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◆世界中の国々が同時期に枯れ衰える時

 国の発展と衰退は波打つもの、昔からよく言われていることではある。しかし、これから世界は、現代を生きるすべての人々が経験したことのないほどの衰退期へと突入していくことになる。

 国の財政に関して言えば、富む時代があれば貧困に喘ぐ時代もある。為替相場は国の通貨の価値を示すものであり、最近では円安ドル高の進行により、様々な問題に直面しつつある。

 世界経済をけん引するアメリカと中国がかつてのような経済力を失うことになると、いよいよ世界経済大恐慌が始まる。

 シンプルに問題なのは、カネの巡りが鈍化しつつある一方で、世界人口だけが急加速的に増加していること。

 全世界の富を合算すると一体いくらくらいになるのか、算出可能な数値なのかどうかは定かではないにしても、おそらくこれには上限がある。

 そんなものなど無視してすべての人々に一人当たり1億円を手渡したとすると、世界経済はどうなるのかというと、モノや資源には限りがあるため、いきなりあちこちで奪い合いの争いが始まることになるだろうというのは想像に固い。

 だから、「お金さえあれば」という考え方で国民に給付金名目でばらまくことは得策とは言えないのである。しかもこれは、消費を前提にした場合であって、世の中には、他人が手にしている金銭や財産を騙して奪おうとする人間たちの存在は無視できないため、全ての人たちが潤沢な資産を手にしたとしても、人類は奪い合うことからは逃れられないのである。

 アメリカではコロナ対策給付金をばら撒いたあと利上げに転換したわけだが、FRBは一時的に大きく波を打たせて国益を確保する動きを見せているものの、日本政府はというと特に何も目立った動きを見せず、のらりくらりと小手先の政策発表に留まり、検討するの一点張り。金融緩和を長引かせた結果が今に至っているわけで、過去に従属した姿勢を変えようとしない。

 政府与党が保守的であることが悪いのではなく、弱腰な姿勢であることがすべてを悪化に導いていると言える。かといって、野党はと言えば国民に一律給付をと叫び続けている。そのことが近い将来、後世の人々の人生を確実に圧迫することを一切明言しない、ほとんどペテンに近い政策方針となっている。

 これはあくまでも私個人の見解ではあるけれども、日本の生産性は先進諸国の中でワーストと言われているような状況下で、所得倍増とか言ってしまっている国のリーダーの存在が一番の弊害となっていると考えている。

 本当の意味でベーシックインカムの仕組みについて理解できている人たちがどれだけいるのかは定かではないけれども、ただ会社にしがみついているだけの仕事をしない従業員に支払う人件費を完全にカットしてしまえば、ベーシックインカムは来月にでも施行できると言える。

 失業に怯えている人たちも少なくはないはず。でも、最低限の生活が確保されたとなれば、その先のことは考え方次第、行動次第で何とでもなりそうなものだけれども、多くの人たちが「働くことは当たり前」「生活のため」と必死に毎月の給料にしがみつくものだから、企業も解雇規制に泣く泣く従いつつ払いたくもない給料を律儀に払っている。生産性が低いのに、年商も伸びないのに、赤字なのに、だ。

 働くということの再定義をするとすれば、本当に何かしらの能力を保持している人たちに限定すべきで、それさえ実現できればベーシックインカム制度によりすべての国民が最低限の生活を保障され、社会からホームレスや生活苦に因る自殺者がいなくなる。

 早いところ、給料を上げろと喚くワーキングプアがニートを見下すような醜い文化を払拭する必要がある。こんな醜い文化があるのは世界中で日本だけだということを日本人は知らない。未だに日本が先進国だと思い込んでいる日本人がそれだけ多いのかもしれないが、傍から見ていると実に滑稽に映る。

 中途半端に、毎月給料をもらうためだけに働いている労働者たちに、失業しても怖くない、失業したその日からでも安心して生きていける、そういう社会構造への転換を日本政府は急ぐべきである。

 今となっては、「働かざる者食うべからず」は見るも明らかに不釣り合いな時代であることを正しく認識すべきで、かつてのような欲にまみれた生活水準を下げ、最低限生きていけるだけの生活をまず実現することを望むべきだろうと私は考える。

 労働人口が今の半分以下にならないとベーシックインカムは実現できないだろう。ツイッター社を買収したイーロンマスクが半数の従業員を解雇したニュースに対しては批判も多いように見えるが、企業の利益を最優先にするための手段としては最も合理的だと言える。お金を稼ぐことに長けているマスク氏のことだから、有償コンテンツを次々とリリースしてくるだろうと思われる。

 パラダイムシフトを起こすことができれば、日本もまだまだ望みはあるかもしれないが、衆議院解散選挙や次期参院選でも自民党が政権を譲り渡すことはないだろうという絶望的な結果しか見えない。

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