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心の中の記憶4 おじいちゃん

5月12日

母の日、中学生の息子が黄色いカーネションを2本プレゼントしてくれた。
「お母さんは黄色が好きだと思って。」
とても嬉しい。

風水で、黄色は金運が上がるといわれているそうなので、なにかと「黄色がいい」と言ってきた。
庭の西側に、黄色い洋ギクも植えた。10年近く、いつでも、少ない時も一、二輪、咲いている気がする。満開に咲きほこっている季節は、株の調子も良い気がする。でも、私は本当は何色が好きなんだろう?

昔、庭で大菊を育てていた祖父は趣味人だった。高級金魚のらんちゅうも育てていた。家の近所に山や森などなかったのに、自転車で出かけては、珍しい苔を集めてきて育てたり、昭和の情報源がどこにあったのか、不思議に思う。

水墨画を描き、雅号をつけてもらい、フエルト帽やカンカン帽を買い集め、祖母といつも喧嘩をしていた。
戦時下の大連で、急に消えた何週間か後、裸馬に乗って食べ物を担いで現れただとか、タップダンスがそれは上手だったとか、葬儀の席での酔っ払った親戚達の会話に驚いた。

小学3年生の頃の私は、認知症になった祖父の話し相手だった。
「おじいちゃんは、大雨の夜中、マンホールに落ちた。這い上がって帰ってきたのだけど、同じ日に同じ場所で亡くなった人がいたんだよ。」と言われたときは、子供心に、また妙な嘘をついていると受け流した。単純に、孫へ思い出話をしてくれていただけなのに、疑ってごめんね。今は、切ない気持ちになってくる。

おじいちゃん、あなたの血は、しっかり曽孫に受け継がれています。ドールを愛し、イラストを描き、エレキギターを弾き、目まぐるしくやりたいことが現れてきます。趣味人として生きているとSNSに翻弄されるようで、なかなか大変そうですよ。でも、心配しなくても大丈夫。そんな時代です。

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