序章·終章

 空中を舞い降りて細い枝から舞い散って、ひらりひらりして擦り合いながら舞い落ちて積んで、ひそかに土に溶けていく。風が吹き抜けて、広い青空へひらひら高く舞い上がって、ふわふわして交差点信号の処の人たちの視界を掠って、裏路地の隅々で枯れ果ててクズも残らずに消えていく。
    本は物語、物語ならば、未来も過去もただある程度の‘物語’の長さに時間は永遠に限られるが、ほんの内容は現実の舞台を越えて、相対時制の世界の一部となれるかもしれない、
 世には目覚めている時間より、夜には眠っている時間がずっと長いという一説が語り伝えられているというのを記された私版本が閉店されたばかりの名もなき本屋の一角に眠っている。

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