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英検に要約問題が追加されるので、要約の意義を考えてみました


英検英作文に要約問題が追加されました(復習)

自習中の皆さん、おつかれさまです。
2024年度から導入される要約問題のディテールが2023年末にようやく発表されました。

英検のサイトは以下の通りです。

要約問題とはどのような問題か(復習)

例として、準1級のディテールは以下のリンクを参照してください。

https://www.eiken.or.jp/eiken/2024renewal/pdf/2_grade_p1_w.pdf

Readingの設問が少なくなり、Writingのタスクが1つ追加されることになりました。時間配分は、削除される語彙の7問分とReadingパッセージ1つ分の約15分、ということになりそうです。

200語ほどの英文を読み、それを自分の言葉で(引用することなく、パラフレーズで)60から70語にまとめます。

要約問題の意義

英検に要約問題が追加されるのではないかというのは、以前からうわさされていました。「有意義な問題が増えるじゃないか!」と期待していました。
その理由は、アカデミックライティングにとって要約の技術は大切、だからです。
(例えば)アメリカの大学ではリサーチペーパーを書かない学期はないといって過言ではありません。文系学部を専攻していれば、1学期に4つも5つも書くことだってあります。
中間や期末に提出する、10㌻前後のリサーチペーパーを書くには、自分が関心をもつトピックの学問的な歴史背景や、自分の考えと比較対象できる考え、さらに自分が主張したいことの根拠として用いる考えなどをさまざまな資料から収集する必要があります。それらを組み立てて、自分の主張を論理的に展開します。
自分の主張を展開するために借用する他者の考察や主張は、借用する筆者本人の言葉で言い換えられる必要があります。『引用』は、特別な効果を期待するときにのみ用います。この、言い換えを行う方法の主なものが、要約でありパラフレーズです。
英語を知的に使いこなせるようになるには(日本で生活し働くのにこの技術が必要かどうかという問題は別として)、複雑な情報を理解して、その内容を自分の言葉で言い直す、という技術の訓練は非常に有意義なことだといえます。
少なくとも、将来、大学へ行き社会へ出て働くことを想定する方は、英語圏での大学教育を受けた人々とも働き、意見交換することになるはずですので、知的で論理的な英語の使い方を身に着けることはプラスに働くに違いありません。

「要約」と「パラフレーズ」の違い

『要約』は、借用したい他人のアイデアを、自分の言葉を使って、短く凝縮したもの。他人の考えの主旨のみを簡潔に利用するのに適しています。考えの背景や根拠として使われる詳細情報を含むと短くまとめられません。『要約』の長さは、(英検の場合は)オリジナルの50%から40%ほどです。実際の論文ではもっと短くなることもあります。
『パラフレーズ』は、オリジナルを別の言い方で表現するだけで、情報を削除しません。言い直されたものの内容は、『要約』よりもオリジナルの文章に忠実に基づいていて、長さはオリジナルと同じくらいになります。
英検などの試験でやってしまいがちなミスは、『要約』をやっているはずなのに、本文を忠実に追いすぎて『パラフレーズ』になってしまうことです。不要なディテールが増えて文字数が多くなり、時間も浪費してしまうため、避けたいミスです。「主旨のみ書けばいい。例はいらない」と意識づけしましょう。

要約とパラフレーズに不可欠な技術

自分の言葉でほかの人の言葉を言い直すためには、

  • 同義語、同義表現を用いる

  • 文章の構造を変化する

ことが不可欠です。
厳密には、元の文章を同義語を使って書き直したけれど、文章構造がそのまま同じ、というのは書き換えとは言えず、盗用とみなされます。
しかし、英検やTOEFLなどのテストのサンプルを見ていると、そこまで厳しくないようです。
書き換えになれていない方は、まずは同義語を使ってみる、というところから始めるとよいでしょう。
文章の構造については、例えば、SVOの文のOを主語にもってきて、受け身の文章にしたり、または、人が主語の文章を動作を主語にしてみたり(動名詞を主語にしたり、It is ... for ~ to Vをつかう)が可能です。
同義語に置き換えるのに慣れてきたら、文章構造を変更するのにもチャレンジしてみると加点につながります。
論理的な文の流れを表す、従属節(副詞節)や意味の追加(修飾)のための関係詞節(形容詞節)や分詞句も慣れておくと便利な文法ポイントです。

要約技術を訓練するには

英検用の練習問題がまだ手に入らない現在、どのようにして要約に取り組んでみるとよいでしょうか。
現在手に入る教材としては、TEAPというテストのライティング教材が挙げられます。
問題集がたくさんあるわけではないのですが、一つ例をリンクで紹介します。

まとめるパッセージの長さは英検準1級の問題の長さと同じくらいです。70語でまとめましょう、という点も英検準1級と同じレベルです。パッセージの内容も英語の難度も似ている、と個人的に判断しています。

要約問題サンプルパッセージ

214語でドローンについてのパッセージを作成してみました。ありがちな内容ですが、練習の材料にしてみてください。
主題を簡潔にまとめ、主題となっている事柄の利点、そして問題点、という順に書き進めましょう。詳細を入れすぎないこと、なるべく同じ表現や構文を使わないこと、を目標にしましょう。
要約サンプルは、次回、掲示したいと思います。
みなさん、引き続き、自習を頑張りましょう!

Unmanned aerial vehicles (UAVs), commonly referred to as drones, were originally developed for military purposes. They can be piloted remotely or autonomously and are typically equipped with cameras and sensors. Technological advancements have made these machines versatile tools in various industries.

For example, in agriculture, drones assist farmers in closely monitoring their crops, providing real-time data on crop health and growth patterns. The logistics sector benefits greatly from drones' ability to reach remote areas quickly, facilitating faster and more efficient deliveries, especially in challenging terrains.  Furthermore, the film industry has undergone a remarkable transformation due to the capabilities of drones. These aerial machines capture stunning shots from unique perspectives, leading to enhanced cinematography with previously impossible visuals.

However, concerns remain regarding their use. Instances of unauthorized drones trespassing on private property have raised significant privacy concerns and prompted discussions about regulations and boundaries. Additionally, the increase in drone traffic heightens the risk of mid-air collisions. This has led to the implementation of strict air traffic control measures to curb potential dangers. Operational limitations, such as restricted battery life and vulnerability to adverse weather conditions, can affect the effectiveness of drones. This is of particular concern in critical emergency situations where an immediate response is essential, such as during hurricanes, heavy storms, or traffic accidents.


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