いてくれるだけでいい

「いてくれるだけでいい」という言葉を頂いた。

最初それを言われたときは曖昧な返答で誤魔化したが、それってもしかして物凄く嬉しいことなのでは、と今になってなぜか思い始めていて。

夫婦喧嘩の中で過ごした幼少期、自分なんて居なければ、自分さえ居なければ等と繰り返しながら窮屈に生きていた結果、絵に描いたような自己否定人間が順当に完成。それが大人になった今、「いてくれるだけでいい」なんて漠然としたことを言われてしまって。

息をすることにすら罪の意識を覚えていた幼い頃の自分と、当時の記憶と気持ちを引きずったまま大人になってしまった自分、その両者が同時に救われたような気がした。

あの時その人は何を思い私にそう言ってくれたのかその真意は分からないけど、自分にとって大切にしたいと思える言葉が増えたのはまぎれもない事実で。

全てにおいて否定的で懐疑的な人間が誰かに肯定してもらえたときのあの何にも代え難い気持ちに慣れることはきっと死ぬまでないだろうけど、言葉の力をたまには信じたい。