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『天使のニューゲーム』楽曲解説


はじめに

ここでは2023年9月30日に投稿された楽曲、『天使のニューゲーム』の歌詞・映像について解説を行います。もし未視聴であれば先に動画を見て頂くことを推奨します。

ニコニコでは考察コメントも結構あるのでコメ有り・無しの好きな方をどうぞ。ちょっと伝わりづらい作品になってしまったかな…と心配だったのですが普通にズバズバ言い当てられていて嬉しい誤算でした。
あんまり作者の個人的な話をしてしまうのもよくないので早速楽曲の解説を始めましょう。

(ひとまずここでは作品を理解してもらうことを第一優先とします、制作経緯や秘話みたいなものはまた後ほど気が向けば…)

楽曲解説

イントロ

【歌詞】
恋に偶然はない
選択次第で二人は遠く離れていく
正しい手で捕まえて
不正解は全部やりなおして
もう一度あの場所で あたしは恋に落ちるからさ
知らないふり、得意でしょう
優しく全部狂わして

【解説】
まず大前提として作品の舞台は恋愛ゲームです。そして映像のメインとなる女の子、「てん」は攻略対象のキャラクターということになっています。

初めのこの歌詞はゲーム内における彼女のセリフです。彼女はゲームの中で一つのエンディングを迎えており、その途中でこの世界がゲームだということを認識しています。その経緯についてはここでは触れませんが恋愛は脳のバグと言いますからね、それがゲームシステムに現れたって不思議ではないですね。

てんのセリフ部分はゲーム風に枠を配置しています

ちなみに「恋に偶然はない」は「故意に偶然はない」とかけています。ここでの恋愛は全てゲームのシナリオであり、プレイヤーの選択によって全てが決定するためです。(これ気づいた人すごい)

そして歌詞の後半ではてんがプレイヤーにもう一度攻略してほしいという風に言っています。彼女はゲームがリセットされたら自分の記憶が残るかもわからないのでプレイヤーに頼るしかないわけですね。そしてより良い恋の結末を迎えるべく、踏切に飛び込んで自ら物語をバッドエンドに導きます。
これは余談ですが、ゲーム自体はグッドエンドの方向に向かっていました。しかしてんは完璧主義だったので一つの不正解も許せないわけです。それほどの強い感情を持つキャラクターであったからこそバグが発生するに至ったのかもしれませんね。

そしてプレイヤーの「優しい選択」によって彼女は恋に落ち、その運命を狂わされることになります。

Aメロ、Bメロ

【歌詞】
悪い夢で目覚めたら
微かな体温はノイズに消えた
駆け足で向かう踏切に
あくびをする呑気な君の横顔
あたしの暗いとこ
見透したような目
あぁ、見惚れてしまうよ
このままいつまでも 二人で…

【解説】
ゲームはリセットされました。
先ほどのバッドエンドが悪夢として出てきたりはしますが、いつも通りに彼女はプレイヤーとの日常を過ごして恋に落ちていくわけです。

何もかも見透かしたようなプレイヤーにてんは惹かれていくわけですが、既に一度通ったストーリーなのでそれは当然ですね。

お気に入りの場面、かわいい

サビ

【歌詞】
触れたら壊れるような
綺麗な綺麗な恋でした
今日でこの世界もきっと終わってしまうような
大げさかな?だってさ
幸せで前も見えないの
漠然とこの心を埋める不安定も
君と生きたいと願えたらなんてことないよ
微笑んだ君は
またあの目で遠くを見ていた

【解説】
無事トゥルーエンドに到着です。
触れたら壊れるような、一問でも間違えれば崩れてしまうような恋はここで綺麗に成就しました。

ただそこには一抹の不安があります。それはてんも薄々と感じ取っており、歌詞からその様子が読み取れます。
簡潔に言ってしまうと、ゲームにはトゥルーエンドの続きがありませんでした。てんの物語は必ず終わる運命にあり、そして次の攻略対象の物語が始まります。
プレイヤーはもうてんを見ていませんでした。

2番Aメロ、間奏、Cメロ

【歌詞】
素敵な夢で目覚めたら
幸せのわけも忘れてしまった
いつも通りの朝のはず
味のないトーストをゴミ箱に捨てた

やっと全部わかった
この悲しい悲しい世界でさ
幸せはきっと終わりのパスワード
なら二人でいつまでも
覚めない悪い夢を見よう

【解説】
そしてもう一度ゲームはリセットされました。
今度は素敵な夢で目を覚ましますが、何かが足りない日常にてんは違和感を感じています。悪夢から目覚めるよりもいい夢から目覚めた方が喪失感があってしんどくないですか。

そしててんは別の攻略対象と手を繋ぐプレイヤーの姿を目にします。

そこで彼女は全てを理解しました。これまでに見た夢はバッドエンドを迎えた一周目、トゥルーエンドを迎えた二周目だったこと。三周目のこの世界において自分がヒロインじゃないこと。
そこで彼女は一つの解決策を思い付きます…

ラスサビ

【歌詞】
触れ合った、二人の温度が溶けていく
早まる拍動、警鐘に頭が割れそうだ
それでも君が私を見たから
微笑んだ

恋に偶然はない
選択次第で二人は遠く離れていく
正しい手で捕まえて
不正解は全部やりなおして
もう一度あの場所で
二人は恋に落ちるからさ
知らないふり、得意でしょう
優しく全部狂わして

【解説】
彼女は永遠にバッドエンドを繰り返す決断をしました。

てんはプレイヤーもろとも踏切に飛び込み、無理やり三周目を終わらせようとしました。プレイヤーが驚いててんを見ると健気なてんは優しく微笑みます。彼女も電車に轢かれる恐怖がないわけではないのですが、プレイヤーを思う気持ちがここでは上回っています。恋する女の子は強い。

そして映像は出会いからバッドエンドを繰り返し、二人は永遠に悪い夢を繰り返していく…というのがてんの理想ですね。

ただあくまでこれはゲームのお話、電源を切ってしまえばそこで終わり。

踏切の音はだんだんと遠のいていくのでした。


おわりに

拙い文章でしたが作品のことはうまく伝わったでしょうか、よければ記事の感想などシェアして頂けると嬉しいです。(本来は作品のみでここまでの情報を伝えるべきですが…力不足ですみません)
これからより一層力を入れて制作に打ち込んでいきますので、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです!
おまけの画像をいくつか載せて記事は終わりです、ありがとうございました。


初期のイメージボード、題名は「踏切の天使」


「てん」のキャラデザ構想中の一枚

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