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MLB年度別球種割合の変化

「ゴロキング(Ground Ball King)」

かつて、松井秀喜が「ニューヨーク・タイムズ紙」から授かった不名誉な称号。ニューヨーク・ヤンキース入団当初、MLB特有のムービングボールに苦しみ、ゴロアウトを繰り返したことで、このように報じられた。

日本人野手がMLBで成功を収めるために、避けては通れない「小さく速く動く球」。2017年・WBC第4回大会、準決勝のアメリカ戦で侍ジャパンが貧打に喘いだ要因としても挙げられる。昔から日本では、軌道の美しいフォーシームがもてはやされてきた。縫い目が整ったNPBの公式球では、ツーシーム系のボールがあまり変化しないことも背景にあるだろう。

■MLBはスライダー全盛時代に

そんなMLBでも、2010年代半ばから定着した「フライボール革命」により、変化球のトレンドが移り変わっている。

Baseball Savant」によると、MLBの全投球数は年間およそ70万球。そこから年度別の球種割合を調べると、いくつか特徴が浮かび上がってきた。

スライダーの増加が顕著で、昨季は投球全体の20%に達している

①ツーシーム系(シンカー)の減少
②スライダーの増加
③カッター、チェンジアップの微増

カーブにはナックルカーブもあるし、スライダーも千差万別だが、ここでは一括りにしている。(フライボール革命で)アッパースイングの打者が増えても、フォーシームの割合は意外にもほぼ横ばいだった。昨季に限って言えば、2008年の数値を下回っている。ジェイコブ・デグロムや、ジャスティン・バーランダーのような一線級投手が無双するインパクトが強いのだろう。

「Baseball Savant」で最も古いデータが、2008年のもの。先述の松井秀喜が渡米した2003年は、比較的この数値に近い可能性がある。ツーシーム系の減少は、日本人打者に追い風となっていくのか。3月にはWBC第5回大会が控えており、順当にいけば準決勝で前回優勝国・アメリカと、MLBの”今”と対峙することになる。

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