『風立ちぬ』妄想後日談



二郎が、煙草を蒸している。駅の喫煙室で。
妻に先立たれてから、何年が経っただろうか。
今でも、脳裏に菜穂子の面影がチラつく…。

ふと、二郎は目を疑った…‼︎
ああ、あの姿は…。
濃紺の髪色、華奢な立ち姿、育ちの良さを思わせる歩き方…。
サナトリウムを抜け出してきた菜穂子に、
よく似ていた。

「あっ、な、なっ、菜h…」
思わず口にしかけた言葉を、
煙草の煙と共に吸い込む…。

「いや、まさかな…。」
煙草の灰が白いスーツに落ちる。

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