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【肺がん】自分はどんな治療をしたい?が起点。病院選びから治療は始まっている。

癌と言われて思考が停止しても、次(治療)を考える場面がほどなくしてやってきます。気持ちを切り替えるのもなかなか大変です。
どういった治療をしたいのか、そのためにはどこの病院で治療をするのか。治療をするのは誰でもない、自分なんですよね。なのに私は深く考えることなく進めた結果、後々失敗したと後悔しました。

自分はどんな治療をしたいのか?が大事

治療は遺伝子変異がある人か・無い人かでまず大きく分かれ、遺伝子変異があると内服や色んな薬があるそうです。この癌のタイプが分からないと治療のレシピもできないから、まずは遺伝子解析をすることが最初のようです。
肺腺癌は何も治療をしないと半年で亡くなる方もいるそうです。私は人間ドックから半年たっておりこれに該当していたので、もう手遅れなのか?!と親は大変焦りました。
がん治療でイメージされるものに放射線治療がありますが、私にはこれが使えません。放射線治療は腫瘍(局所)に照射して良い細胞にもダメージを与えつつ癌をたたきます。私の場合肺の広範囲に癌が広がっているため放射線を使うと肺全体にダメージを与えることになってしまい、苦しくなって息も出来なくなってしまう。だから全体をターゲットにするということになりました。

癌(抗がん剤)治療=どんなに辛くても治療するというイメージだったのですが、先生から「抗がん剤治療はあくまで日常生活を取り戻していくために行うもの」であり「抗がん剤治療のメリットとデメリットを天秤にかけて、それでもメリットのほうが高いと判断できるのならやっていく。いくら効果が高くても例えば生活が全然送れなくなる等であればそれは考えていく必要がある」と言われ、自分が想像していた印象と違っていました。

また「例えば高齢の方だったりすると積極的な治療はしないと希望されるケースもあるが、基本的には治療前提で病院側は考えて提案する。これらを踏まえてどういった治療をしていきたいかを患者さん自身で考え選択していただきます」といったことを説明されました。
「それで、あなたはどういった治療をしていきたいですか?」

先生から問われ、この時点で言える希望を素直に言いました。
「切った張ったは正直したくありません。あと、余命をのばすためにメチャクチャ頑張って治療することも望んでないし、それができる自信もありません。」

「何もしないと余命1年弱ってことなら、それを2年・3年に延ばすといったことから・・」と言うと「どこまで伸ばせるかはやってみないと分からない。まずはこの先、半年・1年どれだけ時間を伸ばせるかを私達も目指していく」といったことを言われました。文字にしてみると心強く感じますね。でもこの時はあまり実感なかったです。

どの病院にしたいのか、セカンドオピニオンは受けたいのか

この病院は自分で選んだ病院ではありません(人間ドック受診病院の先生からのご紹介)。結核疑いになってから約2週間あっという間で現実味がなく、どこか他人事のような感じすらあり。病院えらびも全然でした。

遺伝子検索の結果、ROS1遺伝子変異が原因とのことでした。ラッキーなことにこれに対応する治療薬(内服)があり、年齢も加味して月に1~2回の通院(外来)でOKです、と言われました。(高齢の方だと例えば何かあった時のフォローを迅速にできない可能性があるため入院かもしれないそうです)
これを聞いた時の心境は「外来で良い=会社を休まなくて良い、よかった!」ほぼこれだけでした。

セカンドオピニオンもあることを言われましたが「(がん治療には)ガイドラインがある程度あり、それに則った治療をしていく。なので例えば有名病院だったとしても治療内容は同じになると思いますよ」とも言われました。
因みにセカンドオピニオンの話は先生側からだしてくれました。ご希望なら全然対応しますよ、という感じ。嫌な顔されるなんて話も聞きますが、そんな時代じゃないのかな。

思考停止になったら少しでも早く脱出しよう

本来ならせめてこの段階ぐらいまでには色々と調べて質問事項を準備しておくべきだったんじゃないかと思います。こちらから希望しなければセカンドオピニオンも受けられませんし。親は他院で目星をつけているところがあったためセカンドオピニオンしたら?と言ってくれましたが、この時はどこか思考が停止してました。
いつまでに返事をする必要があるとか言われた訳ではありませんでしたが、どこが良いなんて分かりようがない、ってのが本音でした。だから本当に何の準備もせず、ただなんとなく、この病院でこのまま治療を始めることに決めてしまいました。

何か考えたこと・・強いて言うならホント通院のこと位です。この病院は土曜日もやっていたので「土曜に通院できたら会社休まなくて良いじゃん」と。とにかく考えが浅すぎました。

誰もが「一番良い治療」「特別な治療」をうけたいと思っている。じゃぁ一番良い治療って?

じゃぁ皆さんどんな風に病院選びをしてるのか?ですが、根底には「自分は一番良い治療を受けたい」があるから皆悩むわけです。
先生から言われたことと重複しますが、いわゆる標準治療=一番良い治療として今はある程度確立されているため、よほど稀なケース等でなければ標準治療が一番良い治療であると信じて良い(信じるしかないですね)ようです。

あとは、有名な病院、治療実績が多い病院、有名な先生がいる病院、自宅から近い病院、自分や知り合いが通っている(いた)病院等々、えらぶ理由は十人十色で構わないと思います。ただ悩んで決めても、実際に診てくれる先生との相性もありますからね。

せっかく紹介してもらうならやはり納得できるものにしよう

セカンドオピニオンの時、転院時など、紹介状を書いてもらう時って病院名まではなんとか選べても、先生まで特定することってなかなか現実的には難しいことが多いかと思います。知り合いの先生を紹介いただけたり、有名な先生がいるとかだったらまた別ですが。
先生は運による部分があるとすれば「自分が納得できる(であろう)病院をえらぶ」ことは自分の意志で出来ることの1つでもあります。文字通り自分の身を預けるわけですから、どんな理由であれ後悔しない先にすることをお勧めします。

余談ですが「がん相談支援センター」という、どなたでも無料・匿名で利用できるがんに関する相談窓口ですのが全国にあるそうですので、そこに相談するというのも良いそうです。

私が病院選びを失敗したと感じた理由

治療を開始してまもなく私は入院になってしまいます。その結果私は転院を希望するのですが暗礁に乗り上げます。原因は「治療途中での転院」だったからです。そしてこれが基本的にむずかしい(断られる)ということを、ここで初めて知ります。昨今はコロナ渦もあり新規転院患者の受け入れは更にハードルが高くなっているそうです。
誤解を恐れずに書くと、こちらが転院先を決めて転院するのでは無く、転院を受け入れてくれる病院が(運よく)あった場合だけ転院が叶う、ということです。いくら行きたい病院があっても先方からOKがもらえなければNGなわけです。
当初に親が勧めてくれた某病院を希望したのですがお断りされ、他の病院もダメでした。複数の病院からだったので堪えます。
この頃やっと自分でも病院の情報等を入手し始めていたので「最初の治療開始時にもっと色々調べて、行動していたら・・」と思うと本当に何とも言えない気持ちでした。後悔してもしきれません。

紆余曲折はあったものの、最終的には受け入れていただける病院が見つかり転院は叶いました。転院先がみつかった私はラッキーでした。

【余談】自分の希望で病院を変更したいとき

転院される方って稀だと思うので余談になりますが備忘のためにも書いておきます。自分の希望で病院を変更する主な方法(★)にはいくつかあるそうです。そもそも治療途中で転院するのは本来「やむをえない理由」を主としているようで、具体的には何らかの理由で引越しをするケースのようです。
(例:東京住まいで東京の病院に通っていたが、転勤で北海道住まいになった。東京の病院に通えなくなるため、北海道の病院へ転院したい。)

(★)
①新病院へセカンドオピニオンでみてもらい、ダメ元でまずは相談
②新病院へ新患として1から掛かる(現病院への対応はご自身判断で)
③現病院⇔新病院の病院同士で転院のやりとりや手続をしてもらう

ちなみに私は③でした。すべての病院に無い可能性もあるのでご自身で確認していただきたいのですが、病院には病院同士で連携してやりとりしてくれる仕組みがあるそうです。この方法が叶うようであれば病院側が主導で動いてくださるので個人で動くよりもスムーズで確かです。最初は①か②の予定だったので本当に助かりました。

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