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書評〈ドッペルゲンガー・分身〉

アナログ作家の創作・読書ノート   おおくぼ系

敬愛する文芸評論家の越田秀男先生から書評が届きましたので、以下転載させていただきます。ヨロピク!


  タイトル〝ドッペルゲンガー・分身〟から察して 二足の草鞋 の構え 二項対立 プラハの春vsワルシャワ条約機構 チェコvsスロバキア 性愛vs国家愛 男vs女 詩vs小説 東欧vs東南アジア プーチンvsバイデン 米vs中 アナログvsデジタル キャリアvsノンキャリ 官vs民 凸凹 あらゆる 認識と表現の基礎であり 言葉アートの基礎でもありますが 今回の作品は 二項対立を際立たせて そこが作品の〝ミソ〟になっているように思われます

 ミラン・クンデラの作品は一つも読んでいません 少なくとも『存在の耐えられない軽さ』を読んでいないと 今回のおおくぼ系の作品はキチンと鑑賞できないようですね 私らなんかが 平和ボケの最中 過酷な運命に翻弄されながらの〝愛〟〝セックス〟……

 〝ドッペルゲンガー・分身〟──《やはり、女性は愛をメインテーマにして愛に酔いたいのだ。女性は愛に飢えてもいる。/──愛はまやかしでしかない──と、分身の安東が叫んでいた。愛があったとすれば、それは祖国に対して、また外務省や同僚にであった。経験からして男女の愛の現実はセックスであり性愛は行きつくと燃え尽きてしまう。愛が劣化すると憎悪のみが残った。》

 いつだったか 生物学者の言葉のトウシロウ的受け売り──男は女のキチンとした生殖遺伝子の一部が欠損していて それを穴埋めしようとして 女と結合しようとする──を書いた記憶がありますが その願望がセックスの衝動の基礎となっている この遺伝子欠陥が 宇宙が拡張し続ける原動力でもある そしてこの膨張は必ず収縮期を迎える では女は? という質問に対しては──地球の生命体とはとても思えない

 ミラン・クンデラの情報を網際波乗(ネツトサーフィン)していたら西永良成さんの文章の引用がありました(『小説の思考 ミラン・クンデラの賭け』)

《宗教も世界平和も人類愛も、「糞など存在しない完璧な世界」を提示して我々を陶酔させる》──キャッチコピーは笹川良一さんの〝人類は一家皆兄弟〟──この中にプーチンや習近平や安倍晋三や……みんなこの完璧な世界の中にお入り下さい

 

〽まふたつに割った青空半分を貴男にあげる約束の春──この歌 俵万智作の編曲ですか それともおおくぼさんの独作? としたら なんとも俵万智的 特待生! 名人!


  (以上です。越田先生は図書新聞で同人誌時評を連載中)

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