のんびり投資報告

          のんびり投資報告
 
<貸借対照表は心強い投資ツールを提供>・・・リラックス版⑧
のんびり投資には貸借対照表が大いに役立ちます。のんびり投資とは昨年の寄稿の初めの段階で説明した1~3年が目途であることを確認しておきましょう。さらに当然5年、10年も十分ありです。利益のアップダウン、それに伴う株価の動きを見るのは損益計算書ですが、その脇で貸借対照表を存分に利用しようとするものです。私が接した証券アナリストの優秀な人は、顧客との会話は利益の増減中心の話題ですが、投資の意見としての背景に貸借対照表をしっかりと捉えております。それは日米共通です。と言っても難しい話ではありません。ポイントはBPS(一株当たりの純資産価値)の有効利用です。2023年はバリューアプローチが市場を賑わしウォーレンバフェット氏が改めて有名になりましたが、それは60年以上も前に開発されたBPSアプローチの投資手法の一つです。これまで実践編①でオリックス、➁で花王の株価の軌跡を説明してきましたが、ここでは両銘柄のBPS有効利用を改めて探ってみることにします。
*オリックスは3月決算、花王は12月決算です。年度決算の数字であり時間のずれがあります。また株価比較は
 12月の大引けを利用、2024年は2月末値です。
             2020    2021    2022    2023    2024.2
日経平均       +16    +8.5   -12    +28   +17
 
オリックス (株価)   -13    +48    -10     +25   +18
EPS(一株利益)   ¥261   ¥155  ¥259   ¥260   
BPS(一株純資産価値)¥2358  ¥2487 ¥2599  ¥2868
 
花王 (株価)      -12    -24     -13    +1    -2
EPS(一株利益)   ¥262   ¥270   ¥267  ¥94  ¥220?
BPS(一株純資産価値) ¥1926 ¥1921  ¥2037 ¥2116   
 
一見して分かることは、EPSの変化の大きさです。またそれを先取りする形で、株価も大いにアップダウンを繰り返します。つまり表面上は損益計算書が主役に見えます。
オリックスは2021年3月期大幅減益となりますが、株価は2020年が最悪期で2021年を織り込んでいると思われます。2021年12月には2022年3月の利益を織り込み回復です。2022年日経平均が調整期でもありオリックスも市場平均並みです。その後は市場平均並みです、注目はBPSの値です。貸借対照表から導き出される値ですが、地味ながら2020年から継続してこつこつ積みあがっております。BPSが大きく崩れる事がなければ、企業経営は前向きに進んでいることになり、EPSの上昇を期待するだけで保有継続の意味があります。1年から3年の期間があれば四季報等による利益の動きに合わせて利用できるのです。とくに、2021年3月期の減益を想定、2020年に購入した人は大いなる値上がり益を享受できたはずです。BPSがしっかりとしている以上必ず戻るのです。実際そうなりました。底支えをしているのです
花王の場合、2020年から2022年、利益が伸びない時期が続きました。2018年、2019年とEPS¥300以上が継続した後の落ち込みです。これはコロナ渦という特殊事情があったため予想以上に長引いてしまいました。そして2023年12月に最後の大ナタをふるい大きく減益になりました。この辺は会社四季報を見れば誰でも分かります。つまり業績予想を有効利用出来るのです。2022年ころから下値模索状態となり2023年12月決算でようやく先が見れるようになったのです。株価はそれを先読みして2022年頃には下げ止まります。花王はPBR2以上の水準で下げ止まりです。それは数年前EPS¥300以上の実績を実現していた高収益会社のイメージが高いだけに成長期に戻った時の利益の期待が高いからです。東証プライム上場企業の平均PBRは1,3~1,4倍です。花王は期待値が高い銘柄と言えるでしょう。大幅復活が見込める2024年12月期はボトム圏から離れようとしております。
読者の皆さんはこの両銘柄のチャートをみれば、その意味を十分理解できると思います。のんびり投資のBPS活用法です。投資期間を長くとればこうした形で銘柄へとアプローチ出来るのです。
〇利益に先行する形で株価は動く
〇その利益予想は四季報を参照、投資期間を長くとることにより安く株価を買いつけるタイミングを判断できる
その間、BPSの堅調状態に問題なければ先行き不安なく保有継続が成功への道
 
のんびり投資とは1年以上を継続保有を前提としますが、落ち込まず或いは積みあがるBPSに着目、それを認識すればあとは仕込んで継続保有すれば大いなるキャピタルゲインを享受することが可能なのです。株価形成への取り組みに際してBPSを用いることは、かなり有力な投資手法です。株価のこなれている日経225タイプの銘柄の的中度はより高いと思います。