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クリスマスの思い出話をしたら、親に感謝するしかなくなった話

どうも、後藤です。

今日は作り話でもなんでもない、僕の話をしようと思います。

だからきっと、いつにもましてくさい言葉が並ぶし、もしかしたら薄っぺらい言葉だと感じでしまう人がいるかもしれないけど、それらを全て加味した上で

“これが後藤暸だ”

と割り切れる方は、下に進んでもらえたらと思います。いつもありがとう。 

もうひとつ、サンタの存在を信じている方はここでページを閉じてもらえたらと思います。

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この話で伝えたいことはタイトル通りで
「クリスマスの思い出話をしたら、親に感謝するしかなくなった」って話なんやけど、その前に少し予備知識を。

僕のおとんとおかんは、とびっきり普通の両親です。
保育に従事するのおかんと、介護に従事するおとん。
年齢の幅はすごいけど、とにかく面倒見がいいってことは確かです。
力関係は、ちょっとだけおかんの方が上かな。
みんなの家族はどうなんやろう。またそんな話もできると嬉しい。

おかんは昔からイベント事が大好きで、事あるごとにいろんな事を経験させてくれたし、
おとんはそんなおかんを冷たい目で見ながらも、汚れ役をすべてこなしてくれる人やった。

もうひとつ。
おかんは、ものをどこになおしたか、よく忘れます。
おとんは、甘いものが苦手です。

と、言うわけで、本編へGO!

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節分の日、この日は久しぶりに夕方のバイトがなかったから、ゆったりとコーヒー飲んで、ニュース番組を眺めてた。(それでも就活生か、とかは言わんといて)

そしたら母が「ちょっと、これ見てよ」って言って、透明なクリアファイルを渡してきた。
分厚さは、整理整頓が下手な小学5年生男子のクリアファイルぐらい。今にもプリントが落ちそうやった。

渡されたファイルから、手紙らしきものが透けてた。
そこには、枠線をはみ出した汚い日本語と、汚くはないけど、丁寧でもない筆記体の英語が書かれてた。

文の拙さ、書いてある内容から、ある程度の情報を把握して、それが何かすぐに分かった。

「なつかっし。サンタへの手紙やん!」

物心ついた小学生の頃、僕か兄か、どっちの提案やったかは忘れたけど、サンタに手紙を書こうってなった。
子供らしいっちゃ、子供らしい発想。
まずは自分の名前を名乗り、次は、自分が習った最大限の丁寧語でサンタに感謝を述べる。何がほしいのかを書き、最後に「サンタへの質問」を投げかけて、その手紙は締めくくられてた。

「そうやねん、あともうひとつおもしろいのが、」

母の言葉にピンと来て、俺は素早く口を開いた。

「手紙の横に、ケーキも置いてたやつちゃん?」

母と僕の間に、大笑いが起きた。

当時僕と兄は、手紙ともうひとつ、ケーキも用意していた。
サンタもお腹が空くだろうから、せっかくだしケーキを置いといてあげようって、これもまた、子供らしい発想。
もし、この両方を僕が提案していたのなら、我ながら想像力のある子供だと思う。

「んで、これどうしたんやっけ?」

母が答えようとした時、ドアが開く音がした。

「ただいま」

父が帰ってきた。たまたま、仕事が早く終わったらしい。
父は、困惑していた。
もっともだ。リビングに入るなり、息子と妻が大笑いしているのだから、気にならないわけがない。
父はおそるおそる、僕が持っているクリアファイルを覗き込んだ。

「やばくない?これ、クリスマスの時の!」

母の言葉とともに、また大笑いが起こった。

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「いや、これほんまに辛かったんやからな?」

さっきまで仕事モードだった父は、数秒足らずで父親の姿に変身し、ビールを開けながら言った。

「真夜中に、あっまいケーに食わされて、挙げ句の果てに『ちょっと残せ』なんて言われるんやから!」

調子のいい父に、僕らは笑う。
そうだ、思い出した。
僕らが起きると、ケーキは残っていた。
「サンタさん、忙しかったんちゃうかなぁ」
母のそんな言葉を僕らは信じ、忙しい中でも食べようとしてくれたサンタさんに、僕は心の中で何度もありがとうと言った。

「いや〜そう考えたら、あん時、ほんまに頑張ってたよな?母さん」

「たしかに」

僕はこの時初めて、“親目線”でクリスマスの思い出話を聞いた。

「暸が一回、当日になって、ポケモンの“ホワイト”から“ブラック”に変えたいって言われた時は、ほんまに焦ったよな!」

「お兄の自転車、隠すのに必死やったよな!」

「おまえらの手紙、俺左手で書いたんやからな?」

その時、あの純粋で無垢な感情が、プールから上がってくるビーチボールのように蘇ってきた。
僕はその感情の裏に、父と母の姿を映す。
こんなにも自然に「ありがとう」が浮ぶのは、はじめてだった。

「で、これなんて書いてあんの?」

母は、手紙の英語の部分を指差して、僕に尋ねた。
そう言えばそうだ。
僕は慣れない筆記体を、目を凝らして読んでいく。

I’m only one,
Many santa are fake.

サンタは私一人だけ.
他のサンタは、偽物だよ.

僕は笑った。
これを左手で書いた父を想像して、笑った。
嬉しくなって、笑った。
泣きそうになって、笑った。

ひとしきり笑ったら、急に泣きそうになった。

僕は顔を隠すように身体を反転させ、冷蔵庫に貼られたカレンダーを見る。
2月3日。
この部屋に、鬼は出そうにない。

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というわけで、ありがとうございました。

みんなもぜひ、おかんやおとんに聞いてみてほしいと思います。
そこにはきっと、それぞれ「家族の物語」があるはずです。もしよかったら、きかせてね。

自分語りはこんなとこにして、また次からは作り話で皆さんとお会いすることにします。

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