人生の重荷リリース③:母が宗教に入って生きづらくなった子供の話

二世、というほどでもない私

この記事を書き出して、#エホバの証人2世 というタグを見つけました。

子供時代にこの宗教に苦しめられてきた方々の存在を確認するとともに、私も同じ気持ちだわとこのタグをつけてみました。

ただ、私は自分の意志を示せるようになった14~5歳でフェードアウトしましたし、元凶の母もその後1~2年で離脱しています。よくお見かけする「2世」の方のように、バプテスマ(洗礼のこと。これを通過して初めて正式な会員となります)を受けておらず、親に連れられて渋々集会に通っていただけで、積極的な信仰や活動はしていませんでした。

「親に同伴したけれど、信仰はしていない」という私の中の抵抗帯が、「2世」と名乗ることに違和感を感じさせます。「元エホバの証人の子供」というタグが、自分にはしっくりきます。

それでもエホバの証人の子供が生きづらい理由 

とにかく、義務教育、学校生活に馴染まない規律(行動制限)が多いのです。自分の意志は関係なく、親から「あれはダメ、これはダメ、学校でちゃんと先生に言いなさい」と脅迫されるのです。

ダメダメ祭りの一例を挙げますと・・・

*校歌斉唱、国旗を見ることは禁止

*部活もダメ(競争ダメ、この世の人との交わりダメ)

 小学校の時、ジュニアバレーに入りたかったけど却下された

*漫画もダメ(恋愛、暴力など)

定期購読していた「小学〇年生」という月刊誌も、「漫画が多いから」という理由で小3くらいで辞めさせられた。

*テレビもダメ(アイドルに夢中になるのは偶像崇拝)

 くだらないお笑い番組など堕落するサタン(悪魔)的なのはダメ

*クリスマス、ひな祭り、誕生日会などもダメ

 異教のお祭り?とかはダメ

*盆踊りもダメ

 この世の人(エホバの証人でない人たちの総称)との交わりはダメ

などなど、、、

なんだか理由はよく覚えていませんが、普通の子がやっていることを私はあまりさせてもらえませんでした。

想像してみてください。

小中学校で、「漫画も読まない」「アイドルの話も分からない」「テレビも見ていない」「部活にも入らない」「友達の誕生日会にも参加しない」「クリスマス会にも参加しない」「盆踊りにも参加しない」子は、友達を作れるでしょうか。

一般的な「普通の行事」にはほぼ参加せず、理由を聞くと「宗教上の理由」と謎めいた答え。

ちょっと意味わからないですよね。

悪い人ではなさそうだけど、特に仲良くなる理由もなく、共通の話題もなく、面白いわけでもない人。

そういう人に対しては、いじめるわけではないけれど、遠巻きに見守る、というスタンスの人が多いわけです。

浮きますわ。はい浮きますわ、浮きますわ。

かくして、エホバの証人の子供は、教室の中で自然に「ポツンと一軒家」になるわけです。

年代とともに変わる環境

小学生の頃は、まだ近所の子とかクラスの子たちと、「ゴム飛び」とか「かくれんぼ」とか、いわゆる体を動かす遊びを通して仲良くしてもらっていたんですけどね。成績も良好で学級委員などもしていたので、「この世の」友達はいました。でも、中学に上がると状況は厳しかったです。私も「宗教上の理由」とか言うのが嫌だったので、自然と人を避けるようになりました。とにかく「母がエホバの証人であることを知られたくない」と思っていました。小学校高学年から中学になると、女子はグループに分かれますよね。私も所属しているグループ的なのはありましたが、その人たちにも宗教のことは内緒です。アイドルや漫画の話、分からないけど適当に話を合わせて笑ったりして取り繕っていましたが、基本的には一人でした。

テレビも漫画も見ていなかった私にも、抜け道が一つだけありました。「英会話の勉強をするために叔母(非信者)が中学の入学祝いに送ってくれたラジオ」で、英会話「基礎英語」は聞かずにFMなどの音楽番組を聞いてアイドルソングを覚えました。なので、アイドルの「歌」の話にだけは、かろうじて参加することができました。友達がアイドルの写真や切り抜きを譲ってくれることもあったので、それを下敷きに挟んで「なんちゃってこの世の人」を演じていました。もちろん、母に見つからないように、家では絶対に鞄から出さないように気を付けて。あとは、少女漫画も友達が貸してくれました。「〇〇ちゃん、これも読んだことないの?読み~」ってね。家で母がいないときにコソ~っと読んでいました。「悪魔の花嫁」とか他にもいろいろ。「ときめきトゥナイト」とかもあったかしら。なんかよくわからないけど、「真壁君」とやらがイケているらしいということを頭に叩き込んで「この世の人との会話」をこなしていました。

ステルスエホバロン~自ら選ぶ孤独の道

でも、基本的に学校は「宗教をひた隠しにして息をひそめてサバイバルする場」だったので、人との間に見えない壁を作ります。都合の悪いことを聞かれないように、宗教がばれないように。

自分は一人なんだ、普通じゃないんだ、変なんだ、本当にみんなと仲良くなることなんてできないんだ、という人生の基本姿勢が育まれていきました。

この「禁止事項」とその「厳格さ」は、親や地域によって多少の違いがあるようです。いずれにせよ、「一般的な学校生活」から孤立するような戒律が多いため、「普通の育ち方」はできないのがエホバの証人の子供です。



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