(短編) カッコイイ

「カッコイイね。」
また、この言葉を彼女は口にした。
彼女に出会うまで女性にカッコイイなんて言われたことはない。
わかってる。
僕はカッコよくはないし、彼女にとってのカッコイイは受け取る側の十分の一の重みもないことを。
それなのに、あまりにも意識してしまうものだから僕は彼女に皮肉をこめて言ったんだ。
「何で僕なんかにカッコイイって言うの。」
彼女は真っ直ぐ僕を見て即答した。
「私、語彙が少ないから。」
予想外の答えにカッコ悪い僕は
「なんか、ごめん。」
と目をそらす。
「謝れる男はカッコイイよ。」
彼女の腕が僕の腕に絡んだ。。

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