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【肺がん】先生と信頼関係を築いていくのも治療のひとつ

やっと癌治療が始まります。まだまだ勉強不足な自分でしたが、癌の進行度合い(ステージ)ぐらいは聞きました。
わからないことは遠慮せず先生に聞いて解消するのが良いに決まってます。そのためには日ごろからの関係性も影響してきます。でも色んな事情から聞きづらいケースってありませんか。先生に聞きにくい場合は看護師さんへ相談するというのも一つだと思います。自分は当初そういったことがうまく出来ていませんでした。

よく聞く「がんのステージ(進行度合い)」自分が幾つかは、確認するとある程度の心づもりになる

PET-CTも行って、以下が分かりました。
・全身に転移している
・骨やリンパにも一部転移している

上記を踏まえ、結論から言うと私はステージ4でした。ステージは先生から積極的には言われなかったため自分から確認しました。
PET検査って初めて受けたのですが面白いですね。腫瘍の集積(癌細胞)箇所が光る(それも蛍光色)とは。つまり「癌を目で見ることができる」ってことですもんね。科学ってすごい。
先生が結果を説明してくれる際に画像を印刷した紙を渡してくれたんですが白黒印刷でした。(これは仕方ない)

がんのステージ、またステージ4について
・癌の進行度を示す指標として国際対がん連合(UICC)が定める「病期(ステージ)」が存在しており、癌のステージは0から4までの5段階が存在する(0より4のほうが度合いは進行)
・ステージ4は初めにできた原発巣を超えて他の臓器へ転移している状態
・ステージ4の基準は「癌転移の有無」であり、ステージ4と宣告されたからといって必ずしも末期状態とは限らない
・ステージはPETを撮った段階(の状態)で判定される。よってPET撮影後にがんが進行していても(PETを新たに撮らなければ)ステージとしては基本的には変わらない。

外来日の希望等も可能ならば先生と相談するとよい

全身がターゲットの抗がん剤治療となりました。投薬はクリゾニチヴ成分(製品名ザーコリ)。免疫療法や昔からある点滴療法もあるが最初の治療にはこれを使うのが好ましく、これが効かなくなったら他の治療を考えていくことになるそうです。
副作用として肺や肝臓に悪くでることがあるため、始めの一か月は週1~週2ペースで診察+血液検査、その後は徐々に頻度を減らしていくことに。
私は基本的には土曜外来+不足分は平日でとお願いできたので、有休を使う回数が減らせました。先生の勤務状況によりますが、個人的に気になる点だったので、先生に相談が可能ならしてみると良いと思います。

服用にあたっての制限は特に無いそうですが以下だけ言われました。
・免疫システムが衰えているので感染(対策)には気を付けて
・民間療法(例:アガリスク等)も色々あるが当面は避けてほしい
・具合が悪くなったら遠慮せず病院へ連絡するように

飲み忘れた場合の対処方法も事前に聞いておいて良かった

飲み忘れたらどうすればいいか?なんてことも聞いてしまいました。1日2回だったのであり得るかなと思って。ザーコリは重複服用NGといわれましたが、万が一のために確認しておくと良いかもしれません。

抗がん剤を飲む意味

抗がん剤を飲んで癌がなくなる人も稀に居るが、(私の場合は)完治は難しい。抗がん剤を飲む意味合いとしては病気の進行を延ばすこと(=現状をキープする、もしくは少しだけ良くなる)だと言われました。
変に治るとかの期待をもたせない言い方(完治はしない)をされたのは良かったと思ってます。

ザーコリの服用で具体的にどれくらい余命が延びるのか

服用によって1年7ヶ月を確保できた人が多いという中央値のデータがあるそうです。つまりは薬が効いた期間が1年7ヶ月だった人が多い(その分余命が延びる)ということ。但しこれはあくまで中央値なので、これより長かった人もいれば短かかった人もいるということになります。
服用をすれば1年7ヶ月を確保できる可能性が高いけど、もし何も治療しなかったら年内も厳しい(当時5月だったので約半年)と。
先生からは「1年7ヶ月も延ばすのは結構めずらしい」「だからこそ一番最初に投与するのが良い。ほかの薬はそこまでじゃない」と言われました。
分子標的薬がすごいのかザーコリという薬自体がすごいのか分かりませんが、対応する薬があって良かった。服用前だけどラッキーと言って・・いいのかな。

補足すると、いわゆる本来の余命(=トータルの生存期間)で言うと、ザーコリ服用終了後に違う治療ができればその分余命が延びます。つまりトータルの生存期間としては1年7ヶ月以上になっているかたが多いようです。

ザーコリが効かなくなったら
目安として1年7ヶ月後になるのでしょうが、今の段階では昔からある点滴の治療(入院して行うような)になるだろうと言われました。薬が効く限りは飲み続ければよいけれど、大体は他の変異や薬が効かなくなってくるそうです。

薬の在庫なんて考えたことなかった。てか、在庫が無いってあるの?

先生から言われて「へぇぇぇ」と思ったのが以下です。
・この薬(ザーコリ)は比較的高い
・普段薬局でよく出る薬では無い(例:高血圧の薬などとは違う)。だから在庫として置いておらず、処方してもすぐ飲めない可能性がある。

正直、薬局に置いてない(可能性が高い)薬かなんて気にしたこと無かったです。でも確かに地元の小さな薬局とかならその可能性は高く、最初に言ってもらえて良かったです。
それもあり病院近くの薬局に行くことにしました。大きな病院あるあるですがすぐ目の前に何軒も薬局が連なっており、行くには困りませんでした。
反面困ると思ったのは、在庫がないと取り寄せになるんでしょうが再度足を運ぶのに自宅近くじゃないということ。
薬局で諦め気味に在庫の有無を聞くと、ナント「在庫あり!」でホッとしました。ここで気が抜けてしまったのが良くなかった。

「比較的『高い』お薬です』・・・ですね。間違いない。

先生から言われたことをすっかり忘れてました。お会計で薬局のかたに笑顔で言われました「お会計ですが・・」

5秒くらい時が止まりました。「・・・(苦笑)。・・はい?」と頭の中で言いつつ、間違いなく変に笑いながら顔が引きつってました。
金額は8万円を超えていました。それも14日分で。1か月分じゃないんですよ。
「このひと涼しい顔してるけど言い間違いじゃぁないんだよね。えーーと、これが今後ずっと掛かっていくのか。えマジで??あーこれが癌治療なのか。えーと・・あ″ーう″ー」といったモヤモヤが一気に駆け巡りました。
そして回避できるわけないのに、素直に財布をだして支払うことに躊躇を感じてしまいました(ゴメンナサイ)。だってこんな高額な物、実生活でも買ったことありません。
私はまだ高額療養費制度(※)を理解していなかったため、薬局のかたにたまらず「今回初めて抗がん剤を処方してもらったんですが、この金額が毎回かかるんですか?(泣)」と泣きついてしまいました。
まぁ何はともあれ、処方当日に抗がん剤を受け取ることができました。

(※)医療費の自己負担額が高額になった時、限度額を超えた額があれば後から払い戻しされる(約3ヶ月後ぐらい)。ただし限度額適用認定証を提示すれば、自己負担限度額までの支払いで済ませることができる=医療機関の窓口で一時的に立替る負担も不要になるという非常にありがたい国の制度。

素朴な疑問ですが、だったら限度額認定証なんて提示せずとも最初から一時立替しなくて済むようにできないんでしょうか。できたら便利なのに。
因みに私はクレジットカード払いでしたが、現金払いする人だったら最初は困るんじゃないかなと。

服用1日目→なんてことないじゃん。2日目→ガッツリ吐き気に見舞われる

ザーコリはカプセル状ですが大きめなので2cm以上あります。このままじゃ飲めないと、らくらく服薬ゼリーを慌てて購入しました。

1日目、こわごわ飲みました。が、なんにも起こらず。なんだ楽勝じゃん。
2日目、昨日同様に飲みました。するとなんだか喉につっかえた感じが出ました。水を飲むものの解消せず横になります。これが良くなかったのか喉(食道)の異物感がひどくなってきました。食道のあたりがとにかく痛い。唾を飲み込んだりゲップをすると異物感が上下に移動する。それを繰り返した後に何度か嘔吐。怖くなって翌日病院へ行きました。

今回は副作用(吐き気)が出ているということで抗がん剤は一旦中止、症状が落ち着いたら減量して再開することになりました。
副作用は薬が効いているからこそ起きているとも考えられる。効いてほしいし使ってほしいと思っている。だから一旦休薬してまた大丈夫になったら再開しましょう、と先生から言ってもらえました。

ザーコリの効き目が確認できた。無事に効いているらしい。

レントゲンを見るとたった2日だけど肺の白さが薄くなっており、ザーコリがどうやら効いていることが確認できると先生から言われました。(ただ素人目に、白さの違いは判別できず)

聞きたいこと言いたいことが言える関係性を先生と築くことは今後の治療にも影響する

振り返って思うのは、小さなことでも先生に言える・聞ける関係性を日ごろから築いていくことが大事だと思いました。そもそもが不安ですし、具合が悪くなることも出てくる。こんなことだけど言ってもいいのかなと躊躇したり、家で悶々と考えてしまうこともありました。
医療関係の知り合いに相談したら「なんでも聞いて良いんですよ。聞いちゃいけないことなんてありません」と言われました。
知り合いに癌サバイバーの人がいるのですが、いつも先生と喧嘩してたと言ってました(笑)。文字通りの喧嘩では無いんでしょうが、あとで自分が困らないためにも言いたいことはちゃんと言っていたそうです。先生も対応してくれ、自分自身でも続けられるならそれで良いと思います。

あと他に自分でできることとして、先生から聞いたことをその場でメモしたり、録音して後で聞き返したりするのも良かったです。専門的な言葉や普段ききなれない言葉が出てきますし、実は聞いたのにすっかり記憶から抜けてしまっていることも意外とあって、情報を整理するのに役に立ちました。

自分がつらかったので、薬を比較的ラクに飲み込むコツ2選

①上の方をむかない。正面をむく、もしくは首を(少し)下にかたむけて飲み込む。
薬と水を口に入れて、いざゴクンと飲み込む時、不思議と上の方を向いてしまいがちじゃありませんか?体制を少し変えるだけですが案外とラクになります。
②服薬用補助ゼリーを使う
らくらく服薬ゼリーを使ったら大分改善されました。口コミをみても多くの方が「薬をのむのがラクになった!」と書いていて、実際私もそう感じました。おすすめです。
個人的な感想としては、1回でそこそこの量を使います。ゼリー1袋が200g、パッケージには「大さじ約12杯分」とあり、私はおおよそ2週間位もった気がします。セコイ話ですがケチって少な目にゼリーを出して飲んだら、本来の目的である「ラクに薬を飲めなかった」ので、これはケチケチしたらダメなやつか・・と反省しました。
ただ、これで慣れてしまうと入院時なども持参が必要です。

【余談】自分用備忘もかねた雑多なこと

①肺がんに使われる主な抗がん剤の薬価は上昇傾向にあるそうです(2016年時の情報)。クリゾニチヴ「ザーコリ」は比較的最近に発売された抗がん剤の新薬(2012年発売)で、1か月あたりの薬価では上位5番目までに入ってました!(1位はとびぬけている316万円、2位は96万円。)
ただし抗がん剤の薬価はあらゆる種類のがんで確実に高額化していると言え、肺がんの抗がん剤に限ったことでは無いようです。

②私は腺癌(せんがん)というガンです。腺癌とは体を構成する組織のうち、腺組織とよばれる上皮組織から発生するガンです。 胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓、胆のうなどに発生します。肺がんの中で最も発生頻度の高いがんで、肺がん全体のおよそ半数が腺がんであるといわれており、女性やタバコを吸わない人にも多いです。
肺がんは、組織の型あるいは薬の効き具合など治療上の観点から、小細胞肺がんと、非小細胞肺がんに大別されます。腺癌の種類は非小細胞肺がんです。非小細胞肺がんは、さらに がん遺伝子の変異別にEGFR遺伝子変異陽性、ALK融合遺伝子陽性、ROS1遺伝子変異陽性などいくつかのタイプに分かれます。私はこの中の「ROS1遺伝子変異」が陽性でした。

何らかの薬を使ってがん治療することを抗がん剤治療とすると、抗がん剤は投与後、血液中に入って体中をめぐり体内のがん細胞を攻撃するので全身的な治療効果があります。しかし抗がん剤が全身をめぐることによって正常な細胞にも悪影響を与えてしまい、副作用を伴うことが多いのが欠点でもあります。しかし近年は、がん細胞だけがもつ特徴を分子レベルでとらえられるようになりました。こうして開発された分子標的治療薬は、一概に毒性が少ないとはいえませんが有効な治療手段となりつつあります。
「分子標的薬」は、病気の細胞(がん細胞など)の表面にあるたんぱく質や遺伝子をターゲットとして効率よく攻撃するくすりとして注目されています。
分子標的薬とは、がん細胞に特有の分子を狙い撃ちする薬剤です。従来の薬剤が正常な細胞も傷つけてしまうのに対し、分子標的薬はがん細胞だけをピンポイントで攻撃することができるので、効果が高く、副作用も少ないとされています。ただし、分子標的薬は特定の遺伝子変異を持った患者にしか効果がないものがほとんどで、使える患者は限られます。


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