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【社内報】社員全員を共感・共鳴させる、魔法の企画とは?

前回までの振り返り

前回は社内報の企画についてお話をしました。とはいえ、どんな企画が良いかまでは触れませんでした。今回以降、「こんな企画がさまざまな企業で人気がある」、あるいは私の事業会社での経験も踏まえた、より具体的なお話をしていこうと思います。

そこで、振り返り。

・対談・座談会は厳禁!(※参加メンバー次第)
・社内報のコンセプトを決める。コンセプトのコアとなるものは企業理念、経営理念、中期ビジョン、現在抱えている課題など

……でしたね。もう一度言います。やたらな「対談・座談会」は絶対に止めてください。毎回やろうものなら、読者(社員)が必ず離れていきます。その勇気、ありますか? 社内報担当者が企画を楽しよう、手を抜こうとすれば読者である社員はそこを見抜きます

社内報、魔法の企画とは?

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「社内報はその企業を映し出す鏡」、ということを以前書きました。誌面にその会社らしさが出ているからです。

いろいろと企画を考えられるでしょうが、その中でも絶対にその企業でしか作れない企画や内容というのが、あなたの会社にもあるのをご存知ですか?

それは……『社史』です。しゃし、と聞くとどこかホコリをかぶったカビ臭い印象があるでしょう。でも、よく考えてみてください。例えば日本にいくつかの家電メーカーがあります(ありました)。でも、一社としてまったく同じ会社はありませんよね。それはなぜか? 「成り立ち」が違うからです。これまでの家電総合メーカーと言えば、松下幸之助の「松下電器産業」、盛田昭夫と井深大の「ソニー」、井植歳男の「三洋電機」、早川徳次の「シャープ」、「東芝」、「日立製作所」、「三菱電機」……それぞれの企業が歩んできた道=社史が積み重ねられてきた上で今があるのです。大失敗もすれば、歴史的事業を成し遂げたこともあります。それぞれの歴史があるからこそ、その会社に社風が生まれるわけです。

その会社独自の“社史”を社内報に生かさない手はないと思いませんか? 先人の思い、チャレンジ、考え方などを学ぶ絶好の機会です。

昔、松下電器の社内報『Pana』を数回分通しで拝見したのですが、幸之助さんを取り上げたり、会社の歴史の中で現在と同じ状況がなかったかを振り返っていたり。また、サントリー社内報『まど』にも、佐治敬三さんのことが載っていたりしました。これは懐古主義というものではなく、「当社はそういった誇れる歴史がある」ということを掲載し、社員に自信を与えるようにも思います。

社史を連載し続けて……

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私の経験です。2015年に属していた企業が創業50周年を迎えました。私は社内広報担当として、その3年ぐらい前から社内報で創業者の歩みを連載形式で載せていく企画を立てました。創業者がご存命だからこそ、直接ヒアリングを通じて、生の声を記録しておきたかったのです。

しかし、私自身の思いとは裏腹に、連載当初、読者アンケートを取っても反応は芳しくありませんでした。それもそのはず。創業時の事業と現在の事業に多少ズレがあったからです。なので、「ピンとこない」といった意見も多かったのは事実です。でもそんな反応に負けず、連載を最後まで続けていくことを止めませんでした。

徐々に現在の事業に近づいていくと、アンケートの数値に改善が見え始めました。皆さん、身近な話題として捉えてくれるようになったのでしょう。

2年半の連載を終えた結果、社内報の中でも人気コーナーになりました。連載当初の“フリ”が結実した感じですね。そして、連載が終わる頃に創業50周年式典が開催。式典で社史を振り返る映像を流しても、社員が「?」ということもなく、より深い理解になっていったことはいうまでもありません。

社史を企画化することは、自社の歩みを知るだけではなく、自分たちの“強み”を知ることにもつながります。いわゆるバリューですね。その企業が強みとするポイントを知ることができる――社員にとってその企業に対しての帰属意識が芽生え、ひいてはインターナルブランディングの向上にもつながっていくのです。

このコロナ禍だからこそ。

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社史はベテラン生え抜き社員、中途入社社員、若手社員など世代を超えた話題になります。

ベテラン社員は「あ〜こんなこともあったなぁ。懐かしいな」という思い、中途入社社員は「こういう歩みがあった上で、こういう企業の形なのか」という理解、そして若手社員は「え〜○○さん、若い!」とベテラン社員を自分と重ね、将来を見据えるかもしれません。

このコロナ禍で(社内)広報のキーワードとして挙がっているのが「エンゲージメント」です。

リモートワークなどで出社しなくてもよくなり、経営陣が積極的にメッセージを発信せず、同僚とも直接的な関わりが希薄化すれば、自ずと「俺、この会社にいる意味、ある?」と思いがちです。そういう悶々とした思いが積み重なれば、アフターコロナで転職市場がものすごく活発化する、つまり離職率が上がる(業種によってはさらに急上昇する)と私は思っています。むしろ今は動かないほうが良いと思っている人が多いでしょう。隠れ転職志向者がマグマのように地下深く溜まっている状態です、きっと。

だからこそです。企業と社員とのエンゲージメントを高め、離職率を低くするためにも、社史を有効活用した社内報企画を考えてみてはいかがでしょうか?(離職率云々は人事・労務の業務! と思っている広報担当はいないかと思いますが……)

社史は、その会社が有する、唯一無二の財産です! それを社内報に生かさない手はない!

今回の結論!

・社史は社内報企画で絶対に活かそう! 魔法の企画!
・社史は先人の思い、チャレンジ、考え方などを学ぶ絶好の機会
・社史で自社の強みを知り、それを誇りに感じてもらう!
・社史でエンゲージメントを高めて、アフターコロナの離職率を下げて、強い企業作りをしていこう!

では、また次回!

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