見出し画像

ゲームにひと肌を求めたくなる感覚

 TwitterのTL(タイムライン)を追っていると、フォロー先のツイートやRT(リツイート)やいいねで『ETERNAL BOND(エターナルバンド)』関連のことが時々まわってくる。セレモニー開催の案内/実況/報告など当事者や参列者のスクショをみているだけで微笑ましくなるやつだ。

 エタバンをしたヒカセン(光の戦士)のなかにはリアルでの交際関係まで発展したり、そこから結婚に至るカップルもいる。FINAL FANTASY XIV/FF14というオンラインゲーム上で相方同士だったふたりが現実世界で契りを交わしたという意味で「リアルエタバン(リアバン)」をしました、なんていうご本人のツイートとともにFF内外問わず祝砲いいねがとびかうときもある。たとえじぶんにとって知らないひとでも「おぉ、おめでとう!しあわせになってね」とおもう。いや ほんとに。

 しかし、それらがTLをにぎわせている一方で、いわゆる「出会い厨」とか「直結厨」に対するヘイトのツイートやすりぬけリプライ(みようとおもっていなくてもフォロワー先とじぶんの関係性でうっかりTLに出現するやつ)が流れてきたりもする。あんなのとか、こんなのとか。

 確かに、いいたいことはわかる。ひどい目にあったひともいるようだし、そりゃゲームはゲームをたのしむためにやりたいってもんだろう。わかる。そこは、わかっている。

 ただ、「オンラインゲーム上のキャラクターを操りながら日々その世界のなかで暮らし、そこでのすべてのできごとを媒介にして関係性を育みつつ、リアルでも付き合えるひとを本気で探している」といったことをはっきりと伝えてきたともだちが複数いるので、わたしにとっては下手にジャッジできない案件になってきている。「ダメだわ、きもいわ、ありえないわ」だけはいえない。根底にある出会い願望は似通っていても、なんかちょっと毛色がちがうというか……。

 もうすでにイチ抜けして結婚街道をひた走っているひともいるが、ゲームはやめていない。「おもいきって趣味が合致しているひとをピンポイントで狙ったし、だからこそ今うまくいってる」というのをこぼれ聞くと、そんなもんかとおもったりもする。

 彼・彼女たちの意欲の矛先がわかってから数年、「今どんなかんじ?」的なことを時々訊いているのだが、出会い系だのお見合い系だの、❝だれか❞を探すためのツールはとっくに使ってきているしそこで相手ができないワケでもない。できるにはできるが、別れてしまう。彼らがゲーマーであることとは関係のないところでソリがあわなくなっているようだった(あくまでも彼ら側の視点で語られたものだけど)。

 お仕事もがんばっていて、国家資格を取得したりポジションを得たりして「だれが傍にきてもいい」コンディションづくりに励んでいるようにもみえる。じぶんさえ身動きとりやすければうまくいっていたかもしれない過去、みたいなのを経験したひとがコツコツ歩んでいる印象だ。少なくとも、同じ理由で困りたくはないからと。あんまりえらくなっちゃうとしがらみがふえて余計大変そうな気がするけど、って言ったら「あのときああだったらなーっておもいが強く残ってるしなァ。実際それでうまくいったかはわかんないけどさ」と、昔の相方さんとのことを反芻しながらこたえてくれた。

 でも、過去をばねにキリキリ働けば働くほど、じぶんにとってのストレス発散&いやしの場がオンラインゲームにあるのを実感してしまうようで、「いっそのこと、毎日ここで一緒に過ごせるひとがほしいなーってやっぱりおもうよ。どうせなら、このたのしさがわかるひとにリアルでも傍にいてほしい」というのが本音だそうだ。

 ひとによっては夜勤と日勤がまちまちだったり、日々残業多めで労働時間が長かったりで、プライベートでの物理的時間がおもうようには確保されにくい状況だ。「職場恋愛なんてまず考えられない環境だし、同僚にコンパをひらくようなタイプもいない。❝だれか❞をソトで探そうとやっきになってたときもあるけど、ほんと……疲れちゃうよね」これは性別関係なくこういうから、まあ、そうなんだろう。

 声を大にして主張するつもりはないが、下心はある。せっつくつもりはないが、いちおうスキは狙っている。関係を壊したくないからオンゲで留めておくのがよさそうだが、たぶんそのうちリアルに誘導したくなるとおもう。こないだまでのひとですこし懲りたけど婚活パーティでうまくいかないのが続いたら結局こっちに求めちゃいそう。……など、隠れ出会い願望保持者の冒険は、穏やかにつづく。

 なお、わたしがCooley Geeという名であそんでいるのを彼らは知らない。ヒカセンなのはバレている。ixionやべえっていわれそうだけど、他サバか、別ゲーのひとであります。「ゲームにひと肌を求めたくなる感覚」すべてが毛嫌いされないといいなあ、なんておもいながら書きました。