「口笛とウクレレ」
2000年の初冬、会社から帰ってきて部屋の電気をつけ、FMラジオを付けた。
口笛のメロディが流れてきた。オールナイトニッポンのオープニング曲だ。
バックで演奏している音色はギターより音階が高く、どうやらウクレレみたいだ。曲の終わりにラジオのDJの声で「『BITTERSWEET SAMBA』関口和之 featuring 竹中直人でした」とナレーションがあった。
えぇー。
ウクレレってハワイアンのイメージが強かったけど、こういう感じで聴くのも味があるなあ。
2000年は父が亡くなり、前年には私が一人暮らしになった年だ。「1999年に人類が滅びる」というノストラダムスの大予言は外れ、キープにされてた人とも別れて、つまり全くひとりになった時だった。
アルバム収録曲の「雨にぬれても」を聞いていたら、なんだかそういう重々しいものがスーッと軽くなった。
竹中直人さんの口笛は時々遊びがあって、それがいい味になっている。
鬱々としたクソみたいな日常は変わらないけど、こういう軽くて温かい感じの曲を聞いているとぱっとそこだけ空間が明るくなる。
早速駅ビルのCDショップに行き、CDを買った。
6曲の収録曲をMDプレーヤーで通勤途中に繰り返し聞いた34歳の秋だった。
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