかくなので、もらったにゃんこ素材たちを使って記事を書いてみようと思う。

魔法のピスタチオ

ピスタチオ猫

昔昔あるところに、三人の猫の兄弟がいました。

金の黒猫

長男の金色の猫、カシューナッツ。

銀の黒猫

次男の銀色の猫、アーモンド。

本物の黒猫

三男の黒猫、ピスタチオ。

あ、全部の猫ピスタチオくわえてるじゃねーかってツッコミは勘弁w

とにかくその三兄弟は、世界で不思議なものをそれぞれ見つけて来よう、と言って旅に出た。

世界中で三猫が見つけた不思議なもの

長男のカシューナッツは、世界中のどこでも見ることができる双眼鏡を見つけた。

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次男のアーモンドは、空を飛ぶ魔法のじゅうたんを見つけた。

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三男のピスタチオは、緑の豆に食われかけた黒猫…でなく、不思議な力を持つピスタチオの実を見つけた。口にしたもののどんな難病も治すという。

ピスタチオ猫

三猫は家でお互い持ち帰った宝物を見せ合い、「じゃあ早速カシューナッツの望遠鏡を見てみようぜ!」と覗き込んだ。そうすると、見えたのは城だった。

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そして城の中には、とても美しいお姫様がいた。

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三匹はお姫様に一目ぼれし、会いに行こう、とアーモンドの魔法の絨毯に乗って城へ行った。

しかし城へたどり着くと、姫は床に伏していた。重病で、もう長くないと医者にもさじをなげられていた。

ピスタチオは「これを」と自分の持っていた魔法のピスタチオを差し出した。半信半疑で城の者たちは姫に食べさせてみると、彼女はたちまち元気になった。

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王様は大喜び。「よくぞ姫を助けてくれた! 褒美に君たちの誰かを、姫と結婚させてやろう」

この国は幸い、政略結婚とかそういうのを気にしなくていい時勢だったらしい。三匹はソワソワ。一目で会いに来たいと思った美しいお姫様、だが結婚できるのは一匹。するとお姫様が口を開いた。

「すみません、私から皆さんに質問があるのですがよろしいでしょうか?」

──ここでちょっと止まって、姫はこいつらに何を聞こうとしたか、ちょっと想像してみてほしい。

婿候補たちへのお姫様の質問って何?

姫はまず、双眼鏡を持ったカシューナッツに聞いた。

「あなたは双眼鏡を使ってこの城のことを知りました。その双眼鏡は、今ももとのまま使えますか?

カシューナッツは答えた。

「ええ、お姫様。この双眼鏡はもとのまま壊れていません、相変わらず世界中のどこも見渡すことはできます」

次に姫は、空飛ぶ絨毯を持ったアーモンドに聞いた。

「あなたは空飛ぶ絨毯になってここまで来ました。その絨毯は、今も乗れますか?」

アーモンドは答えた。

「ええ、お姫様。この空飛ぶ絨毯はもとのままです、相変わらず世界中のどこでも飛び回ることはできます」

最後に姫は、ピスタチオの殻を持ったピスタチオに聞いた。

「あなたは私にピスタチオを食べさせてくれました。その実はまだ元のまま、食べることはできますか?」

ピスタチオは首を振った。

いいえ、お姫様。ピスタチオはもう残っていません」

姫の決断

質問を終えた姫は、父親である国王に向き直って言った。

「お父様、私はこの三男のピスタチオさんと結婚しますわ。だってこの方は、私のために自分の大切な宝物を使い果たしてくれたのですから」

──かくして、ピスタチオはお姫様と結婚し、国王として幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

元ネタ

あ、ワリィ、この話は俺の完全オリジナルでなくて、「魔法のざくろ」っていうユダヤ民謡が元ネタになっている。話をわかりやすくするためにだいぶ端折ってるところもあるから、本家が知りたい人は魔法のざくろでググってみるといいよ。

この話は教育熱心なユダヤ人の家庭で、子供たちに成功体験を教えるために伝えられているということらしい。最初に結論を全部いうのではなく、ここでどうしたと思う?とかページを止めて考えるトレーニングみたいなのもやっているらしい。「自分の頭で考える」がユダヤ流だから、この話への感想や結論も各家庭によって違うだろう。

よく「魔法のざくろ」でぐぐると出てくる教訓は、この話はNo pain no gainみたいな意味で使われている、とのこと。つまり貴重なピスタチオの実を使わなければ、大切なものを得られないとかそういう話。

俺が思った感想としては…この話でピスタチオ(猫)の評価されるべき点は、姫から褒美をもらおうとか、結婚しようとかそういう条件を出さずに、まず病気だからすぐ自分の宝物を出した、そういう純粋さが尊いと感じた。逆にそういうこと先に言ってたら、褒美に金子とかはもらえたかもしれないけど、婿になるって話は来なかったんじゃないかと思う。

何かを得られると思って宝物を使うのではなく、正しいと思ったことのために自分の大切なものを使う。それが時間であっても宝物であっても。そんな純粋さを持っていて、失うことを恐れない勇気のある人間が、幸福な成功を得られるって話なんじゃないかと思った。

あとこのお姫様がめっちゃいい女だよなっていう。こんな美人で性格のいい女なんてエロゲーくらいにしか出ないだろうと思いつつ(笑)すでに財産はあるし容貌にも恵まれているから、いい女っていうのは男を選ぶ基準が推敲という話でもあるのかもしれない。

ピスタチオ猫

魔法のピスタチオの代わりにnoteのデータを失うことになった俺の友達もそういういい奴だった。そういう奴は失ったもののぶんは返ってくるだろうし、こういう幸運に恵まれて幸せになれるだろうなって思ったって話。