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ミドルスクールでカウンターバーンを

ここは

私が愛用している「行き詰まりカウンターバーン」の解説を中心として、構築や環境、プレイング、やってて分からなかった事などミドルスクールにおける青赤コントロール、特にカウンターバーンと呼ばれるものにまつわるロジックやあれこれを綴った記事です。

ジョーク、ネタ枠のつもりで組み上げてはや一年、死に覚えと調整を重ねるうちに思いの外戦えるデッキになっていた事が判明し、リスト化が増えるに従ってコピーして下さる方もちらほらと出てきたようなのでデッキ作成者としてそろそろ記事にまとめ、ネットに上げる事にしました(激遅)。

最近のイベントでも私のリスト(たぶん)を使ってくださった方が活躍中のようです。というか知らない間に優勝してる…

ミドルスクール未経験の読者も想定に入れつつ、私個人の目につく限り重要そうな事を逐一書き込んだ結果、各記述はかなり冗長なものになってしまいました。殆ど思考の垂れ流しに近く、酷い時は初心者以外誰でも知っているのではないかと思えるような部分も含まれるため、流し読みしつつ必要な部分にだけ目を通すような読み方をしても恐らく問題は無いでしょう。
また対戦上の経験則的な部分、マッチアップ論などについてはミドルスクールを遊んでいたこの一年間で得られたものに偏っているので、
あまり当てにならないかも分かりませんがよろしくお願いします。

ミドルスクールって?

ああ!



…真面目に説明するとEternal Centralが提唱している非公式フォーマットで、平たく言うと昔に近いルールでオールドスクール(1993~1994)以降の旧枠時代のカードが全て使えます。カードプールではオンスロート発売前のエクステンデッドに近いようです。禁止リストで特徴的なのは≪渦まく知識≫と≪暗黒の儀式≫で、逆に≪ネクロポーテンス≫≪適者生存≫が野放しになっているのも目を引きます。似たようなフォーマットで微妙にカードプールや禁止リストの異なるプレモダンが存在し、こちらはMOでも遊べるようです。
私が参入した頃はちょうど流行が去りかけの時期に入っていたのかはっきり言って過疎気味の印象でしたが、少し後からまたブームが来て店舗での大会が増えていき、現在はプレイヤー人口もかなり増えて村落ぐらいには言える程度になりました。

旧枠時代の思い出のデッキが組めるのが大きな魅力ですが、個人的にはカードプールが固定されており、一度離れる事があっても同じデッキのまま戻って来れる事の方が大きいです(元々はレガシーやモダンがその需要を担っていた筈ですが)。
ある程度情報が広がり、メタゲームも形成されてきたため当初のように昔懐かしのデッキを持ち寄って遊ぶような形からは趣が少し変わってしまった感もありますが、動かないカードプールの割にメタは回っており、ゲーム性もしっかり楽しめるものになっていて、現在でも新デッキの開発や調整が行われています。

デッキリスト

基本型

私がミドルスクールで常用している「行き詰まりカウンターバーン」のリストです。サイドボードは後述の解説に任せるため、ウィッシュボードの意図を明示するための最小限の記述に留めます。

火力:124:《稲妻/Lightning Bolt》
1:《火葬/Incinerate》
4:《火+氷/Fire+Ice》
2:《予言の稲妻/Prophetic Bolt》
1:《横揺れの地震/Rolling Earthquake》

打ち消し:131:《無効/Annul》
2:《魔力の乱れ/Force Spike》
2:《マナ漏出/Mana Leak》
4:《対抗呪文/Counterspell》
4:《意志の力/Force of Will》

ドロー等手札サポート:104:《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》
3:《行き詰まり/Standstill》
2:《嘘か真か/Fact or Fiction》
1:《狡猾な願い/Cunning Wish》

土地25枚(純マナ源土地:18枚,能力付き地形7枚)
1:《真鍮の都/City of Brass》
1:《大闘技場/Grand Coliseum》
4:《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
8:《島/Island》
4:《山/Mountain》
4:《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》
2:《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》
1:《黄塵地帯/Dust Bowl》

ウィッシュボード想定カード
1:《星の嵐/Starstorm》
0~1:《予言の稲妻/Prophetic Bolt》
1:《無効/Annul》
2: (アーティファクト破壊スペル)
1:《テフェリーの反応/Teferi’s Response》
1~2:《もみ消し/Stifle》

よく行う入れ替え

  • ≪火葬≫を3枚目の≪マナ漏出≫に変える。
    緑系ビートやスライ/バーン重視なら≪マナ漏出≫、コントロールやThe Rock重視なら≪火葬≫が良い。対コンボは意外とどちらでも変わらない。

  • ≪真鍮の都≫を≪山≫や赤いフェッチに替える。

  • ≪島≫の一部を青系フェッチに替える。
    だいたい2枚、終盤≪対抗呪文≫や≪意志の力≫を複数構えるため≪島≫の枚数は偶数枚にしたい。青白に擬態するため≪溢れかえる岸辺≫の方が良い

  • ≪行き詰まり≫を抜いて≪嘘か真か≫を1枚追加、残り2枚を≪衝動≫などで埋める
    (→ただのカウンターバーン)

  • ≪蓄積した知識≫を抜き、≪行き詰まり≫≪嘘か真か≫、土地を1枚ずつ追加。残り1枚を≪衝動≫などで埋める
    (→ボルトスティル)

デッキ概要

ゲームプレイ上の意味付け

特に≪行き詰まり≫を取り純正型青白ランドスティルに近い構成にしたものについて、元のリストに対して見る相手を変えた亜種、調整版であると言えます。
除去が豊富なため、コントロールは使いたいが純正型の単除去4枚が全くもって信じられないという方には強くお勧め出来ます。フィニッシャーらしいフィニッシャーが存在せず妨害手段とドロースペルのみで構成されているこのデッキはある意味純正型よりもさらに後ろ向きなデッキと言えるかも知れません。コンボへの耐性を落とさずに対ビートダウンが見れるのが魅力という所でしょうか。

具体的には、まずリソース回復やマナベースのために一定量のライフを対価とするデッキ相手に有利が付きます。というのもミドルスクールはマナを出すと手から血が出る環境、二色土地が実質ペインランドとフェッチランドしか無く、その上更なる多色化には≪真鍮の都≫、マナ加速に≪古の墳墓≫と実用的な範囲に自ら命を削るカードがゴロゴロ転がっているので、火力を温存できるようなマッチアップなら簡単に焼き切れてしまう場合があるのです。ついでにこの環境には黒のドローエンジンとして≪ネクロポーテンス≫と≪ファイレクシアの闘技場≫がありますが、こういう手合いは置かれるとむしろ有利になる場合が多く、割と簡単に殺せます。基本このデッキ相手にそういうの置いちゃダメです。

ぼく「焼かせろ」
墳墓「赤使いっていつもそうですよね…!」

本体火力の採用および除去札が増えた事でエルフやゴブリンのような小粒のクリーチャーによる横並びを多用するアグロ~ミッドレンジデッキとも相性が改善します。とはいえこのデッキは赤マナを出すと手から血が出るので必ずしも有利まで行けるとは限りません。
また、≪正義の命令≫に対応する枠の≪予言の稲妻≫がウィルの弾になるため、打ち消しの硬さ自体は純正型以上と言えるかも知れません。

使えば使う程、泣きたくなるぐらい弱い

これに対し、火力で対処不能な大型クリーチャーをメインプランに据える緑系ビートダウンや、スタイフルノートやリアニメイトのような大型のクリーチャー・コンボ相手にはパフォーマンスが落ちます。特に、このような大型生物を多く取って数で攻めるような手法や手札破壊で打ち消しを無力化して来る手法には滅法弱く、相性は絶望的と言えるでしょう。
対抗色フェッチランドの不在によって特殊地形の枚数が僅かに増えているため、≪不毛の大地≫や≪リシャーダの港≫、≪発展の対価≫への耐性が落ちているのも弱点の一つです。

構築の動機

メタゲーム上の立ち位置や戦略的な優位性について特に考えがあった訳ではなく、単なる趣味と性癖の産物です。

小学校高学年の頃、遊戯王をプレイしていた時に悪ふざけで組んだ「攻撃を一切行わず効果ダメージのみで勝利するデッキ」が思いの外手に馴染んだのが原体験としてあります。これがバーンデッキというれっきとしたアーキタイプである事を知ったのはそれから数年、通学時間の都合でカードゲームから離れた後の事でした。
全体除去やロックカード、攻撃反射等で徹底的に相手の行動を阻害し、戦闘の概念を無視した実体の無い攻撃手段で勝ちに行く様はマジックの世界に於いてはバーンというよりはコントロールのそれに近く、マジックを始めてからというもの、フォーマットを転々としながら色々な形の青赤スペル、パーミッション系デッキを握り続けて来ました。
現在私がミドルスクールで使用しているこのデッキは恐らくその理想型、自己表現としてのデッキ構築の終着点にあたるものになります。

DS版で3積みできる≪魔法の筒≫を見つけてからは
構築済みを複数買って集めたものです
よく≪大嵐≫で割られてました

デッキの呼称

私が勝手にこう呼んでいるというだけの話ですが。

いずれも外からは大抵URスティルもしくはカウンターバーンとして認識されていますが、
厳密にはアドバンテージ源を≪行き詰まり≫と≪嘘か真か≫に絞り純正型ランドスティルにかなり近い形にしたものを「ボルトスティル」
それ以外は(ただの)カウンターバーン
そのうち特にこの記事で解説するリスト、追加のドローソースとして≪行き詰まり≫を採用したものを「行き詰まりカウンターバーン」もしくは「ボルトスティルゼロックス」と呼び分けています。ちなみに土地25枚のくせにゼロックスを名乗っている理由については次章で説明します。

…懐古趣味の強いフォーマットだし、当時っぽい変な名前の方がいいかなって思ったんです(震え声

設計思想

構築理念

具体的なリストを見た事はありませんでしたが、レガシーに「工廠型カウンターバーン」なるデッキが存在する事は知っていたのでその通りに「土地からの攻撃と本体火力のみを勝ち手段とするデッキ」を組みました。

バーンデッキでありながら火力呪文のコストパフォーマンスがもたらすキルターンの速さの恩恵を全く受けられない矛盾を解消するため、コントロールの範疇においても過積載と言える大量のドローソースを投入し、最終的にこれを本体火力に変換する事を狙う形にしました。これらのドローソースがもたらす膨大なアドバンテージそのものをフィニッシャーにしているとも言えます。

主な採用カードとしては≪稲妻≫と≪対抗呪文≫が使いたくて組んだ所もあるのでこれらは4積み、≪ミシュラの工廠≫もデッキコンセプトなので3~4枚採用します。

マナベースとブルーカウント

ゼロックス理論の採用
ミドルスクールで対抗色をやるに当たって、ひとつ問題があります。デッキ色に対応するまともな多色地形がペインランド以外存在せず、フェッチはおろかタップインランドすら貰えていないのです。
友好色フェッチはオンスロート(2002)で既に登場しているのに対し、対抗色フェッチの登場にはそれから7年、8版を跨いで新枠のゼンディカー(2009)まで待たなければなりません。タップインランドに至っては有効色の初出がインベイジョン(2000)に対して対抗色はラヴニカへの回帰(2010)の10年差と初出が古い割にもっと間隔が開いています。尤もその間にギルドパクト(2006)でショックランドが登場している訳ですが。

故に有用な多色土地はペインランドのような手から血が出るタイプの土地ばかり、対抗色デッキはその劣悪なマナベースと格闘する事が宿命付けられます。

ただし沼主体の黒系は除く。何故だ…

このデッキの場合、その解答として≪火+氷≫を軸としてゼロックス理論を応用しました。
ゼロックス理論というのは本来ドロー回数を増やす事で土地を引く確率を増やし、その分土地枚数を減らす事が出来るというものですが、実際の所この文言の「土地」の部分は本質的に他の単語を代入しても成り立ちます。
従ってこの部分に「手から血の出ない青マナ源」を代入し、ドローソースから1枚目、2枚目の≪島≫(もしくは集会場)を引き込む形にすればペインランドマシマシの劣悪なマナベースを正当化できると考えた訳です。
この点青赤には≪火+氷≫が存在し、除去とキャントリップの枠を兼ねるため理論をスムーズに適用する事が出来ました。

土地枚数
キャントリップ類含め大量にドローする形にしたので必然的に土地を引く枚数も多くなってしまい、回しているうちにやせたかなしい手札になってしまう事が多かったため≪行き詰まり≫との噛み合いを犠牲にして土地枚数も元々の26枚から1枚減らす事になりました。
≪蓄積した知識≫をピッチで切るのが嫌でブルーカウントを多く取りたかったのもあります。
大体29~30枚とミドルスクールのデッキでは最多の域に入る枚数を取る事になりました(それでも≪蓄積した知識≫しか無ければ引かずに切る事の方が多いです)。

色マナの配分
なるべく初手から≪稲妻≫と≪対抗呪文≫を構えられるようにしたいので、期待値で考えるると青マナ源が8枚中2枚と赤マナ源が7枚中1枚、従って60枚にそれぞれ15と8.5枚は必要な計算になります。
肌感覚ですが、それぞれもう1~1.5枚ずつ足して16,10にするのが丁度良いように思え、このリストでもそのようにしています。
この部分の微調整のために採用しているのが≪大闘技場≫と≪真鍮の都≫ですが、このうち真鍮の方は相手に≪リシャーダの港≫を置かれると毎ターン1点の逆クロックに成り下がってしまうなど他のペインランド類とは一線を画す弱さがあるため、メタゲーム次第では不採用も検討します。

ここから減らすとなると青は理論値の15でも回っている例を見た事がありますが(オールドスクールのThe Deckがこの枚数です)、赤の方は9枚以下だと足りない印象があるので真鍮と≪山≫、もしくは赤系フェッチランドと入れ替える事になります。目的次第では≪ギトゥの宿営地≫に替えてミシュラランドをかさ増しする事もあるかも知れません。

特殊地形
≪ミシュラの工廠≫は防御面が強く、重ね引けば見た目以上の威力を発揮するカードです。
工廠型カウンターバーンとして組んだので複数取るのは確定として、≪行き詰まり≫を採用した兼ね合いから最終的に工廠4、≪フェアリーの集会場≫2と純正型ランドスティルの配分をコピーする形になりました。
使用していて特に違和感も無いのでこのまま使用していますが、前述の色マナ問題を考えると、根本的に構築を見直すならこの部分からのような気もします。
集会場の飛行能力は膠着時に大変重宝し、工廠で地上を止めつつこれで上から殴り続けるのは対ビートダウンの現実的な勝ちプランとなります。この点、≪ギトゥの宿営地≫も立っているだけで攻撃を止められる点が優秀で採用候補になり得ますが、飛行に代替し得るものではなく同じ枠での交換を検討できるものではありません。

≪黄塵地帯≫ですが、これは絶対にメインから採用して下さい。嫌ならせめて≪テフェリーの反応≫をメインボードに挿して下さい。必須です。コントロールやThe Rock相手のマッチアップは最終的に≪黄塵地帯≫の割り合いに帰着する事が多いため、こちらの勝ち筋としても相手の勝ち筋を潰す手段としても≪黄塵地帯≫≪テフェリーの反応≫をメインで合計2枚は取るのが理想的です。
このリストの場合、≪狡猾な願い≫から≪テフェリーの反応≫を持ってくる形にしています。≪不毛の大地≫でも一応代用は効きますが、これのみに頼るなら割くべきスロットはむしろ多くなるでしょう。

≪セファリッドの円形競技場≫≪蛮族のリング≫も検討に値しますが両者とも手から血が出るタイプなのでマナベースを見直さない限り採用は厳しそうです。サイクリングランドについても、元々のタップインの多さの関係上あまり乗り気にはなれません。
他にも≪シヴの地溝≫等は今後試していきたいものです。

フェッチランド
最近使用しているリストではこのリストの≪島≫の一部を青系フェッチに替えていますが、はっきり言って高額な割に一長一短で必要不可欠とまでは言えず買ってまでやる事ではありません
長所としてはまず軽微なデッキ圧縮によるマナフラッドの回避がありますが、それ以上にマリガンや≪予言の稲妻≫でデッキ下に戻したカードを再度使用できる点が大きいです。≪衝動≫を採用するようならさらに価値が上がる事でしょう。
サイドボードに≪渋面の溶岩使い≫や≪巣立つドラゴン≫を採用するようなら墓地肥やしの手段としても有用です。反対に、コストのライフ1点がバーン/スライ相手で痛手になる点と、常に≪もみ消し≫を警戒し続けなければならなくなる部分が短所と言えます。

採用を考えるなら、これも個人の嗜好によりますが私はフェッチ先の土地を最低でもフェッチ枚数+2枚は入れ、フェッチから何も持って来れない局面を最小限に抑えられるよう気をつけています。終盤青ダブルシンボルを複数構えられるよう枚数の偶奇にも気を遣って2:6にする事が多いですが、集会場の存在も加味すると3:5でも別に問題は無いような気もします。
細かい差なのであまり気にしなくても問題ありませんが、青白と青黒のどちらを取るかについては≪行き詰まり≫≪ミシュラの工廠≫など、相手から見えやすいものを考えるとランドスティルに擬態出来る分青白の方が一般的にはやや強いです。ただし個人差もあり、他にサイカトグを握ることもある等の場合は青黒の方が強い事もあるでしょう。要は地域メタと顔メタに即した方という事です。
では赤マナ源の方はというと正直2枚以上引きたくない場面も多いので、何故今までやっていなかったのかという感じですが≪山≫4枚中1枚を赤系フェッチに替えるのはかなり有効ですし今後はそうする予定です。

打ち消し

≪意志の力≫
ピッチカウンター代表、通称ウィル。高額カードとしても有名で、このデッキの構築費用の8割強がこのカードの金額で占められており、実はこれ以外の部分は一万そこらで組む事が出来ます。

私自身ウィルが必須でないとの事でミドルスクールに参入したクチですがこのデッキに関しては実質必須です。
青赤でやっている以上こちらがエンチャントの除去手段を持っていない中≪適者生存≫≪ゾンビの横行≫など通したら負けクラスの凶悪な置物が2マナ帯に多数存在している他、青白のように≪剣を鋤に≫も無いので≪ファイレクシアン・ドレッドノート≫も実質的に対処不可能です。
≪魔力の乱れ≫も含め1マナ以下で撃てるカウンターは積めるだけ積みましょう。撃った分のディスアドバンテージで負けるとか言ってられる場合ではありません。
どうしても廉価版で済ませたいようなら腐る事覚悟で≪無効≫3~4枚に≪蒸気の連鎖≫でも積みましょう。≪誤った指図≫は絶対に代用にはなり得ません

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魔力の乱れ≫
1マナで撃てる1マナ要求カウンター。腐りやすく撃てるタイミングが限られるのであまり入れたくないカードですが、スタイフルノートやリアニメイト、もしくはサイド後に≪古の墳墓≫や≪裏切り者の都≫から出てくる≪防御の光網≫など一手目の攻防で勝負が決まるマッチも少なくないため、その瞬間の有効牌をかさ増しするために仕方なく入っています。
2枚は必要になると思われますが、サイカトグのような特殊なデッキでもない限り3枚以上は中々躊躇われます。

≪無効≫
 置物限定の1マナカウンターと現代マジックの感覚ではあまり強そうに見えませんが、れっきとしたミドルスクール最強格のカウンターの1枚です。メインボードのピン挿しが目を引きますが、元々は名作杯で3枚目の≪魔力の乱れ≫を検討していた際、持っていなかったので代替として試験的に採用した結果感触が良かったので現在もそのままにしています。サイドボードの節約にもなり、枠が余っている分には入れ得です。
1ターン目に≪魔力の乱れ≫を増やしてでも消さなければならないカードは大概置物で、それ以外の場合でも大半のデッキに何かしらの置物が入っているため、ピン挿し程度ならあまり腐る事はありません。腐るようなら最悪ウィルの弾にも出来ます。

≪対抗呪文≫
序盤でも撃てて終盤も腐らない、カウンター呪文の元祖にして代表格です。
…というよりこのカードの存在のせいでまともな打ち消しが少なく、実用に耐えうるのはこれと≪マナ漏出≫、重い所も見れば≪禁止≫ぐらいのものです。
長期戦での強さを重視したのと、趣味もあって4枚採用していますが、前述の通りこのカードのせいで青マナ源の確保に苦心するはめになっているので採用枚数には議論の余地があり、実際他の方のリストで不採用にしたものも存在します。

マナ漏出≫
≪否認≫すら無いこの環境ではシングルシンボルでまともに構えられるほぼ唯一のカウンターです。
≪対抗呪文≫4枚では足りない印象があるのでかさ増しとして入れたいカードではありますが、そもそもこのデッキがゲームレンジをかなり長めに取っているのに加え、環境で使用されるカードが軒並み軽い上に2種の2マナランドが存在する関係で腐るのが意外と早いため、4投は躊躇われます。

普段は2枚の採用で、3枚の時もありますがやや余分に感じる事が多いです。ただし、対バーン/スライを重視するなら殆ど必ず1点以上のライフロスと共に撃つ事になりサイドアウト候補となる≪対抗呪文≫に対し、確実に撃てるこちらに軍配が上がります。

≪誤算≫
不特定2マナでサイクリング出来る2マナ要求。
見た目こそ≪マナ漏出≫に類似していますがいざ使ってみると要求1マナの差で腐るタイミングが尋常でない程早く、痒い所に手が届かない印象でした。本音を言えばミドルスクールよりもスタンダードやパイオニアに欲しくなる性能です。採用を考えるなら≪マナ漏出≫の枠ではなくキャントリップ、ドローソース類の代替として検討する形になるでしょう。

≪禁止≫
3マナバイバック付き確定カウンター。終盤の有効牌が増えるので重いマッチを重視するなら入れてみたい所ですが、枠が余るなら前述の通り≪無効≫が優先されるでしょう。

ドローソース/ユーティリティ

アドバンテージ源
≪行き詰まり≫≪蓄積した知識≫≪嘘か真か≫の3種が該当します。順に見ていきましょう。

≪嘘か真か≫は実質インスタントの4マナ3ドローとして計上できる、現代の基準で見ても最強クラスのドロースペルです。
とはいえ、多色化をペインランドに頼る上に3~4ターン目に即死級のムーブが横行するミドルスクール環境においてはいささか重く、これのみに頼るのは非現実的です。また、このデッキに関しては打ち消しも火力もそれぞれ重ね引きたいタイミングが多いため、対戦相手に配分を委ねるこのカードではあまり質の良い手札が入って来ない側面もあります。

従って、上記の他2種の2マナドローソース≪行き詰まり≫≪蓄積した知識≫と併用する必要があります。とはいえどちらも一長一短で扱いにクセがあります。

≪行き詰まり≫に関しては盤面の有利が取れなければ全く活躍しないカードです。このデッキのような場合は自分の側にだけミシュラランドがある事を想定した運用となるため、相手の展開を許してしまった後や相手側にもミシュラランドがある場合にはあまり引きたくないカードになります。
≪正義の命令≫を持たない白以外のデッキでは100%の性能を発揮できないという訳です。

これに対して≪蓄積した知識≫は重ね引きによって得られるアドバンテージが増加していくカードですが、単体ではただの2マナキャントリップでしかありません。また相手の墓地の同名も参照してしまうため迂闊に撃ってしまうとかえって相手に得をさせる結果になってしまいます。≪直観≫との併用が多く見られるカードですが、このデメリットが強調される事にも繋がるため手放しに飛びついて良いものでもありません。必ず4枚セットでの採用が求められ、枠を取られるのも不便です。

このようにいずれもサイドアウトを検討する場面のあるカードなので、このデッキの場合は両者ともに状況に応じて使い分ける想定で枠を分割し、2軸の採用という形にしています。枠を押しのけられる形で≪嘘か真か≫が2枚に抑えられているので、2種のいずれかを抜く場合は追加の≪嘘か真か≫を最低1枚は戻す計算で調整しています。

≪狡猾な願い≫
元々はコントロールだから全体除去を3~4枚は取りたいという事で、2枚挿ししてサイドボードの≪星の嵐≫をかさ増しするためのカードでした。使ってみたら重かったので現在は1枚に抑えられています。
この1枚のためにウィッシュボードを組むというよりかは本来サイドからでしか対応できないカードをメインに持ち込める器用さを買ってモード呪文感覚で入っているカードで、全体除去にアーティファクト破壊や≪テフェリーの反応≫、それも不要なら追加の≪予言の稲妻≫や≪嘘か真か≫にも変えられるのが中々に強く、不採用にしたところでそこまでサイドの枠が増える訳でもないので個人的にあまり抜く気にはなれません。ウィルで切ってしまった呪文を再利用できる点も大きいです。
サイドボードから≪渋面の溶岩使い≫を入れる場合には≪蓄積した知識≫の3回目以降を使い回したりという小テクも存在します。

≪衝動≫
最近スタンダードでも再録されましたが、旧枠世界のぶっ壊れキャントリップの代表格で周囲からもなぜ入れないのかとよく言われる1枚です。実際枠が余ればなるべく採用していますが、2マナの重さ故に打ち消しの構えとかち合ってしまうのは現行の採用キャントリップと同様なので、このデッキに求められるのはむしろ1ターン目から撃ててマナベースを回しながらも構えを阻害しない≪選択≫の方ではないかとも考えています。見えたカードが山札下に行くのも痛手で、なまじ見る枚数が多いのでデモコン理論で飲み込むのも考えものです。採用するならフェッチランドとの併用をお勧めします。

≪強制≫
2マナでルーティングまたは自身を1ドローに変換するエンチャントで、土地を減らした頃少しの間だけ現在の≪無効≫の枠で試していました。腐った不確定カウンターをドローに変換できるのは魅力ですが、はっきり言って重く、機能するのは中盤以降になるので採用はメタゲームと相談になるでしょう。

除去/火力

稲妻≫
元祖本体火力にしてバーンデッキそのものの始祖。このカードのせいか、ミドルスクール環境でタフネス3生物の採用は滅多に見られません。純粋な赤の除去としてこれ以上のものは無いので最優先で投入します。4枚。

火葬≫≪ウルザの激怒≫
タフネス3生物が少ないとはいえ追加の3点火力が必要な生物は確かに存在します。≪野生の雑種犬≫です。ひと度着地を許してしまえば向こうの手札が尽きない限り焼き殺す事はほぼ不可能、場合によっては火力を2枚消費する場合すらあります。
この他、デッキ内の火力総量の調整も兼ねて追加の≪稲妻≫として1~3枚程度投入します。

≪野生の雑種犬≫に対しては毎度毎度頭をフルに働かせての対処が求められます。

≪火葬≫は≪マスティコア≫や≪リバー・ボア≫ (滅多に見ないけど)のような再生持ち生物に対処できるケースがあり、≪ウルザの激怒≫は打ち消されないメリットがある他、12マナから防御円を貫通して本体に10点を叩き込める可能性がμm単位のレベルで存在します。私がミドルスクールに参入した当初と比べ、現在は≪誤った指図≫を見かける事もめっきり減ったためサイドボードに仕込んでおくのも良いかも知れません。とはいえ追加の火力としては軽さの点で≪火葬≫に軍配が上がるでしょうか。現在は≪火葬≫のピン挿しをその時見たい相手に応じて追加の≪マナ漏出≫と替えたり戻したりしています。

+氷≫
キャントリップも兼ねウィルの弾にもなる2マナ2点分割火力。
数字だけだと一見非効率的に見えますが、タフネス1生物が多用されるミドルスクール環境においては高確率で1:2交換が可能で、メタゲーム次第では≪稲妻≫以上に強くなるポテンシャルを秘めています。
キャントリップとして使うにも一見重く見えますが、相手ターン開始時に土地を寝かしながら撃てるためそもそも構える必要性が生まれにくく、隙無くドローを回す事が出来ます。他にもタップ効果は用途が多く、除去として腐ればドローに回し、相手のライフ次第ではたまたま手札にあったこれがトドメの一押しにと局面に応じて様々な使い方が可能です。
除去の選択肢以前にマナベースに組み込まれているため、≪稲妻≫が減るような場合でもこれは4枚入れます。

予言の稲妻≫
手札の減らない4点火力で、長期戦で相手のライフを詰めるために使います。サイド後≪稲妻≫類が抜けるようなマッチでもローリスクで本体を詰めに行けるのが有り難いです。
除去としても一応運用は可能でアドバンテージも取れますが、そもそも5マナという重さは対応札としては重過ぎ、撃たされる頃には死んでいるケースもあるのでビートダウン相手でもキャントリップ感覚で本体に撃つ事があります。
このように対面での性質や使い方を見ると除去枠というより≪嘘か真か≫のようなユーティリティ枠として見るのが適切な気もします。強力なカードであり、青赤を使う理由の一つになる事は確かですが必須かと言われると怪しいです。
採用する分には複数枚入れてこそ強いカードなのですが、環境的に4投できる重さではないのでウィッシュボード込みで2~3枚が丁度良いでしょう。

横揺れの地震≫
ポータル三国志における≪地震≫に相当するカードで、飛行の代わりに馬術を参照します。
本体火力と全体除去を兼ねる1枚で、局面次第ではこれで勝つ場面も存在しますが自分にもダメージが入るため考え無しに使えるカードでもありません。類似カードの中では≪不可思議≫が存在する環境下で飛行に当たる点で頭一つ抜けています。馬術持ちはまず居ません。最初は2枚採用していましたが、そこまでライフが持たないため1枚を超えて採用できるものではないでしょう。全体除去の追加を考えるなら≪星の嵐≫≪火薬樽≫あたりになるでしょうか。

調整可能な枠

少なくともこれは抜けないと思えるカードの最低枚数から出発します。

  • 土地枚数については既に議論がついているのでそれに従います
    →25枚

  • 明らかなものとして、火力は≪稲妻≫≪火+氷≫、打ち消しは≪対抗呪文≫≪意志の力≫がそれぞれ4枚入ります
    →16枚

  • 前述の通り、≪マナ漏出≫≪魔力の乱れ≫は最低2枚ずつ欲しい所です
    →4枚

  • 火力が合計20点分ありますが、≪火+氷≫をドローに回す事を考えると≪稲妻≫だけで12点、もう8点は欲しい所です。最小枚数で考えるなら≪予言の稲妻≫2枚になります
    →2枚

  • ドローソースについて、先の議論から≪蓄積した知識≫4,≪行き詰まり≫2,≪嘘か真か≫2枚を最低枚数として考えます(※実際には≪行き詰まり≫4,≪嘘か真か≫3から減らしていく形で調整しました)
    →8枚

これで55枚は決まったので、残り5枚、および火力の穴埋め枠最低2枚が自由枠となります。今回のリストは≪行き詰まり≫≪狡猾な願い≫≪横揺れの地震≫≪火葬≫≪無効≫に≪予言の稲妻≫2枚を詰めたパターンと言えます。

サイドボード:固定枠

固定ウィッシュボードの≪星の嵐≫を除き、いずれも特定の、もしくは複数の相手を見て決めている物なので固定枠は存在し得ないのですが、実質的に固定枠のようになっているものはあるのでそれらから順に解説します。

≪星の嵐≫ :1枚
プレイヤーに飛ばないサイクリング付きインスタント全体除去。
ビートダウン、特にスレッショルド相手に是非撃ちたい1枚ですが赤ダブルがきつく、撃てない局面も多々あります。≪横揺れの地震≫と違って最低でも3マナはかかる点も痛手ですがそれでも≪不可思議≫が存在する中で飛行にも当たるメリットは大きく、最悪サイクリングも可能なのでメインボードへの追加も検討できます。

≪トーモッドの墓所≫ :2枚
わざわざ手札を1枚切ってまで墓地対策を行いたい相手は主にパララクス補充とリアニメイトの2つです。打ち消しだけでもぎりぎり何とかなるパララクス補充はともかくとして、リアニメイト相手はいくらあっても足りないので採用するなら初手に欲しいので最低2枚、枠さえ許せば3枚は入れたいカードです。

アーティファクト破壊 :2枚
主に破壊したいのは≪ファイレクシアン・ドレッドノート≫≪防御の光網≫≪冬の宝珠≫≪呪われた巻き物≫あたりで、特に巻物以外3つはなるべく速やかに破壊したいので採用候補としては

  • バイバック付きの≪破壊的脈動≫

  • 1マナで撃てる≪過負荷≫

  • 条件付きピッチスペルの≪モグの分捕り≫

の3種から選ぶ形になります。
現在は条件次第でドレッドノート相手に無料で撃てる≪モグの分捕り≫を採用していますが、バーン/スライを強く見るなら他2つに切り替えても良く、とりわけ≪過負荷≫はキッカー込みで割りたい所は大体割れるので注目に値します。
採用枚数は何となく2枚。必要になるマッチでは大概ピン挿しでは初手に引けず、かといって3枚ではどこかしらで腐るのでこの枚数になります。

≪無効≫
メインボードでも解説しましたが、軽さの割に通せば終わりの置物が多い環境な上、置物を多用するデッキも一定数存在するのでメインとサイドで合わせて2枚採用しています。3枚以上では置物主体のデッキ相手でも腐りそうな印象です。やや不安は残りますがピン挿しも検討の範疇です。

≪テフェリーの反応≫ :1枚
マナベースの項で述べたように≪黄塵地帯≫と併せて長期戦で必須になるため採用しています。他にも≪リシャーダの港≫を採用しているデッキや、スライ/バーンもこちらのミシュラランドに除去を撃ってくる可能性が高いのでこれらに対して有用です。≪不毛の大地≫への対策にはやや重すぎます。

上手い人曰く2枚では過剰との事なのでこの枚数にしていますが、想定よりも使う場面が多かったため、意表をついて2枚というのもメタと枠の余裕によってはあり得るかも知れません。

≪もみ消し≫≪渋面の溶岩使い≫ :合計2枚以上
いずれも対マッドネス戦で有効なカードで、前者はランドスティルの≪正義の命令≫サイクリング、後者はエルフやゴブリンなど低タフネス生物が並ぶビートダウンを想定して採用します。いずれも共通して、マッドネスに限らずThe Rockやコントロール相手に採用しても強いのが面白い所です。ちなみにフェッチをもみ消す事はほぼありません

≪もみ消し≫は一応≪不毛の大地≫への対策になりますが、置かれたタイミングで引かなければいけない上に向こうがフル投入しているとも限らないので、他の目的を兼ねているのでも無ければお勧めは出来ません。

≪赤霊破≫ :2枚
ドレッドノート相手での有効牌のかさ増し、および着地した≪サイカトグ≫を倒す唯一の手段です。≪サイカトグ≫を巡るカウンター合戦ではこちらが負ける可能性も十分あるため、着地後を考える必要があります。それ以外のパーミッション相手でも入るだけ入れますが必須という訳でもありません。また、ドネイトコンボをはじめとして青絡みのコンボデッキにも刺さる場合があります。
ちなみにパララクス補充やスレッショルドなど、一見入りそうでも入れないマッチアップも存在します。

固定枠として紹介しましたが、このように用途が限られる上、見る相手として上げたドレッドノート及びサイカトグも最近あまり見かけなくなったのでピン挿しにしても問題無さそうな疑惑があります(冒頭のしかのつの様の入賞リストから思い至りました。ありがとうございます)。

サイドボード:変動枠

優先度の高い順に紹介して行きます。

≪青霊破≫
マッチアップの項で詳しく書きますが、最近は対スライ/バーンがきつくなってきたので対策が必要になり、色々と試した結果結局ここが良いのではないかという所に帰着しました。カウンターにも除去にもなる点が持ち味なので、採用するならピン挿しでは機能しづらく2枚は欲しい所です。そのうち固定枠になりそうな気配があります。

≪予言の稲妻≫
対コンボのような本体火力をサイドアウトするマッチや、緑系ミッドレンジやコントロールなどカードのバリューが要求されるマッチを想定して1枚挿しておくと願いで持ってこれるのもあって中々楽に戦えます。2枚以上入れる必要はありません。

≪火薬樽≫
スレッショルドなど対ビートダウンの追加の全体除去として働く他、ランドスティルの≪正義の命令≫やミシュラランドへの牽制、アーティファクト破壊と幅広い役割が持てます。

≪変異種≫
The Rockに勝てず悩んでいた頃に最後の手段としてノンクリーチャーの禁を破って投入したものです。ダメージスタックルールが登場時そのままのミドルスクール環境では着地さえすれば無二の性能を発揮し、The Rockだろうとランドスティルだろうとミシュラランドのやり取りを一切無視して速やかに相手を粉砕してくれます

基本的に投入はピン挿しで、同じく対長期戦想定の≪予言の稲妻≫と交換して使う事が多いです。メインフェイズから大量のマナを寝かせて唱える関係上、対コンボの勝ち手段としてはやや心許無く≪予言の稲妻≫の方が無難です。

赤い大型生物
このデッキは火力を多用するデッキへの実質的な勝ち手段を持ち合わせておらず、焼かれない事を祈りながら土地で殴っていくしかありません。これはその解決策となります。≪赤霊破≫に当たるので≪変異種≫では務まらず、アーティファクト破壊も飛んでくる可能性があるので赤い必要があります。
カード検索でミドルスクール範囲内の赤の生物を重い順に見て行けば何かしら良いものが見つかると思います。バーン系を見ての採用になるのでコストは5マナ以下がギリギリという所でしょう。私は最初に≪タールルームの勇士ターンガース≫、現在は≪巣立つドラゴン≫を試しています。≪巣立つドラゴン≫は≪渋面の溶岩使い≫と競合するので採用の際はご注意ください。

≪ファイレクシアの炉≫
≪トーモッドの墓所≫とはまた異なる切り口での墓地対策で、向こうが全面的に墓地を勝ち手段そのものにする場合を想定するのに対し、こちらは墓地を利用してリソースを稼いでくる相手に対して使います。具体的には≪ゴブリンの太守スクイー≫≪起源≫≪不可思議≫あたりとスレッショルドデッキの事を指します。≪蓄積した知識≫も弱体化するので私にも刺さります。何枚あっても嬉しいのが魅力ですが、枠の関係上2枚以上の採用は滅多に無さそうです。

検討に値するカード

転覆≫
土地も戻せるバイバック付きバウンス。対コントロールのマストカウンター枠となる上に≪硫黄の渦≫のような通ると痛い置物への対処にもなり得ます。≪予言の稲妻≫あたりの枠でそのうち試す予定です。

寒け≫
代表的な赤対策の一枚ですが、こちらも赤いため見た目入らなさそうな1枚ではあります。とはいえ盤面を更地にしさえすれば後は重くなった火力を打ち消しつつ土地で殴っていくだけなので案外入れても良いのではないかとも考えられます。懸念点としては≪呪われた巻き物≫は重くならない上にそれへの対処手段が重くなってしまう事と、赤緑や赤黒などバーン風の多色には効きづらく赤単にターゲットが限定されてしまう事です。少なくとも、これを採用するなら≪モグの分捕り≫はやめて≪過負荷≫にしましょう

上天の閃光≫
対ウィニーでは最高クラスのエンチャントですが、重い上に盤面への対処にはならないので採用には動作テストが必要でしょう。私の場合、ピン挿しで試していたため中々引けなかったのもありますが、4マナでこれを置きつつ盤面にも対処しなければならない条件が難しく感じ、当時の段階では使用を断念しました。今後も試す事はあるだろうと思います。

撹乱≫≪方向転換≫
ランドスティルに稀に投入されているカードです。マッチアップの項で詳しく解説しますが、ミシュラランドの殴り合いにおいては1マナカウンターも結構重要な役割を持つため、扱いづらい印象を受けますが理論上は有効牌になり得ます。

紅蓮地獄≫
自分にダメージが入らず、軽く使えるのは確かに魅力ですがX点火力に比べて柔軟性に劣り、見れる相手が狭いのが懸念点です。

象牙の塔≫
割られます注目されているうちはサイドボードから置物対策を投入されるため使用は控えましょう。対策への対策に手札を割く時点で機能不全に陥る欠陥品なので忘れた頃に奇襲的に採用するカードです。

めった切り≫
サイクリングで生物限定の全体1点になる全体除去で、これをメイン、サイド合わせて3枚以上採用できれば≪行き詰まり≫自体での≪正義の命令≫に対処できるようになり、≪行き詰まり≫軸一本のボルトスティル型がより現実的に運用できるでしょう。ただし、その際のエルフ、ゴブリン、ランドスティル以外との相性が懸念点です。

排撃≫
通ってしまった大型生物への対処として有力になりうる1枚です。ただし、用途はほぼそれのみに留まるので怪しい所ではあります。

発展の対価≫
こちらにも尋常でない被害が出るのでギャグの域に近い話になりますが、対ランドスティルや3色以上のデッキに限り勝ち筋になる場面が無くもないため、一生サイドインしない想定でウィッシュボードとして挿す案があります。

黒の万力≫
対コントロールカードとして無くはない気もしますが、これが上手く動作しているような状況を考えると大体こちらが死んでそうな気もします。

火炎舌のカヴー≫
The Rock対策に悩んでいた頃に実験的に投入した1枚ですが、当たりたいマッチに当たらず、赤緑ビーストの≪貪欲なるベイロス≫に対する4マナの≪剣を鋤に≫として一度だけ活躍しました。私の方ではそれっきりでしたが、理詰めで考えてみればあの時は当たり方と状況が悪かっただけで対緑系でのポテンシャルはあるように思えます。チャンプブロッカーとして

熱狂のイフリート≫
青赤3/2/1飛行で、戦闘時や除去に対して50%の確率で生き残る事ができる生物です。ダメージスタックルールを利用した当て逃げも可能です。

これはサイドボードというよりメインでの採用を検討するカードですが、以前≪行き詰まり≫と交代で試験運用してみた所、フィニッシュは確かに早くなりますが所詮は生物、出すのに消費した手札1枚で相手の脅威が通ってしまう事もあったので同じ枠をドローや打ち消しに割いた方が無難そうな印象でした。

デッキを大幅に改築して≪ミシュラの工廠≫を減らしたり不採用にした際の勝ち手段としては第一候補に挙がるでしょう。

検討に値しないカード

水没≫
The Rock対策に試したものですが、手札を1枚切っている割に根本的な対処にはならないので、これを入れるぐらいなら≪排撃≫や≪転覆≫の方がまだマシです。

苦痛の城塞≫
同じくThe Rock対策およびコントロールミラーに検討していたカードですが、いずれもミシュラランドを有しているため割と自由に土地を寝かせる事が出来、置いた方の首が締まる結果になりかねません。やめましょう。≪発展の対価≫の方がまだマシです。

ネビニラルの円盤≫
青赤でエンチャントに対処する数少ない方法なのは確かですが、重い、タイムラグがある、割られると欠点が揃い踏みで工夫無しには使えない印象です。ミドルスクール環境ではコスト面もあまり現実的ではなく、採用には大幅な改築が必要になると思われます。扱いなれている人ならまた評価も変わるのでしょうか。


リストの解説に関してはこれで終わりです。前述の通りそもそもは小学生の悪ふざけから始まったものなので、とりたてて戦略的な目的は無くこの記事で言うところの「私はセイウチだ」を地でゆくデッキで、前提の段階から構築に拘りが多く、もっと根本から見直せばまだまだ最適化の余地があるとも言えます。

プレイング

バーンかコントロールか

カウンターバーンというデッキについて、しばしばプレイングが難しい、使いこなせないという声を聞きますが、その半分ぐらいはこれが「打ち消しをサポートに据えたバーン」なのか「バーンをフィニッシュ手段とするコントロール」なのか、つまりは火力の撃ちどころが分かり辛い、そこに集約されているような気がします。私自身、別フォーマットの話になりますが最初はかなり悩んだ覚えがあります。

答えから言ってしまうと、本記事のこのデッキに関しては後者です。基本的にコントロールとして振る舞います。つまり、火力はリーサルが視野に入る最終盤までは除去として運用し、テンポ重視でいきなり本体に撃ち込んだりする事は許されません。最終手段の域です。カウンターを4~7枚に留めたバーン寄りの構成でならそういう動きもあり得ますが、このデッキにはカウンターを13枚も採用した訳ですから考え無しに火力を全弾撃ち切り、次で引ければと引いてくるのは大体土地か打ち消しです。

撃ち込み基礎

問題はその最終盤、火力を本体に撃ち始めるタイミングはいつなのかという話になります。まずは安全策で手札に致死量の火力が揃ってから、相手の対応も考慮してそれらが全て通る見込みがある場合にのみ撃ち込む所から始めてもあまり問題はありません。むしろ私自身この段階で止まっていてそれ以上の所へ行こうとして失敗する事も多いです。
それでもその先へ行こうとする理由はあります。赤マナ採用枚数の関係で撃ち込みにタイムラグがあり、撃ち込み中に刺し違えて死ぬ場合があるのです。

慣れて来たら手札のドローソースも加味した上で見えないリーサルを計算して早めに撃ち込む事を意識してみるのも良いです。この辺りはバーン使いの方なら特に上手くできるかも知れません。
≪蓄積した知識≫は基本的に引いてから考えられるので、考えるべきは≪行き詰まり≫≪嘘か真か≫≪予言の稲妻≫の3つになります。
≪行き詰まり≫は相手が何もせずにターンを返して来た場合でもプランが崩れないか、また立てるマナにも注意が必要ですが軽いので比較的簡単で、リーサル以前に置ける時は何も考えずに置くだけで良い場合が多いです。
≪嘘か真か≫については前述した通り火力の重ね引きはさせて貰えないものと考えた方が良いです。
一番の曲者は≪予言の稲妻≫で、除去のために取っておいたら重ね引いてしまい、マナが足りず撃ち切る前に死んでしまったなんて事が結構あります。
≪予言の稲妻≫がある場合は特に、手札の火力+1枚で焼き切れるかどうかを意識しましょう。

対ビートダウン

ビートダウンを相手にしている場合、本体への撃ち込みは早々行いません。リーサルに届いた場合でも撃ち込みが遅いため、撃ち込んでいる間に展開で押され、途中からディスアドバンテージを抱えたまま除去プランに切り替えるしか無くなる場合があり、後悔する事の方が多いです。クロック・パーミッションを相手にした時は特にそうです。

除去の撃ち方については、そもそも赤マナを出したり全体除去を撃ったりするのにライフを犠牲にする関係で我慢が効きづらく、全体除去に関しては環境的に重いのもあるため、ミシュラランドで止められる場合などの例外を除いて基本的には見えたものを逐次的に単体除去や分割火力で焼いていく形になりやすいです。≪行き詰まり≫を採用しているなら尚更そうなります。
とはいえここに関しては私がチキン過ぎてこういう焼き方になっている可能性もあるので何とも言えません。

≪予言の稲妻≫に関しては前述したように当て先が居ない場合などキャントリップ感覚で本体に撃ち、カウンターや除去を引き込む使い方をする事もたまにあります。土地が5~7枚程度でギリギリだったり重ね引いた場合はなるべく早く消費して軽いカードに変える事を考えるのが良いです。

長期戦での戦い方

The Rockやコントロールなど長期戦が想定される相手の場合は低速のバーンとして振る舞い、常に本体の焼き切りを意識します。とはいえこういったマッチでもミシュラランドなど生物が殴って来るため、やはり火力類は除去として運用し、なるべく手札に取っておくようにします。
手札が溢れそうになり、ディスカードするよりはと顔を焼きたくなる場面もありますが、最低でも1枚、盤面次第ではもっと、手札に除去を確保しておきたいのでこれを優先して他のカードを捨てた方が良い事が多いです。
相手はこちらの除去が無くなったのを察したら平気で殴って来るものと思って下さい。

バーンとして振る舞うとはいえ、ゲーム終了までで全ての火力を引き込めるとは限らないのでミシュラランドによる攻撃を絡めたり、相手のペインランドを利用する必要があります。この点≪横揺れの地震≫は1枚あたりの火力単価が決まっていないという強みがあります。

また、対コンボも見方によっては自力でゲームを長期化させているとも言えなくはないので、どこかのタイミングで焼き切りを意識する必要があります。特に、先にこちらの打ち消しが切れそうになった場合は打ち消す対象を絞り、焼き切りを阻害するものだけを消していくプランも検討しましょう。

≪火+氷≫

2点分割火力の≪火≫とタップ&ドローの≪氷≫の2つのモードが存在します。

対ビートダウン、特にタフネス1を大量に並べて来るエルフ相手では意地でも≪火≫として使います。対ゴブリンも同様ですが、こちらは意外とタフネス1が少なく、あっても並べない選択を取りやすいため、ただの単体除去になる事も多いです。

一応マナベースに組み込まれているので、上記のようなマッチでもあまり土地詰まりが酷いようならキャントリップとして使う事も検討します。状況が許すなら攻撃前に生物をタップするのも良いでしょう(滅多にやらない)。

対コントロールにおいては除去としても有用な他、≪氷≫のタップにも相手のエンド時にマナ差を調整する事で向こうのビッグアクションを抑えたり、打ち消しを構えにくくしてこちらのミシュラランドの攻撃を通しやすくする使い方があります。実質キャントリップ付き2点火力とみなしても差し支え無いかも知れません。

対コンボでは基本的に≪氷≫の面でキャントリップに回す事になりますが、この際寝かすのは大概相手の土地で、そのターンの動きを阻害する事になるので後々こちらのマナ要求系カウンターを腐らせないよう寝かせるタイミングには気を遣いましょう

緊急手段として通ってしまったドレッドノートを寝かせて時間を稼いだり、また冬の宝珠を一時的に解除する事が出来るのは意外と忘れがちです。
相手の場に≪真鍮の都≫があればこれを寝かせて動きを阻害しつつのキャントリップ付き1点火力にする小テクもありますが、調子に乗って撃ちまくって本来の用途が必要な時に出来なくなるような事態は避けたいので自重しましょう

あと、相手ターンのアップキープに≪氷≫を撃つ運用も多いですが、ターンを返そうとしてから相手ターン開始までに忘れてしまい、ドローやメインフェイズまで行ってしまう事も起こりがちなので、不安な方は上手く管理する方法を考えたり、ターンを返す際の文言を工夫するなどすると良いでしょう。私はよくターンを返す際にアップキープで動く旨も纏めて伝えるやり方を取りますが、こちらの終了ステップで動かれる場合に判断材料を与えてしまう事になりかねないのであまり何も考えずにやって良い方法ではありません。

≪意志の力≫

ピッチで切るカードに技量が出ます。腐り切った≪魔力の乱れ≫や≪無効≫≪行き詰まり≫などあれば理想的ですが。

  • 除去に使う訳でも無いならどうせ1ドローにしかならない≪火+氷≫は切り得です。

  • ≪蓄積した知識≫(以下AK)について、これをピッチで切った場合これ以降に引くAKはそれぞれ本来前のAKが行う筈だった枚数のドローを行う事になり、実質的に最後のAKが消失する事になります。従ってピッチで切るAKは常に4枚目のAKと言えます。あまり切りたいものではありません。
    撃ってもキャントリップにしかならない1枚目をわざわざ他の有効牌に優先して残すのはかなりリスキーですが、2枚目以降のAKと比較するようなら≪嘘か真か≫を優先して切りたい所です。
    例外として、相手も≪蓄積した知識≫を取っている可能性があって我慢比べになっている場合は積極的に切りに行きます。
    切るものがこれしか無い場合、一応2ドローで弾を引っ張って来れる構成にはしていますが、概算でハズレが25%ぐらいになるので3ドロー以上出来ない限りはこれを切る方が安全です。

  • ≪行き詰まり≫は有効に置ける場合でも切る事があります。有効牌が揃った上で重ね引き、2枚目を置いても手札が溢れてしまう場合です。

  • カウンターをウィルの弾として切るかはマッチアップの性質によりますが、相手がコンボなら命に関わるので切らずに残した方が良く、それ以外で打ち消しよりドローの価値が高くなるようなら余剰のカウンターは切って良い場面があります。

  • ≪予言の稲妻≫と≪嘘か真か≫の二択を迫られた場合、除去対象や焼き切りが見えている場合でもない限りは≪予言の稲妻≫を切った方が良いです。身も蓋も無い話ですがピッチで切って失った火力4点分は≪嘘か真か≫のアドバンテージで土地を伸ばせば工廠ですぐに取り返せるため、この場合の≪予言の稲妻≫は重い≪衝動≫でしかありません。

  • 私は基本的にチキンなので打ち消しを撃つ際はなるべく2発目を構えながら土地から撃てるものを優先して切り、≪意志の力≫も他に撃つものが無くハードキャストが可能ならそうする方です。一見安全そうに見えますがその実マナを贅沢に使い込む撃ち方で無駄も多いため、カウンターを全て吐き切った上で使い時を逃したドローソースを抱えたまま死ぬ事も結構あります。流石に問題を感じない訳では無く、盤面や手札の内情によってはぎりぎり将来的に腐りそうなカードに見切りをつけ、土地から打ち消しが撃てる場合でも≪嘘か真か≫や≪予言の稲妻≫を回す事を優先してピッチを切った方が良い事もありそうな気がします。実際やる場合、≪嘘か真か≫は積極的に狙って良いものとして、≪予言の稲妻≫の方は下手な切り方をすると普通の火力を顔面に叩き付けながらカウンターを切るのと大して変わらない結果になってしまうので明確に腐っている弾が無い限りは自重しましょう。

ミシュラランド

相手が除去を撃ってくるリスクが無い場合、基本的にはカウンターを構えたいので構えながら殴れる時までは殴らず、構えられる時に殴るべきか、2発目以降の打ち消しのためにさらに構えるかが問題になります。
この辺私はあまりよく分かっておらず感覚でやっていますが、一つ言えるのは自分の土地が伸びている頃には大抵相手の土地も伸びているという事で、殴れるチャンスは意外と限られているのかも知れません。相手の手札枚数をよく見つつ警戒すべき脅威のマナ域を意識し、相手がツーアクションを取れない時を見計らいましょう。予想が付かないようなら正直に撃てるだけ構えるのが安全です。
私は普段脳死で相手を見ず馬鹿正直に構えられるだけ構えているので中々殴れず、相手の持ち手を消し切った所でやっと殴り始めているので試合も長引き、肝心な時に焼き切りに移行出来ず死ぬ事も多いです。

≪ミシュラの工廠≫に関しては起動コストが1マナと軽く、実質2マナあれば自身へのパンプ能力込みで 2/3以下の生物を止められるのが主な強みですが、特に使い始めの頃は場に出した返しのターンで生物化した場合召喚酔いでパンプ能力が起動できない点を見落としがちです。
現代的なミシュラランドと違ってなまじ起動が軽いために序盤で除去されて土地不足に困るケースが発生しがちで、起動の際はその辺りのリスクを認識した上での判断が必要です。
また、ここはどのミシュラランドでも変わりませんが起動コストとパンプで2マナ寝かせる事を目的としたチャンプアタックを仕掛けられる事もあります。起動後はアーティファクトでもあるので置物対策に引っかかるのも弱点です。

≪フェアリーの集会場≫については、攻撃の際にこれを含め最低でも青マナ源を2つは寝かせる必要がある事は覚えておくと計算が速くなるでしょう。私はよく攻撃直前になってから気付いて途中で諦めます。

行き詰まり

置くタイミング、置いて良い相手に注意が必要です。

置く時はソーサリータイミングで2マナ寝かせる事になるので、返し手にマストカウンターの可能性が見られる場合、構えを≪意志の力≫≪魔力の乱れ≫に依存するようなら後引きには期待せず、それらが手札にある時にのみ置くようにしましょう。流石に青2マナ構えながら置けるようなら2マナカウンター6枚が追加されて受けが倍以上になるのでこれは後引きを期待しても良いでしょう。というよりその状態でカウンターを切らしているのはもはや祈らざるを得ない状況です。

相手が既に生物を展開している場合はこちらのミシュラランドの数と相談して、手元のもので守れるようなら通して良いです。この際、相手が≪不毛の大地≫を採用している場合は注意が必要です。
向こうが火力を撃って来るなら話は別ですが、合計打点が1~2程度なら後引きを期待して何も無い状態でも置いて良い場合があります。2点の場合は議論が必要ですが、うっかり置いてしまったらかえって何も唱えずに殴り続けてもらう事でお互いに土地が伸び、相手に3枚引かせた上でこちらの土俵に引き込めた経験もあります。

置き辛い相手、置いてはいけない相手はこちら同様にミシュラランドを置いてきたり≪正義の命令≫を撃ってくる相手です。
≪正義の命令≫は≪行き詰まり≫をすり抜けて来るため、まともに戦えば向こうの有利になってしまうのでそもそも引かせてもらえません。この手合いに≪行き詰まり≫を置いてはいけません。相手が白く、重めの構成を取っているようなら警戒が必要です。
ミシュラランドに関しては≪ミシュラの工廠≫をサポートに数枚取っている程度ならこちらが総数で勝てるので置いても良いですが、最も警戒すべきは≪樹上の村≫で、単純に打点が高い上、複数いればパンプで止められますが単騎の工廠となら相打ちも取れるため、村が出てしまうまでにこちらの工廠の重ね引きが期待できるか≪黄塵地帯≫を持っていない限り≪行き詰まり≫は置かない方が良いでしょう。
向こうも≪黄塵地帯≫を採用しているようならこちらもドローソースで≪黄塵地帯≫を探しに行く形になるので≪行き詰まり≫はむしろ邪魔になります。

キープ基準

マッチアップによって変わりますが、相手が見えない場合は1に打ち消し、2に打ち消し、3に打ち消し、既知のデッキでも軽量のマストカウンター呪文を有しているなら大体同じです。流石に1ターン目からと言うことはありませんが、前述の凶悪エンチャントが存在する関係で2ターン目から実質即死になるマッチアップはコンボ相手以外でも十分沢山あるので後引きには期待せず、≪無効≫や≪魔力の乱れ≫でも良いので初手で1枚は打ち消しを撃てる手札をキープしましょう。

後手となるとさらに厳しくなります。向こうの先手2ターン目の動きをこちらは土地1枚で対処しなければならないので≪対抗呪文≫≪マナ漏出≫ら2マナカウンターすら信頼が置けなくなり、先に挙げた1マナカウンター群と≪意志の力≫のみがキープ基準となります。

土地枚数にも勿論気をつけます。土地0枚は論外として、土地1枚で≪意志の力≫だけ撃ててその後が無いような手札はマリガンです。ただし、≪意志の力≫が複数発撃てるようなら苦肉の策として土地1枚でもキープする場合があります。土地2枚は難しい所で、少なくともインスタントのキャントリップがあるならキープしても良さそうです。≪意志の力≫を構えながら≪行き詰まり≫が置けるようならそれもキープです。

よくあるサイドボーディング

  • ≪火+氷≫を除く単体火力は的が無い場合は抜きます。サイドボードに≪予言の稲妻≫がある場合は安心して入れ替え先にする事が出来ます。相手のミシュラランドは的として数える事に留意しましょう。また、このように火力を≪予言の稲妻≫に絞る場合、枠に余裕があれば≪横揺れの地震≫を残しておくと多少気が楽になります。

  • ≪行き詰まり≫と≪蓄積した知識≫はお互いに採用している場合は減らすタイプのカードです。≪行き詰まり≫の場合は大概全抜きで構いません。≪蓄積した知識≫は相手が残していた場合も期待して2枚は残します。≪留意≫などを用いる相手の場合、先に意図せず落としてくれる場合も考えられ、向こうもそれを警戒して全抜きする場合があるのでこちらは4投で問題無いかも知れませんし、願いから持って来れるので1枚は抜いても良いかも知れません。この辺りはお互い読み合いになります。

  • ≪火+氷≫はマナベースの一部なので基本的に抜けません。抜いて良いのは≪ファイレクシアの炉≫など軽量ドローソースとして数えられるものと入れ替える場合のみです。

  • ≪黄塵地帯≫は効かない相手と効く相手が極端に別れるので、サイドアウトの可能性は常に頭の片隅に入れておきましょう。殊にこのデッキの場合はゼロックス構成を取っているため無色土地が1枚減る程度ならあまり問題になりません。

  • 相手が序盤から1枚で致死的になり得るカードを使って来ない場合、≪意志の力≫は2枚前後に減らします。ピッチで撃った際のディスアドバンテージが負けに繋がるためです。

  • ≪狡猾な願い≫を複数とっている場合はかさ増しを考えてサイドに有効牌を残す事がありますが、ピン挿し、もしくは願いをサイドから減らす場合、ウィッシュボード候補となるようなものは殆ど全てサイドインします。

プレイングに関してはこんな所でしょうか。デッキ周りの話は大体終わったので、ここからは実際に環境とどう付き合って行くかの解説に入ります。
尚、以降の解説は「行き詰まりカウンターバーン」の使用を前提として行います。

警戒に値する/値しないカード

この環境にはこのデッキにとって通したら負けクラスのカードがたくさんあり≪意志の力≫が手放せませんが、逆に一見怖そうに見えても実はほとんど無害なものも存在します。

本記事でよく言及するカード

≪ゴブリンの太守スクイー≫
アップキープ開始時に手札に戻る能力を持つ伝説の3/1/1です。
ディスカードを多用するデッキによく採用され、たまにチャンプブロッカーとして素出しされる事もあります。この際、伝説である事を見落としがちなのでご注意を。

≪不可思議≫
これが墓地にある時、島をコントロールしている限り自軍生物全体に飛行を付与します。工廠からのブロックを避けてくる他、本体は2/2なので消耗戦の際はこれもよく素出しされます。

警戒に値するカード

≪適者生存≫
生物を捨てて生物をサーチするカードです。字面だけ見ると1:1の等価交換をしているだけに見えますが、現実では着地したが最後ふた言目にはスクイー、もっとひどい時は≪起源≫と毎ターンアドバンテージを稼がれながらデッキの一番強い面々と戦い続ける羽目になり、そのうち打ち消しが枯れて死にます。相手のデッキの中身によっては通しても勝てる場合も無くはないですが、相手のデッキは見えないので期待するべきではありません。こちらににエンチャントを除去する手段は存在しないので、大量ドローで打ち消しを引き込める終盤ならまだ分かりませんが序盤中盤のそれはピッチでウィルを切ってでも絶対に消しましょう。

レガシーでも禁止なのに…

≪敏捷なマングース≫
1/1被覆で単体除去が効かない上に墓地が肥えると3/3になります。対処方法は工廠で止めるか貴重な全体除去を吐くかの2択です。1ターン目のこれにピッチを切るかは議論の余地があり、工廠で止めつつ除去に打ち消しを当てた方が良さそうにも見えますが、向こうが青い場合≪不可思議≫が飛んで殴って来る場合もあるため必ずしもそれが正解とは言い切れません。
類似品の≪熊人間≫もタフネス4になるため同じ程度に厄介ですが向こうは2マナで、墓地さえ肥えなければ焼けるのでまだましです。

≪野生の雑種犬≫
ディスカードをコストとしたパンプ能力を持つ2/2/2です。
中々焼けないのは前述の通りですが、マッドネスなどはこれを展開の起点としてくるので必ず消しましょう。それ以外のデッキの場合、序盤は焼けないので消しますが相手の手札が少ないようなら一旦通して焼いてみるのも手です。

≪樹上の村≫
起動緑2マナで3/3トランプルのミシュラランドです。
これを見かけたら≪行き詰まり≫の運用については前述の通りとして、≪稲妻≫を切らした場合は悟られないよう気をつけましょう。パワー3は速やかにゲームを終わらせに行けるラインです

同サイクル内で比較しても意味不明な性能

≪ブラストダーム≫
緑4/5/5被覆消散3、「ダーム一匹は通せ」などという格言もあるようですが土地から勝手にライフが削れていくミドルスクール界においてこの格言はウソです。着地を許してしまった場合はミシュラランドをチャンプに差し出すなどして頑張って耐えましょう。

≪貪欲なるベイロス≫
4/4/4のビーストで、自身含む同族を生贄に捧げるとライフを4点回復します。≪予言の稲妻≫を撃つと対象不適正で実質5マナの≪剣を鋤に≫になる他、焼き切りに行く際も4点分の壁になるためこのデッキの天敵となります。尚、≪ブラストダーム≫もビーストなので並んだ場合は消散が切れたダームを食べてライフに変換されます。

≪起源≫
≪不可思議≫と同じセットに収録された同類で、こちらは墓地にあるだけで毎ターン3マナで墓地から生物を回収して来ます。本体も5/4/4とスペックが高く、打ち消しても自身を回収可能なため根本的な解決になりません。
追放手段が無い限りこれが見えた時点で殆ど負けなので、諦めて本体焼き切りプランに移行し、打ち消しは交換でなくマナ稼ぎに使いましょう。

デザインした人間には氏ねの一言(直球)

≪正義の命令≫
昭和のサメ台風と言えるようなカードで、サイクリング時は空飛ぶサメの代わりに火種3マナからX体の1/1兵士、ハードキャストすると4/4飛行の天使が複数体出てきます。≪行き詰まり≫の最高の相方にして天敵です。天使の方は打ち消しで何とかするとして、兵士の方は基本的に誘発をもみ消すか、全体除去で対処します。

≪賛美されし天使≫
実質6/4/5飛行絆魂に変異能力が付いた、ミドルスクールの代表的な天使です。裏面は焼けば良いものの、表向きになればほぼ焼けず、4点クロックのおまけにこちらのプランを崩壊させて来ます。これがあるので、白い相手の裏向き生物には事実上対処を強要されます。ハズレ役でよく見るのは≪鞭縄使い≫あたりでしょうか。

≪中断≫≪オアリムの詠唱≫
白のインスタントで、そのターン中のこちらの詠唱を封じます。通すと大概無抵抗な状態から即死コンボが飛んで来るので実質マストカウンターです。≪マナ漏出≫など不確定カウンターでマナを寝かせ、実質的に無力化するのも手ですので覚えておきましょう。

≪発展の対価≫
最近になって採用が増えていますが、マナベースと攻撃を特殊地形に頼っているこのデッキの天敵です。軽い上に用法の性質上、大概こちらに対処札を使わせてから嫌なタイミングで飛んで来ます。メインボードから積まれるようならもう無理と思った方が良いです。最悪≪黄塵地帯≫などで自分の特殊地形を削る事も視野に入れ…た方が良いのかは試した事が無いので何とも。

≪硫黄の渦≫
バーンとのマッチアップ解説で説明しますが、以前は通していたものの現在ではマストカウンター級のエンチャントです。構築を見直し、より攻撃的な構成にシフトすれば通しても良くなるかも知れません。

≪呪われた巻物≫
継続的にダメージを与えられ、単騎なら工廠も焼かれるため≪行き詰まり≫の設置が絶望的になります。そもそもライフを削るタイプのデッキから1マナで対処困難な2点クロックが出てくる時点で相当不利になります。

≪陰謀団式療法≫
デッキが判明している場合、宣言されるのは大概≪意志の力≫か≪対抗呪文≫です。≪強迫≫に重ねられたりキャントリップ付き生物を絡めて再利用される事も多く、こちらが上記2種のいずれかを重ね引いていた場合はもう地獄です。黒い相手にはこれをケアしてあえて重ねひ引いた価値の高いカウンターを他のカウンターに優先して切る場合すらあり得ます。

≪トーラックへの賛歌≫
2マナランダム2ディスカードは特に何か書くまでもなく強いです。

≪ナントゥーコの影≫
2/2/1でタフネス込みのパンプ能力を持っているので、相手の土地数次第では焼けない可能性があります。焼けそうに無い場合はなるべく消しましょう。

≪ゾンビの横行≫
手札を2枚捨てて2/2ゾンビを生み出す2マナエンチャントで、初心者時代これを見かけた時はアド損にしかならないのに何故という印象でした。
しかしフタを開けてみれば後ろ向きなコントロール、特に≪行き詰まり≫を使う場合は話が全く別で、普通に運用しても最大2ターンに1回キャスト経由無しでゾンビが出て来るため≪行き詰まり≫は置けず、除去も限られているので無視してゲームを終わらせに行けないとそのうち対処が効かなくなります。そもそも実際は大概スクイーなどと絡めて運用されるので実質ディスアドバンテージもありません。通れば終わり、もしくはこの手合いには恐らく勝ち目の薄いバーンプランに切り替えざるを得ないでしょう。

≪サイカトグ≫
タフネスが実質無尽蔵にあるため、ほぼ焼けません。殆ど着地したら終わりです。

≪嘘か真か≫
PWの存在しない旧枠世界ではこのようなドローソースが唯一のアドバンテージ源なので致死的では無いにせよ消せたら消した方が良い部類です。特にサイカトグから繰り出されるこれは墓地肥やしも含め≪サイカトグ≫の打点に寄与するのでマストカウンターとなります。
このデッキを使う場合よく撃たれる事になるはずなので、上手く分けられるようにしておきたい所です。

≪生ける願い≫≪燃え立つ願い≫≪狡猾な願い≫
サイドボード、及びミドルスクールでは追放領域からでも何かしらのカードを持ってくる呪文です。≪生ける≫願いは特にですが、いずれも碌な物を持って来ないので消しましょう。緑からは≪起源≫や≪黄塵地帯≫、赤からはハンデスや打ち消されない呪文、最悪の場合≪正義の命令≫が飛んできます。
青は比較的危険度が低いものの≪中断≫系や追加の打ち消しが来る可能性もあるので基本的には消した方が良いです。

≪防御の光網≫≪孤独の都≫
前者は2マナアーティファクト、後者は緑の3マナエンチャントで、大体コンボデッキがサイドボードに投入し、インスタントタイミングでの干渉を拒否して来ます。≪孤独の都≫はエンチャントである事からエンチャントレスなどが採用しますが、基本的には2マナと軽い光網の方が優先され、デッキによっては≪古の墳墓≫≪裏切り者の都≫から1手目に出て来る事すらあります。
光網に関してもう一つ、厳密には相手ターンでの干渉が3マナ重くなるだけなので終盤のそれなら通しても勝てる場合がある事も覚えておきましょう。

≪不毛の大地≫
生贄に捧げる事で、それ以外のコスト無しに基本地形を割ってくる土地で、レガシーでよく見られます。ミドルスクールでは効く相手と効かない相手がはっきり分かれるため考え無しに4投されるものでもありませんが、採用されている場合はこちらの手札との噛み合い次第で初手の土地を全て割られて好き放題される危険があります。この場合は流石に諦めましょう。

≪リシャーダの港≫
余ったマナでこちらの土地をタップして来る悪名高い特殊地形です。こちらに対するキラーカードの1枚で、攻撃やブロック、打ち消しを阻害される他≪真鍮の都≫をクロックとして逆利用されます。その割にこれを採用したデッキに勝てている事も結構ありますが。

≪黄塵地帯≫
 既に何度も言及していますが、こちらの≪黄塵地帯≫を割られつつ向こうのそれが定着してしまえば実質ゲームセットです。

状況によっては危険なカード

≪入念な研究≫
フラッシュバックの無い≪信仰なき物漁り≫ですが、誰が使っているかで脅威度の上がる1枚です。マッドネスならたまにルートワラが降っては来るものの単なる手札交換に終わる事の方が多いのでまだ良いとして、これがリアニメイトの≪入念な研究≫だった場合は話が変わります。
一見手札が減っているように見えますがディスカードする2枚は墓地に落ちなければ機能しない無駄牌なので実質2枚引いてるのと変わらず、おまけに具が墓地に落ちた事でそこから≪死体発掘≫をはじめ大量のリアニメイトカードが動き始める事になります。

≪ハルマゲドン≫≪大変動≫≪滅殺の命令≫
盤面の土地をまるごと破壊します。大量土地破壊はこのデッキの弱点の一つですが、使われる事が見えているならこちらの引き次第では手札に土地を溜め込む事で擬似的な対処が可能です。≪大変動≫に関してはミシュラランドを起動して土地以外の枠に入れる事で土地を複数枚残せる小テクがあります。

≪翻弄する魔道士≫
青白の2/2/2で、場にある間指定した名前の呪文がお互いに唱えられなくなります。
コントロールに対しては除去を指定する事で除去耐性付きアタッカーとしての使い方がよくされますが、≪稲妻≫≪火+氷≫をはじめ2種以上の火力を採用しているこちらのデッキに対してだと正答率は高くなく比較的簡単に処理する事が出来ます。それでも噛み合えば成す術も無く殴られ続ける事になるのでなるべく打ち消した方が良いでしょう。

≪赤の防御円≫
置かれると本体焼き切りプランが潰れますが、火力は依然除去に使えますし相手はそのために手札を1枚切っているため土地で殴り切るプランにシフトすれば比較的有利に戦えるでしょう。とはいえこちらの勝ち筋が険しいものになるのは確かなので消せる時は消すのが吉です。

≪寒け≫
生物と併用された時が厄介で、これで重くなった除去を打ち消され続けて死ぬ場合があります。相手の練度と構築次第ですが、分かってやっているようなら消した方が良いでしょう。そういう訳でもなく無目的に入っているようなら防御円と同じかそれ以下です。

警戒に値しないカード

≪絡みつく鉄線≫
毎ターンお互いのパーマネントを一定数タップする消散付きアーティファクトです。≪意志の力≫を採用しているかいないかでかなり評価が変わる1枚で、持っていなければカウンターが撃てなくなるのでマストカウンターですが、そうでなければ打ち消せないほどマナが寝るタイミングで相手が仕掛けて来れる事も少ないので≪意志の力≫一発で済み、むしろゲームが長期化する分こちらの有利に繋がってしまいます。

≪土地税≫
土地枚数が相手より少ない限り毎ターン基本土地を3枚サーチする1マナエンチャントです。大量のアドバンテージを稼いで来るので一見凶悪そうに見えますが、これを置かれて困った事はあまりありせん。≪巻物棚≫など、得られたアドバンテージの還元手段の方を打ち消していけば安全に進められます。

≪ファイレクシアの闘技場≫≪ネクロポーテンス≫
ライフを代償とする高性能なドローエンジンです。
闘技場は焼きやすくなるだけなので基本通しても大丈夫ですが、ネクロの方は瞬間的に引ける上に枚数も調整可能なので、通すかどうかはこちらのカウンターとドローソースの枚数で向こうのライフ分のカードと戦えるかどうか考えて判断する事になります。

マッチアップ解説

初学者のため、フォーマット紹介も兼ねて環境内で多く見られるデッキとそのマッチアップの解説を行います。解説対象のデッキの選定やメタ上での多寡については私の対戦環境に偏りますのでご了承ください。デッキ相性についてはこちらの統計周りの感覚が腐っているようで何を見ても五分五分としか言わなかったため、よほど差が付いている場合を除いては有利不利の言及のみに留めます。

一般には、デッキ概要の項で解説したように土地から頻繁に血が出る相手には有利が付き、ビートダウン相手は構成や採用生物によりまちまちです。また、そもそもがヘヴィパーミッションの構成を取っている上に大量のドローソースを搭載しているので、≪意志の力≫の有無でも大きく変わりますが、対策を打ち消しに依存したコンボ相手にも有利が付きます。

ランドスティル

何度も言及していますが、ドローソースに≪行き詰まり≫を有し、ミシュラランドと≪正義の命令≫を勝ち手段に据える事でその性能を100%引き出せる構造に組まれた青白のパーミッションです。

☆ゲーム概要
土地での殴り合いを基盤に自分は本体への焼き切り、相手は≪正義の命令≫と各々の固有の勝ち手段をいかに通すかという2層構造のゲームを戦う事になります。
下層でのやり取りが上層での有利に寄与するのは両者同じですが、相手の≪正義の命令≫のみがこちらのミシュラランドの攻撃に干渉できる事と、こちらの攻撃が本体焼き切りに切実に直結している点でこちらの方がやや不利という所でしょうか。とはいえ本質はマナの奪い合いですので、結局は一般的なパーミッション対面の例に漏れず、大概は土地を伸ばし続けた方の有利となります。

こちらの勝ち筋としては土地による殴り切りを貫徹するか本体を焼き切るかの2つですが、どちらを取るにせよそのために絶対やらなければならないのはこちらの攻撃を可能な限り多く、少なくとも必ず1回は通す事です。また、相手の土地からの攻撃を防ぎつつ、≪正義の命令≫を撃たれたら対処する必要があります。これに加えて、本体を焼き切るなら≪予言の稲妻≫を通す事も必要になるでしょう。土地を伸ばし続ける事、お互いにカウンターを撃ち合い事も加味すると≪嘘か真か≫など各種アドバンテージ源も自分のは通しつつ相手のそれは消して行きたい所です。状況次第ですが、自分のターン中でも相手のフルタップの隙に≪嘘か真か≫を撃つのも有効な手法です。

☆殴り切りプラン、≪黄塵地帯≫の運用
土地での攻撃には相手の除去とブロックの双方を回避しなければならないので、これを終盤まで貫徹するのは非現実的に思えますが、これを≪正義の命令≫含む相手の攻め手の抑止も兼ねつつ簡単に実現する方法があります。それが≪黄塵地帯≫です。こちらの要らなくなったペインランド類や余剰の≪山≫を相手のミシュラランドと交換する事が出来るので、少なくともブロックの部分はクリアされ、除去にカウンターを打ち続けるだけで良くなります。これは相手についても同じ事なので、≪黄塵地帯≫の割り合いはこのゲームの根幹に関わって来ます。
とはいえ≪黄塵地帯≫の起動には土地をコストにする必要があり、起動しても土地数の差が変わるわけでもありませんし、また≪黄塵地帯≫同士が睨み合うと相手にだけ≪正義の命令≫分の有利がついた状態でお互いに実質4マナ分のマナ拘束を受け続ける事になるので、結局運用には依然土地を伸ばし続ける必要があります。

☆攻撃の通し方
相手の手札が少なければまだ簡単なのですが、ミシュラランドの攻撃が最も通りやすいのは≪正義の命令≫を警戒しなくても良い序盤、潤沢な手札を土地枚数の制限の下で攻防に充てていく段階です。
結論から言うと、相手が≪剣を鋤に≫を複数撃てる場合などは例外として、工廠で安全に攻撃を通しに行くには少なくとも相手に2マナ以上の差を付ける必要があります。まず工廠で殴るのに実質2マナに対して除去を撃つのに1マナで1マナ差が生まれ、そこにカウンターを当てる際にこちらのマナ残量が2以上に対して相手のマナ残量が1以下でなければ向こうからも打ち消しが飛んで来るためさらに1マナ差で合計2マナという訳です。そう考えると≪魔力の乱れ≫も1マナで動ける点で他に無い役割がある事が分かります。土地がある程度並んだ状態で向こうの青マナがあまり引けておらず、具体的には2枚以下なら条件は少し緩くなるでしょう。

そういう背景があるため、相手からマナを奪うテクニックも有用になります。≪氷≫で土地を寝かせるのはその最たるものなので、除去としての運用もあるし、よほど土地並びに不安が無い限り安易にドローに変換して良いものではありません。また、相手のエンド時に≪嘘か真か≫や≪予言の稲妻≫などを撃ってカウンターを切らせても2マナ稼ぐ事が出来ます。≪予言の稲妻≫を他の火力に優先して取る理由もここにあります。一発通せば手札消費も無いまま2発目が飛んでくる危険性が高いので向こうから見ると結構厄介なのです。

上記攻撃条件については向こうも同じことが言えます。ハンドオーバーで火力を本体に撃ちたくなっても、なるべく除去は確保しておきたい所です。

☆≪正義の命令≫
工廠や≪ギトゥの宿営地≫等で地上から殴る際は≪正義の命令≫によるブロックを警戒しなければなりません。こちらの工廠は単騎で殴るとタフネス2、重ね引けば3,4,5となるのでこの値が限度の基準でしょうか。こちらには≪火≫があり2体は楽に除去できる手段があるので、ブロックの際は向こうも1枚分ぐらいは警戒しての判断になるでしょう。従って、攻撃の限度は
 3(火種)+2(火)+(工廠のタフネス) となります。
具体的には7枚からこちらの工廠の数で1枚ずつ緩くなっていく形になりますが、相手側にこの数分の土地が並んだら地上からの攻撃は諦めましょう。意外とタイムリミットは長くありません。

この点≪もみ消し≫や≪星の嵐≫は有効な対処法で、攻撃中にトークンへの対処が可能なので攻撃を続けられる理由になります。メイン戦の≪狡猾な願い≫はこれらと≪テフェリーの反応≫の択を兼ねるので必要に応じて慎重に使い分けましょう。

トークンの展開を許してしまった場合は≪星の嵐≫≪火薬樽≫≪横揺れの地震≫で対処が可能です。2~3体でも一見少なく見えますが、工廠などを絡められると一気に致死圏内まで押し込まれてしまいます。≪横揺れの地震≫は欲を出してリーサルを狙ってもその間にライフが足りなくなってしまうので、経験上こういう状況下では堅実に対処札として使った方が良いです。

☆その他注意事項
≪行き詰まり≫はほぼ絶対に置いてはいけないもので、こちらは重ね引くと負けますが相手は手札次第で置いてくる場合があります。≪正義の命令≫の有無に加え、キャントリップで土地を切り詰めている差もあるので手札に≪黄塵地帯≫でも持っていない限りピッチを切ってでも絶対に消しましょう。

この差によって、メイン戦の青白側には先手1ターン目に工廠を置くテクニックが生まれます。こちらが≪シヴの浅瀬≫を置けない限り赤マナを置いて≪行き詰まり≫が対処不能になるか、青マナを置いて工廠の攻撃が確実に通るかの2卓を迫られてしまうのです。こちらの方は返しで≪行き詰まり≫を置かれる危険があるので2手目で殴る事はありません。

サイド後は≪賛美されし天使≫や≪翻弄する魔道士≫が入って来る事があるので注意が必要です。特に、これらを≪寒け≫で守られる形になると厄介です。≪行き詰まり≫は相手としても状況を選ぶため減らしたいカードではありますが、枠の都合かどうしても残ってしまうようです。

☆カウンターの当て先
以上から、≪嘘か真か≫≪剣を鋤に≫の7枚は確定として≪行き詰まり≫≪火薬樽≫もマストカウンターです。≪行き詰まり≫は置かれても1枚程度なので大体8~9枚はカウンターに吸わせたい事になります。

≪蓄積した知識≫≪予言の稲妻≫の差でこちらの方がカウンターの当て先が多いのに加え、向こうの≪正義の命令≫には打ち消しが当たらず、逆にその対処には打ち消しが当たるので打ち消しに打ち消しで返すのはこちらの有利に繋がり、ピッチを切る場合を除けば積極的にやって良いものです。

☆先手後手
コントロール対面の定石として、土地の並べ合いの有利不利を考えるとマリガン時のリスクの差で後手を取りたくなりますが、向こうにだけ≪行き詰まり≫の利があるのでなるべく先手を取ります。先手だと土地が詰まらない限り必ず1マナ先んじる形になるのも大きいです。

☆サイドボード
≪行き詰まり≫は全て抜きます。≪意志の力≫はピッチを切ってまで消したいものが殆ど無いので減らしますが、確定カウンターの総数の兼ね合いや無いと不安な場面もあるので私は2枚程度残すようにしています。
≪魔力の乱れ≫≪マナ漏出≫も用途はあるものの減らしたい所で、特に3枚目の≪マナ漏出≫は過剰なので絶対に抜きます。≪稲妻≫は置物破壊よりも優先して残しますが≪火葬≫などでかさ増した分は過剰に思えます。逆に願いで持って来れる可能性も考えると≪火葬≫は抜く方が旨みがあります。≪横揺れの地震≫も本体火力としては優良な部類ですが、対処方法としては≪星の嵐≫≪火薬樽≫に劣り、腐る場面も多々あるのでサイドアウト候補です。

主なサイドイン候補は≪テフェリーの反応≫≪もみ消し≫フル投入は絶対として≪赤霊破≫も入るだけ入れます。≪星の嵐≫もサイクリングがある分サイドインした方が強そうなので検討対象、≪火薬樽≫は相手の攻め手に幅広く対処でき、カウンターを切らせるポテンシャルがあるので入れます。追加の≪予言の稲妻≫も前述の通り有効なので基本的に入れますが、願いで持ってくる前提でも強さが削がれないので増やすかどうかは議論の余地があります。相手の工廠や≪火薬樽≫を見て置物対策を入れたくなるかもしれませんが、もみ消せば何とかなるので入れても1枚に留めます。≪無効≫を増やすかは相手の性格や構築次第で、≪火薬樽≫を多く取っていたり≪行き詰まり≫を積極的に置いてくるようなら増やしても良いでしょう。枠次第ではメインのそれを抜く事も多々あります。

≪渋面の溶岩使い≫≪変異種≫など追加のフィニッシャーも迷う所ではありますが、≪変異種≫≪熱狂のイフリート≫以外は除去耐性を持たず、青白の≪翻弄する魔道士≫に対応する枠にはなり得ない事は留意しておくべきでしょう。≪変異種≫の方は土地のやり取りを一切殴り捨てて勝ちに行けるので大体入れます。

The Rock

≪ヤヴィマヤの古老≫≪花の壁≫≪クローサの大牙獣≫などでアドバンテージを取りつつ≪破滅的な行為≫と緑の優良大型生物で盤面を制圧、これを手札破壊とウィッシュボードでバックアップする緑黒のミッドレンジ~コントロール、所謂グッドスタッフの類で、ミドルスクールにおいてはコントロールの天敵と言えます。

☆構成
土地は23か24で、大概≪樹上の村≫4枚に≪黄塵地帯≫がメインサイド1枚ずつ入っています。≪極楽鳥≫が入っている事も多く、たまに≪根の壁≫も見ます。ピーピングハンデス8枚体制に単体除去が4~5枚で布告の方が多いようです。≪クローサの大牙獣≫はあまり見かけませんが、≪花の壁≫≪生ける願い≫≪ヤヴィマヤの古老≫はほぼ4積みで少なくとも3枚は入っています。ウィッシュボードとしては主に≪起源≫と≪黄塵地帯≫、さらに追加の大型生物が入っている場合もあります。半々ぐらいの確率で入っている≪スパイクの飼育係≫は割と目障りです。
フィニッシャーとなる大型生物は≪貪欲なるベイロス≫≪ブラストダーム≫≪魂売り≫とキッショい面々が大牙獣と合わせて5~8枚。意外と少ないように思えますが、大概願いから追加の大型が飛んで来るので実質8~11枚体制と見るべきでしょう。

☆ゲーム概要
≪花の壁≫を置かれて工廠の攻撃が絶望的な中、ハンデスで手札をズタズタにされ、古老に殴られながら≪生ける願い≫を頑張って消しつつ上記胸糞悪い大型連中と戦う事になります。油断すると≪樹上の村≫も殴り掛かって来ます。≪花の壁≫から≪陰謀団式療法≫を実質ノーコストで再利用された時なんかもう最悪です。

☆ふざっけんなこんなんどうやって勝つんや
どう見ても絶望的なマッチアップですが、大型の枚数が控えめで構成が後ろ向きな分他の緑系ビートに比べるとまだ有情な方と言え、タイムリミットが長い分弱点を突く余地がある程度残されています。手札破壊でカウンターを削られる関係上、大型生物を消していってもいずれはカウンターを切らし、何かしらが着地する事になります。おまけに≪花の壁≫もあるので集会場以外で殴り勝つのは実質不可能でしょう。従って、プランは本体焼き切りの一択、ドローで火力を集めつつ、カウンターも交換のためというより時間稼ぎを目的として攻撃的に使っていく事になります。サイド後は≪変異種≫や≪渋面の溶岩使い≫を入れ、より積極的にライフを叩いていけるとより楽な戦いになります。これを意識した結果、元々10:0で無理と思われた相性がぎりぎり五分未満と言える程度まで改善しました。

☆カウンターの当て先
実は一番消したいのは≪ヤヴィマヤの古老≫で、土地基盤をこれと≪極楽鳥≫にほぼ依存しているこのデッキは鳥を焼きながら古老を消す事で機能不全に陥る可能性があります。サイド後はわざわざこれの誘発をもみ消してサーチを阻害する事すらあります。大型を展開できるマナ域に到達された場合でも、向こうの土地引き次第ではペインランドからのダメージを引き出す事が出来ます。また、土地数の有利が取れれば向こうの≪黄塵地帯≫の機能不全も期待できます。

大型系も依然消していく事になりますが、一番優先すべきは勿論こちらのプランに直接干渉するベイロスです。≪魂売り≫とダームは最悪こちらの工廠を差し出して凌げるので余裕があれば通します。終盤でリーサルが見えて来る頃にはベイロス以外全て通します。

≪生ける願い≫は何となく消していましたが、やはり消した方が良さそうです。大概持って来られるのは≪起源≫か≪黄塵地帯≫で、少なくとも2枚目の≪黄塵地帯≫を持って来られるとこちらの集会場が機能しなくなる他、≪行き詰まり≫を置くのも絶望的になるというのがその理由です。大体同じ理由で≪破滅的な行為≫も消しに行きます。

こう考えると≪花の壁≫も消して良さそうに見えますが、打ち消しが足りない上に時間稼ぎにもなりにくいので考えものです。≪魔力の乱れ≫など腐りそうな時に何となく消すぐらいは良さそうです。

☆その他
≪行き詰まり≫を置くには考える必要がありますが、土地構成を見ると向こうが≪樹上の村≫4枚に対してこちらは工廠4に集会場2、≪黄塵地帯≫は共通で1枚なのでこちらに若干の有利があり、意外と置いたら引かせて貰える場合があります。盤面のミシュラランドと要相談です。

サイド後≪もみ消し≫を入れる場合、≪破滅的な行為≫は通して起動を消す場合があります。他にもベイロスのゲインや≪起源≫などもみ消す先は結構あります。

☆サイドボード
プラン上ピッチで切る分を直接撃ったり火力に変えた方が強いので≪意志の力≫は1~3枚減らします。≪変異種≫を入れる場合は多めに残した方が良いかも知れません。≪行き詰まり≫も置けるタイミングが限られるので少し減らします。枠が足りない場合、比較的腐りやすい≪魔力の乱れ≫を優先して抜きます。それでも足りなければ≪マナ漏出≫でしょうか。

≪変異種≫≪渋面の溶岩使い≫≪もみ消し≫はあるだけ入れます。≪変異種≫の代替に赤系の生物を入れるなら、少なくとも飛行を持っている必要があります。願いに期待しないようなら≪予言の稲妻≫の追加も有効です。≪テフェリーの反応≫も≪黄塵地帯≫対策で1枚入れますが、布告系除去が多いので2枚以上の投入は考えものです。≪転覆≫などアド損しないバウンスも一応入ります。

≪起源≫を見て墓地対策を積みたくなりますが、このデッキの場合追放しても願いで戻って来るため、やるにしても≪ファイレクシアの炉≫一択でしょう。

バーン/スライ

厳密には異なる2つの赤単色デッキのようですが、相手をする方からしたら大体同じで≪モグの狂信者≫≪ジャッカルの仔≫≪渋面の溶岩使い≫あたりの1マナ生物で細かく詰めつつ火力でライフを焼き切りに来ます。ミドルスクールでは≪稲妻≫の類似品が存在せず碌な火力がないため、現代的な速攻系バーンとはうって変わってそこそこの速さで顔面を削りつつ≪呪われた巻物≫≪硫黄の渦≫のような置物で残りのライフをのんびり削っていく構成を取っている事が多いです。

むかしは楽だった
以前は一応バーンミラーという事で顔面の削り合いに持ち込み≪硫黄の渦≫など自傷系の火力は通しつつ≪ジャッカルの仔≫から顔面に3点跳ね返すなどしておりやや有利という所でしたが、今年度に入ってからリストが環境に合わせて洗練されてきたようで、勝率が格段に落ちてほぼ勝てない域に入っています。

考えられる原因としては≪発展の対価≫の採用と≪炎の稲妻≫のメイン4投、そしてこちらが≪予言の稲妻≫を取って重量級に舵を切った事です。≪発展の対価≫は言わずもがな≪炎の稲妻≫は長期戦では実質4点火力となり、打ち消しても半分の2点しか軽減出来ないため殆ど打ち消されないのと変わりません。スライ/バーン側の火力のアップデートに関してはいずれもこちらのデッキ含む環境上のコントロールの弱点が看破された結果とも取れる改良で、現在では自傷系火力も安心して通せず≪火炎の裂け目≫すら打ち消し対象に検討される状況です。

☆とりあえず分かる所だけ
向こうの火力を20点、約7枚分通されればこちらの負けとなりますが、この類が20枚近く搭載されているのに対しこちらで打ち消せる枚数は最大で12~13枚程度なので長期戦になるとこちらが不利になります。マナベースの問題で勝手にライフが減っていくのも頭痛の種です。土地に火力を撃たせてでも早めに詰めていかなければ勝てないのは確かです。

≪火+氷≫の運用は悩ましい所で、除去に使える以上あまりドローに回したいものではありませんが、特にサイド後≪ジャッカルの仔≫が抜けるのもあって当て先があまり多くなく、重ね引いたまま抱えていても困り物です。一番美味しい使い方としては≪ボール・ライトニング≫はタップすれば手札を減らさずに処理が可能です。

ミシュラランドを除去されるのは怖いものですが、敢えて火力を吸わせる考え方もあるようです。

≪呪われた巻物≫は置かれると≪行き詰まり≫を置けなくなるように見え、大体その通りですが、例えばこちらが工廠を複数枚引いている場合は2点で焼けなくなる事、またある程度手札が増えると不発になる確率が高まり、≪行き詰まり≫下でぼーっと起動ばかりしていると手札も増えていってしまうため、案外引かせて貰える状況はあるかも知れません。

あまり見ませんが≪紅蓮光電の柱≫や≪ミシュラのアンク≫が取られる時もあり、これは結構致命的でそのタイプの赤単には勝てた試しがありません。

☆サイドボード
確定で抜けるのは自傷になる≪横揺れの地震≫、重い上に≪赤霊破≫に当たる≪予言の稲妻≫も全抜き、そして割るものが無い≪黄塵地帯≫も抜きます。これに追加で1枚土地を減らすのも視野に入ります。赤マナ源を減らすのには抵抗がありますが≪真鍮の都≫≪大闘技場≫≪フェアリーの集会場≫あたりが妥当でしょう。序盤では大概血を流しながら青マナを捻出する事になる≪対抗呪文≫は少し減らし、腐りやすい≪魔力の乱れ≫も枠が必要なら抜けます。≪行き詰まり≫≪嘘か真か≫を減らすか抜くかは今後の研究次第です。

≪青霊破≫≪象牙の塔≫≪寒け≫があるなら言うまでもなく全て入れ、赤い大型生物もこのマッチのためのカードなので入れます。巻物を割りたいのでアーティファクト対策は複数入れますが、2投でも重ね引いて腐らせる事が多いです。運が悪すぎるのでしょうか。巻物と≪硫黄の渦≫に当たるので≪無効≫の追加も検討されますが、≪青霊破≫を複数取るようなら渦の方はそちらに任せられるのでやや過剰でしょう。≪火薬樽≫があるなら巻物と生物への対策を兼任できるので入れます。土地を焼かれたり不毛で割られたりする事も結構あるので≪テフェリーの反応≫も視野に入ります。≪行き詰まり≫が減るようなら尚更欲しくなるでしょう。≪渋面の溶岩使い≫や≪蛮族のリング≫≪炎の稲妻≫と意外と墓地を使うため≪ファイレクシアの炉≫も有効かも知れません。

≪渋面の溶岩使い≫は一応相手の生物を焼ける目があり、確実に除去されて2~3点分吸ってくれますが、たかが2~3点、これが打ち消しだったらわざわざ消したい点数でも無いので微妙な所です。

スレッショルド

≪敏捷なマングース≫≪熊人間≫の2種の軽量スレッショルド生物に≪野生の雑種犬≫も加えた3種12枚をキャントリップによる墓地肥やしで強化しながらピッチカウンターで押し通すクロック・パーミッションです。デュアルランド不在の差こそありますが、往年のカナディアン・スレッショルドさながらのレガシー級の動きが可能なミドルスクール最強格のデッキの一つ、かつ青系コントロールの天敵の1つでもあります。相性は相手の腕次第といった所で、達人相手には3割を切る可能性がありますが普通はやや不利な程度で、実際最近のイベントでは2人当たって両方斬った経験もあります。

ミドルスクール内では恐らく日本発祥のデッキで使用者も多く居ますが、あまり海外で使用、対策されている様子はありません。ゼロックスの構成を取り≪森≫が不採用になっている関係で緑マナ源が全て5色土地になっているので、青緑デッキのくせに≪剣を鋤に≫や≪火+氷≫たまに≪ハルマゲドン≫などが平気で飛んできます。ただし、このマナベースの関係上≪不毛の大地≫が入る事はかなり稀です。

日本ではミドルスクールの大会に出るとレガシーのデッキと戦わされる

☆火力、カウンターの運用
12枚の生物がいずれも火力で対処困難なので全て打ち消したくなりますが、これに加えて≪冬の宝珠≫も3枚入っているのでカウンター1枚は温存しておきたい所です。それぞれ方法は異なるものの対処可能なタイミングは存在するので、焼ける時は焼くという事を徹底しましょう。とはいえ向こうもなるべく焼きにくい順番で展開し、こちらの打ち消しにも打ち消しで返して来るため、大体打ち消しは不可抗力で切らされ、何かしらは通るものと思って下さい。
≪目くらまし≫に関しては多色地形を戻せない分まだ救いがありますが、余裕がある限りはケアも必要です。また≪対抗呪文≫や≪マナ漏出≫なども普通に入っているので油断は出来ません。

以上を踏まえると火力類は気軽に本体に撃てるものではなく、≪火+氷≫は特にドローに回せるタイミングと温存すべきタイミングがシビアです。土地がある程度並んだら≪冬の宝珠≫のロックを一時的に解除できる事も頭に置いておきましょう。焼く際は墓地の枚数にも気を配る必要があり、特に4枚以上になるとインスタントタイミングの≪留意≫で一気に7枚まで到達され、スレッショルドを達成される危険があります。

生物3種に軽く個別の解説を加えると、マングースは既にある程度解説していますが、単体除去こそ効かないもののスタッツが通常1/1、スレッショルド達成で3/3と(この中では)小さいので≪横揺れの地震≫の類で容易に流す事が出来、また序盤はクロックも細く工廠で止まるので除去を消せさえすればあまり怖くありません。スレッショルド達成時でも工廠が2体いれば止められる事も着目すべき点ですが、終盤まで行く頃には≪不可思議≫を墓地に落とされ、飛行で乗り越えて来る危険があるので≪行き詰まり≫を置く際は過信できません。
≪熊人間≫はスレッショルド時4/4の上にマナクリーチャーも兼ねるので≪冬の宝珠≫との相性が絶大で、3体の中では直ちに対処しなければなりません。スレッショルド未達成時は1/1なので、やむなく序盤に展開されるような場合は焼き時です。
雑種犬はこのデッキにおいては多少墓地肥やしを兼ねる程度、単に高い性能を買っての採用のようです。≪目くらまし≫で戻した≪島≫や≪知られざる楽園≫も絡めて特に手札の多い序盤では焼きにくい相手で、手札を打点に変換してリーサルを短縮してくるのも厄介です。特にマッドネスなどのシナジーがある訳でもないので焼ける際は安心して焼きに行っても大丈夫です。

ゼロックス構成で18枚程度の土地をキャントリップで探す動きが多く、私はこれを見るとパイオニアのイゼットフェニックスを想起してキャントリップを止めに入りたくなるのですが、そのイゼフェニは動くためにある程度の土地が必要だったのに対しこちらは土地2枚で問題なく動けるので大した時間稼ぎにもなりません。打ち消しは限られており、ちゃんと消したい相手に当たるので大切に使いましょう。この点≪黄塵地帯≫で多色地形を削るのは有効な手法で、向こうの脅威を全滅させた上でなら合計8~9枚そこらの緑マナ源を探すのに手間取らせ、大きく時間を稼ぐ事が出来ます。ただし時間稼ぎでしか無いのは忘れないように。

☆≪蓄積した知識≫
≪蓄積した知識≫は向こうも採用している事が多いので気軽には撃てません。向こうは≪留意≫などで勝手に落ちる可能性があるので我慢比べで有利なのはこちらです。サイド後は本記事の存在も込みで読み合いになりますが、向こうは上記の裏目から≪蓄積した知識≫を全抜きする可能性が高く、そうでなくても減らしては来る事が考えられるので気軽に撃って良い可能性があります。

☆類似品にご注意を
マングースと熊がそれ自体強力なため、似たようなカラーリングでこのパッケージを有した異なるデッキが組まれる場合もあります。3マナ、4マナ以降の動きが多く見られた場合は≪冬の宝珠≫が採用されていない可能性を視野に入れましょう。

☆サイドボード
サイドアウトの優先順位が高いのはまず重くて撃てない≪予言の稲妻≫と効き目の期待し辛い≪行き詰まり≫、こちらの方はドロー枚数を優先して減らすに留める事もあるでしょう。
土地を2枚程度減らすのも視野に入り、この場合有効牌ではありますが≪黄塵地帯≫が真っ先に抜け、もう一枚としては≪真鍮の都≫≪大闘技場≫が妥当、青マナ源が物足りないようなら≪山≫や赤系フェッチランドも視野に入ります。火力は序盤に必ず撃ちたい訳では無いので、赤マナ源は理論値かその少し下まで減らして大丈夫です。
≪蓄積した知識≫に関してはこちらに優位のある読み合いとなります。
ここまで検討した後は次点で≪稲妻≫類を減らしていく事になりますが、雑種犬を焼ける事を考えると全抜きやピン挿しは考え辛いです。

全体除去とアーティファクト破壊が全て入るのは確定ですが、≪無効≫の追加までするかは枠と好みに委ねられます。向こうの≪冬の宝珠≫は基本3枚に留まるので、これを超える枚数の対策は過剰になり得ます。
全体除去の中では、≪火薬樽≫は特にこのマッチのために採用しているようなもので、2マナ生物と≪冬の宝珠≫をまとめて流せる可能性があります。運用の際は必要な時まで導火線1つで留めておくのが安定的ですが、≪冬の宝珠≫の被害を完全に軽減するには2個乗せる必要があります。≪星の嵐≫に関しては願いからの運用は隙が大きすぎるので考えません。

墓地対策も有効で、アド損しない≪ファイレクシアの炉≫が理想的ですが≪トーモッドの墓所≫も意外と有効で、何なら炉では向こうの墓地肥やしについていけない可能性すらあります。墓所の方は即時的に生物を焼く機会を作りながら打点の抑制に貢献するので実質1枚分の働きはするという事なのでしょうか。墓地対策をする場合、弱体化した熊を焼く手段として≪稲妻≫類は気持ち多めに残した方が良いでしょう。

≪渋面の溶岩使い≫もある程度効果的で、特に雑種犬への解答としては優れますがマッドネスと違って向こうも除去を撃って来るのでパフォーマンスは落ち、またやはり全体除去に巻き込まれる裏目もあります。他に生物を入れるなら、重さを考えて、許容されるのは≪熱狂のイフリート≫ぐらいのものでしょうか。

パララクス補充

その昔、パララクス・エンチャントという消散能力を上手く利用した独創的なデザインの一時追放除去がありました。対生物、対土地、対手札の3種類が存在しますが、この対生物版を≪オパール色の輝き≫で生物化させるとバグが生じ、自身や対土地版のそれを追放で使い回す事で実質無制限のブリンク及び永久追放の手段に変えてしまうコンボが存在します。これらコンボパーツをルーティングで墓地に落とし、≪補充≫でまとめて吊り上げるのがこのパララクス補充です。

一度エラッタが出て組めなくなってしまったコンボですが、現在では挙動が大体元に戻り、ミドルスクールでも組む事が出来ます。ミドルスクールでは≪古の墳墓≫≪裏切り者の都≫も入り≪大慌ての捜索≫とのシナジーも絡めて高速化し、最強格のコンボデッキとされています。

☆マッチアップ
コンボ本体だけでなくコンボパーツ単体がそれぞれ強く、マストカウンターを叩きつけながらミッドレンジ的に動いて来るのが強みですが、やる事自体は単純で、向こうの攻め手を必要最低限打ち消し続けるだけに終始します。攻め手が通れば負けですが、それまでに墳墓等で勝手に削れていったライフに1,2発火力を当てるだけで大体勝つ事が出来ます。安心はできないものの相性はやや有利、一応イベントで当たると嬉しい部類です。

マストカウンターは大体≪オパール色の輝き≫≪パララクスの潮流≫≪補充≫の12枚ですが、ドローの回転が速く、少しでも打ち消しが途切れると即死の目があります。

☆突筆すべき動き、カウンターの当て先
カウンターを当てたい所は大体決まっていますが、状況によってその都度変動していく所もあるので、相手の性質を理解して見極める必要があります。

≪パララクスの波≫: これは対生物のパララクスで、何もなければしばらく攻撃が出来なくなるだけなので通しても全く問題ありませんが≪オパール色の輝き≫と並ぶ事で殆ど対処不可能な4/4になります。
どういう事かというと、自身を追放して単体除去の回避、擬似警戒、消散の時間制限も無くなります。また追放と復帰のテキストが別々に書かれているため、追放能力のスタックで自身を追放して永久追放にする事も可能で、生物による応戦も不可能です。
唯一の手段として≪横揺れの地震≫など全体除去なら回避されずに対処が可能ですが、オパール色は残るため後続に怯え続ける事になり、また除去されるに際して他の生物を追放能力で避難させて来るのでまとめての対処はできません。
このペアが揃った時点で大体負けですが、ここにさらに対土地の≪パララクスの潮流≫が加わると土地のブリンクと永久追放でこちらの手足を捥がれた上で無限マナも発生し、こうなるともうよく分からない死に方をします。

≪パララクスの潮流≫: 大体マストカウンターで、青マナ源が薄めの状態で通ると青い方から順に追放され、こちらがカウンターを構えられなくなるターンが生まれてしまいます。ただし、手札に≪意志の力≫しか無いなど構えるのに支障が出ない場合は通す事もあります。≪テフェリーの反応≫でも対処可能な事は覚えておきましょう。

≪オパール色の輝き≫: 他の細々としたエンチャントが殴って来る他、無害だった波がマストカウンターになるため基本的には絶対に消すカードですが、カウンターに余裕が無い時など本当に困った場合の緊急手段として≪横揺れの地震≫が手札にある場合は通しても無害になる場合があります。カウンターの節約になります。この際、地震は波か追加のオパール色にのみ撃ちます。

≪浄化の印象≫≪沈黙のオーラ≫: いわゆる置き解呪で、このデッキの場合はパララクス系を追放能力のスタックで割る事で永久追放にするギミックのために採用されています。このマッチの場合、潮流と合わせられると実質5枚分の土地破壊になる上、≪テフェリーの反応≫も土地1枚しか守れなくなるため対応札としてはほぼ機能しなくなります。
この他本来の用途の置物対策としても機能し、こちらの≪行き詰まり≫≪ミシュラの工廠≫、サイド後は≪トーモッドの墓所≫他墓地対策への牽制になります。私は結構素直に≪行き詰まり≫を諦める事が多いですが、代わりに工廠を差し出す選択肢もあるでしょう。≪トーモッドの墓所≫にしても何も考えずに置くと特に成果も上げないまま割られてしまい、かと言ってずっと温存していると対応する暇もなく≪補充≫が通ってしまうため、置くタイミングには慣れと注意が必要です。

その他ドローソース: 時間稼ぎで止める考え方もあるようですが、特に墳墓を絡めた≪大慌ての捜索≫や≪綿密な分析≫フラッシュバックなど、撃たせれば撃たせるだけ勝手に手札とライフが減ってくれるのもあって私は基本的に通しています。例外として、≪調律≫だけは複数回の再利用が可能なので向こうの動きが極端に少ないなど事故に見える場合は消す事も無くもありません。

青いのでカウンターが怖くなるかも知れませんが、元々手札消費の激しいデッキなので≪意志の力≫の採用は稀で、その他普通のカウンターにしてもコンセプト上不要なので見た試しがありません。スクイーを採用して手札消費を軽減して≪意志の力≫を採用した例は一応存在します。また、実際に相手した事はありませんが≪オアリムの詠唱≫が入る構築もあり、これはかなり分が悪くなるので警戒が必要でしょう。

サイド後は≪防御の光網≫も入って来ます。勿論即座の対処が必要ですが、最悪の場合3マナあれば≪意志の力≫は撃てる事は覚えておきましょう。たまに≪真実の信仰者≫が入り、相手に被覆が付与される事がありますが、この時≪トーモッドの墓所≫が起動出来なくなるのは忘れがちです。サイド後でも≪火+氷≫は残るので通して対処する事は一応可能です。

☆サイドボード
≪稲妻≫の類は勿論全抜きです。向こうのマナベースも中々シビアなので≪黄塵地帯≫も仕事はしてくれますが枠を作る際は最優先で抜けます。≪横揺れの地震≫もオパール色を通せる理由になり、あると火力での焼き切りが楽になりますが枠に困ったら抜けます。3枚目以降の≪マナ漏出≫も腐りやすいので考えものです。

≪トーモッドの墓所≫はあるだけ全て入れていますが、打ち消しだけでも何とかなるマッチなので減量しても良い可能性があります。それでも1枚で向こうの≪補充≫4枚が一時的にでも腐るのは魅力です。≪ファイレクシアの炉≫も≪火+氷≫と交換で入ります。≪無効≫も勿論増やすとして、サイド後は≪防御の光網≫が入るため置物破壊も入れます。光網の枚数は相手の構築によって1~3枚と振れ幅があるので置物破壊の枚数も考える必要がありますが、私の場合は大体2枚にしています。火力で勝つマッチなので≪予言の稲妻≫はなるべく追加し、クリーチャーの類は入れません。

≪もみ消し≫≪テフェリーの反応≫≪赤霊破≫も一応仕事はしますが、枠の都合上私はあまり入れた事がありません。実際使ってみた時は、特に≪もみ消し≫が中々必要な時に撃てない印象でした。

エンチャントレス

エンチャントを唱えた時に1ドローを誘発させる女魔術師カード2種8枚を軸として、マナ基板にサーチ、攻撃手段、時には防御手段までをエンチャントで固める事でデッキを高速回転させ、膨れ上がったマナと手札から対処不可能な盤面を作るコンボデッキです。ミドルスクールでは主に≪大地の知識≫が絡むものを中心に無限コンボを勝ち手段に据えている事が多いです。

☆デッキ概要
知る限りでは≪大地の知識≫と≪リスの巣≫≪メサの聖域≫の2枚からの無限コンボを勝ち手段とし、対処への返しとして≪補充≫まで取った、いわゆる純正緑白型が最も完成度が高く一番よく見る事になると思われます。しかし、対策への強さと引き換えに速度を犠牲にしている分対コンボには弱いようで、色々と構築が模索されているデッキでもあり、どの色についてもそれを足したバリエーションが存在します。

ドローを連打する関係上コントロールとの相性は基本的に最悪の部類で、基本的には必要な事を全てやった上でお相手の引きムラを祈るしかありません。ただし安定性はそこまで高くなくマリガンも頻繁に行うため、一番安定する緑白型でも結構事故を起こして勝たせて貰える事が多いです。

☆カウンターの当て先
≪大地の知識≫は基本的にマストカウンターです。一見無害に見えますが、その実≪アルゴスの女魔術師≫がマナクリーチャーに変換され≪繁茂≫が絡むと実質2マナ分以上の働きをし、大量ドローと合わせてこちらの打ち消しのマナが足りなくなり碌な事がありません。

≪リスの巣≫はエンチャント先の土地をタップする事で1/1のリスを生成するオーラで、≪大地の知識≫と並ぶと生成したトークンで付け先の土地をアンタップ出来るため無限にリスが生成され、1ターンの猶予こそあるもののほぼゲームセットとなります。そうでなくても工廠での攻撃と≪行き詰まり≫の設置が絶望的になるのでなるべく消したい所ですが、最悪集会場と焼き切りで何とかなるので、二択を迫られた場合には打ち消しに支障の出る≪大地の知識≫を優先して消す局面もあります。白を足している場合類似品の≪メサの聖域≫も入る事がありますが、これはトークンが飛行を持つ分集会場も殴れなくなるので脅威度はもう少し上がります。

まず緑白型から考えると上記の無限コンボのパーツが8~10枚、そこに≪補充≫が2枚程度加わる他≪独房監禁≫や≪オパール色の輝き≫など致死的な脅威はいくらでも入り得ます。またこの型の場合≪花の壁≫や≪浄化の印象≫が入る場合も多く殴るのも困難でゲームが長期化しやすいので≪マナ漏出≫の類はそのうち腐る事になり、終盤戦は≪対抗呪文≫≪意志の力≫≪無効≫でこれら危険物と戦う事になります。

枚数を考える限り、置かれて致死的になるものを消す方針になるでしょう。女魔術師も本来なるべく消したい所ですが、基本的にそんな余裕は無く、あっても最初の1枚か2枚程度でしょう。そもそもドロー手段の枚数を考えるとぎりぎり付いては行けるので、≪魔力の乱れ≫や≪マナ漏出≫が当たる場合など、余裕がある時に限って消していく事になります。これら不確定カウンターをマストカウンターに当てられた枚数を指標にして判断したり、前もって消して良いタイミングや枚数の基準を定めておくのも良いでしょう。

向こうが事故を起こしている場合は話が逆になり、具やマナが枯渇しているうちにドローを回していけば手札の差で勝ててしまうので女魔術師は消し、場合によってはマナ加速を消す時もあります。特にカラースクリュー時の≪肥沃な大地≫は一考に値します。

純正緑白型以外についても、≪大地の知識≫≪リスの巣≫パッケージは女魔術師共々緑で完結しているため実質固定枠と考えて良いのでやる事は大体同じです。

☆その他
≪花の壁≫を出されてしまった場合、≪稲妻≫があるようなら引いてしまっている時点でアド損しているような物なので工廠の攻撃と合わせて焼いてしまうのも手ではあります。

一つの土地にベタベタとマナ加速を貼るようなデッキなので、基本的にドローに回しても支障はありませんが≪氷≫でのタップは結構有用です。マナスクリュー時、3枚ほど貼られた土地に連打して手札を整えつつ3ターン程稼いで勝った経験もあります。

全体除去は割と有用で、≪アルゴスの女魔術師≫を焼く事が可能です。特に≪星の嵐≫≪火薬樽≫は無限リス成立時の攻撃を1ターン遅らせる用途もあります。

☆サイドボード
これも打ち消しとドローだけするマッチなので、当て先が無い限り≪稲妻≫類と≪黄塵地帯≫を抜いて追加の≪無効≫と全体除去、余裕があれば≪予言の稲妻≫を入れる形になります。この際、≪花の壁≫と≪セラの聖域≫は当て先に数えません。

追加のフィニッシャーを入れる案も検討に値し、上述の方針をひっくり返して本来のマストカウンターを一部無視しつつ、女魔術師含めて目につく厄介者を片っ端から消していくプランが取れる可能性があります。

サバイバルエルフ

ミドルスクールのエルフデッキはマナ加速から中~重量級呪文を唱える動きをメインに据えたデッキです。≪生命の律動≫で即死を狙うもの、土地破壊を撃ってくるものなど色々あるようですが、現在私の周囲では≪適者生存≫を用い、≪憤怒≫による速攻付与からのビッグマナコンボを搭載したものがイベントで頻出、かつ認識上でも一般的なものとされています。

周囲ではコンボとして分類される中、私はこれをミッドレンジとして認識していたのですが、記事を書くにあたってリストを見てみるとミッドレンジ的な攻め手と言えるようなカードは6枚そこら、殆ど≪適者生存≫で探す前提の構造になっており、普通に殴り切る事を考えるには線が細すぎるので、コンボデッキと言われるのも納得しました。とはいえ、その≪適者生存≫を打ち消す前提での勝負になるのでこのマッチではサブプランのミッドレンジ的な振る舞いが全面に出ます。

☆焼き森はスポーツ
相性は現状やや不利とされ、除去の性能に問題は無いものの常に≪適者生存≫の影に怯えながらプレイする事になり、サイド後には≪起源≫も入ってきて、これは実質引かれたら死ぬものと思って下さい。
また生物の総数も多いのでそのうち火力が切れて生き残った1点か2点のクロックに撲殺される事も少なくありません。恐らく何も考えずに嬉々としてエルフを焼きまくっているのも原因の一つなので、調整無しで今後相性を改善するには全体除去の使い方が重要なファクターになるでしょう。

タフネス1の生物が24体採用されており、火力の当て先には困りませんが、当たり前の話こちらの火力は限られているので焼く先は絞る必要があります。≪火≫が2体分になるので、合計12~13体に全体除去でさらに稼いでいく形になるでしょうか。
最優先で焼きたいのは≪ワイアウッドの共生虫≫と≪ティタニアの僧侶≫で、特に共生虫は能力の起動コストでエルフをバウンス、手札に逃して来るので≪火≫での1:2交換が取れなくなるので最優先で殺虫します。なるべく≪稲妻≫か≪火葬≫で殺します。
≪ムルタニの見習い≫も打点が厄介ですがキャントリップもあるのでどちらかと言えば打ち消しの対象です。この他、≪ガイア揺籃の地≫が見えている場合は大量のマナが出るので選り好みせず燃やし、≪クウィーリオン・レインジャー≫も他のマナクリーチャーと並んだ場合は実質2マナ以上産む場合があるので焼却した方が良い場合があります。不確定カウンターが腐りそうな時に数を調整するのも重要です。
メインやサイドに≪不毛の大地≫ が入っているので、≪行き詰まり≫を置く際は着地を許したクロックと相談、必要なら火力で調整します。

自力でゲームを長期化させてしまっているようなものなので、前述の通り全体除去は考え無しに撃つと後々生き残ったエルフに殺されます。使用するタイミングは考えた方が良いでしょう。一回に最低でも3体は巻き込み、最後の1枚は終盤の仕上げに撃てるのが理想です。

☆カウンターのあて先
≪適者生存≫は勿論一度置かれたら割る手段が無いのでメインに≪無効≫を挿してでも消します。

重量級の枠は≪クローサの拳カマール≫≪錯乱した隠遁者≫≪マスティコア≫から合計3~4枚に、etb能力で最大4体のエルフを引き連れて来る≪森の伝書使≫が2,3枚という形が一般的です。カマールには≪稲妻≫、隠遁者は全体除去で対処可能な分通して良い場合もありますが、いずれも打ち消しなど対処が必須となります。伝書使もアドバンテージを稼がれると厄介なのなるべく消したい所です。

以前に一度≪行き詰まり≫を逆利用されてハンドオーバーから≪憤怒≫を墓地に落とされ速攻付与から負けた事がありますが、この場合の≪ティタニアの僧侶≫は莫大なマナを出すため打ち消した方が良さそうです。

≪絡みつく鉄線≫は前項でも解説したように大した脅威ではなくサイドアウト対象になるので、殆どの場合は通して良いです。ただし、向こうにエルフが残っていると一方的に動かれるので通す際は火力で数を調整しましょう。

☆サイドボード
≪黄塵地帯≫≪魔力の乱れ≫が最優先で抜け、枠を作るなら≪マナ漏出≫≪予言の稲妻≫あたりがサイドアウト候補になります。

≪適者生存≫対策に≪無効≫を追加し、サイドからは≪起源≫が入って来るので≪ファイレクシアの炉≫もあると良いでしょう。≪トーモッドの墓所≫も無いことは無いですが入れて後悔する事の方が多かった印象です。

≪渋面の溶岩使い≫は除去手段を持たない相手にとって致命的である程度アドバンテージを稼いでくれますが、こちらの墓地を肥やす手段もあまり多くはないので見た目ほど沢山は焼いてもらえない印象です。また全体除去も裏目になるのでこれを入れるか全体除去を増やすかは調整を考える必要があります。

追加の全体除去の枠として≪星の嵐≫は溶岩使い下でサイクリングできるのも込みで必ず入れる1枚ですが、運用上願いから持って来る事も出来るので枠が惜しければ入れない選択もあります。≪火薬樽≫に関しては2マナと1マナが混在しているので使っていて物足りない印象があり、溶岩使いとのトレードオフになりそうな気がします。

ゴブリン

≪ゴブリンの従僕≫≪ゴブリンの群衆追い≫をはじめ強力なサポートカードを軸とした部族ビートダウンで、アグロ型ミッドレンジ型が存在するようですが、アグロ型はあまり見ず戦った事も無いので本項ではミッドレンジ型に絞って解説します。とはいえ採用カードの種類が多すぎるため概略で済ませる事にします。あと≪ゴブリンの何とか≫の形の名前が多いのでゴブリンの部分は省きます。

☆相性
私は不利な部類だと思っていますが、あるイベントで遅刻から途中参加した際、私の不在を理由にこのデッキを選んだ方がおり、最終的に私が全勝を阻止する形になった経験もあるので正確な所はよく分かりません。勝つまでのビジョンみたいなのは無いです。

☆構成
基本は赤単色で、緑をタッチしてサイド後から置物対策をしたり、黒をタッチして手札破壊を入れるバリエーションもあります。
除去は勿論≪稲妻≫、と思わせて≪宝石の手の焼却者≫の存在で余裕があるのかドレッドノート対策などの置物破壊が入っていたりするので、本体火力は案外警戒しなくて良かったりします。

大概≪リシャーダの港≫と≪不毛の大地≫が入っており、枚数や優先度は≪リシャーダの港≫の方が高いものの両方入る構築も多く見られます。攻撃に転じるには≪黄塵地帯≫で割ったり、ミシュラランドを複数重ね引くなどする必要があるでしょう。≪予言の稲妻≫を本体に撃つのも検討されます。

☆除去とカウンターの当て先
全体除去が撃てないうちは従僕から≪包囲攻撃の司令官≫、通称ギャンコマを出されると打点が大変な事になるので、初手の従僕は焼けない場合ピッチを切ってでも消します。

女看守に打ち消しを当てる事はほぼありません。サーチ先を打ち消し、これ自体は≪火≫や全体除去でまとめて殺す方針で問題ありません。

首謀者とギャンコマは大体マストカウンターですが、首謀者が連れてきた分は手札に隠れられるのに対し、ギャンコマは全除去で流せるため通しても良い場合があります。生贄で火力に変換する能力が脅威になるかどうかが判断基準です。

打ち消しに限れば上記の通りですが、その他速やかに対処すべきものとして群衆追いと戦長、王は打点に大きく繋がり危険です。群衆追いに関しては≪氷≫が当たらないのも注意点です。

≪火≫で複数体を焼く事は確かに出来ますが、向こうも承知の上なのでタフネス1が盤面に並ぶ事は余り無く、出来ても女看守ともう1体の実質1:1交換程度なのであまりアドバンテージ源としては期待せず、上記危険物3種を焼ける貴重な単体除去として温存するのも手です。

前述の通り土地対策土地が多めに積まれているので、≪行き詰まり≫を置く際は工廠でのブロックには期待せず、ちゃんと相手の生物を全滅させてから置くようにしましょう。キャストを経由しない勝ち手段は入っていない筈なので引かせては貰える筈です。

☆サイドボード
確実に抜けるのは≪無効≫と≪真鍮の都≫ぐらいのもので、≪意志の力≫は絶対に残すとして、特に抜きたくなるものも無く交換先と比較しての強弱で判断していく事になります。≪予言の稲妻≫が赤霊破に当たるので優先的に抜けていくのと、≪マナ漏出≫の3枚目以降が余剰になるぐらいでしょうか。

入れるのは全体除去になる物と≪青霊破≫≪渋面の溶岩使い≫≪テフェリーの反応≫、枠を作ってでも全て入れます。追加のフィニッシャーも喜んで入れたい所ですが青いものは≪赤霊破≫に引っかかるので価値が落ちます。

マッドネス(青緑マッドネス)

手札から捨てる際、代わりに唱える事が出来る「マッドネス」能力を≪野生の雑種犬≫など自発的なディスカード能力を持つ「共鳴者」で悪用し、打ち消しを援用しながら高速かつ骨太な攻めで畳みかける異端のクロック・パーミッションです。構築を遊ばせない限り基本的に安価で所有者も多い筈のデッキですが、青い割にコンボ耐性を持たせるのが難しく、同じくクロック・パーミッションでコンボ耐性も高いスレッショルドにお株を奪われたのかイベントでの使用はあまり見かけません。

ちなみに昔から安価だったのもあってか思い入れのあるプレイヤーも多いようで、当時の思い出話になるとよく名前が挙がります。

☆デッキ概要
共鳴者の枠に≪野生の雑種犬≫が4枚、追加で≪アクアミーバ≫≪マーフォークの物漁り≫が最大で4枚ずつ取られ、この辺りの配分には個人差があります。追加のディスカード手段として≪入念な研究≫が2~4枚、かなり稀ですが≪大慌ての捜索≫が取られる場合もあります。

マッドネス枠は生物とカウンターで、生物の方は0マナで出てくる1/1の≪日を浴びるルートワラ≫、3マナから4/4トランプルの≪尊大なワーム≫の2種8枚が基本ですが、≪尊大なワーム≫に関しては共鳴者への依存度が高過ぎるため最低2枚あたりまで減らす構築もあります。

フラッシュバック呪文を採用するのも一般的で、最たるものとしてはドローソースとして≪綿密な分析≫が2~4枚取られます。フラッシュバックコストでライフを支払いますが、本体を焼きに行ける機会は皆無なのであまり関係ありません。表7裏4マナで6/6を生成する≪ワームの咆哮≫は実質マッドネス枠のようなもので、これはメインサイド合わせて1~2枚に抑えられたり4投されたりと採用枚数はまちまちです。

カウンターはマッドネスから1マナで撃てる≪堂々巡り≫4枚が基本で、これだけの場合もあれば≪意志の力≫や≪目くらまし≫が追加で入っていたり、≪堂々巡り≫自体を2枚そこらに減らしたり不採用にする構築もあります。

この辺りが基本で、主なバリエーションとしては≪適者生存≫をスクイーとのセットで取るもの、多色化して≪ゾンビの横行≫を取るものや≪冬の宝珠≫≪絡みつく鉄線≫あたりにピッチカウンターを合わせてロックに寄せたもの等があり、鉄線型は私もたまに使用しています。

≪冬の宝珠≫型は殆ど無理な上殆ど別デッキなので割愛するとして、こちらのデッキから見ると骨太で長期戦にも耐えうる所が一番嫌なので、打ち消しも≪堂々巡り≫4枚程度に抑え、スロットを最大限クリーチャーに割いた純正型相手が一番不利が付き、相性は高めに見積もっても3,4割程度になります。正直ロック手段無しに入っている≪目くらまし≫はケアの余地がかなり大きく、≪意志の力≫も元々手札消費の激しいデッキなのでむしろ撃ってもらえると有難いまであります。≪絡みつく鉄線≫を見たら喜びましょう、恐らく≪ワームの咆哮≫の枠が割かれている筈です。サイドから鉄線を抜ききれない場合も多いです。

☆攻略法
まず共鳴者を徹底的に潰します。雑種犬は勿論ピッチを切ってでも消し、物漁りはなるべく焼きたい所ですが≪アクアミーバ≫は≪堂々巡り≫などマッドネスでの抵抗を考慮して消すか焼くか判断します。小テクとして、≪アクアミーバ≫は能力起動スタックで≪火≫を当てるとどう抵抗しても必ずあるタイミングでタフネス1になり、ルートワラや物漁りなどとまとめて処理できる場合があります。ルートワラの処理にはある程度我慢が必要ですが、パンプ能力もあるのでなるべく≪火≫などで焼けるうちにまとめて除去したい所です。逆に構えるだけ構えて脅す形にすれば起動を躊躇わせる事が出来ます。

これだけでもだいぶ時間が稼げるでしょう。後はドローを進めつつハードキャストされたワーム類を打ち消していくだけです。≪予言の稲妻≫も≪尊大なワーム≫を倒せる点で有効牌になります。とはいえ終盤はカウンターが足りなくなる関係上、≪ワームの咆哮≫をハードキャストされ始めると物量差で押し切られるのが負けパターンの1つで、攻勢に切り替えるタイミングは早い方が良いでしょう。実際勝つ時は生き残ったルートワラや仕方無く出された≪不可思議≫と殴り合ってすれ違いで勝つ事が多いです。

☆サイドボード
効かないので≪黄塵地帯≫は抜くとして、置きづらい≪行き詰まり≫も減量対象です。抜き切っても良いでしょう。≪無効≫は≪適者生存≫やスクイーが見えなければ抜き、見えたらむしろ増量します。
枠が足らない場合、≪意志の力≫も減量候補になるかも知れませんが、相手が≪適者生存≫や≪意志の力≫を使う場合は話が逆になります。

入れるものとして、まず≪渋面の溶岩使い≫と≪もみ消し≫はこのマッチのためのカードなので入れます。≪もみ消し≫については多少複雑な処理になりますが、マッドネスも誘発型能力なので消す事が出来ます。溶岩使いは雑種犬含め軽量級ほぼ全てに当たり展開を阻害できますが、向こうも≪青霊破≫をサイドインして来るので注意が必要です。

全体除去に関してはこのマッチでは特に雑種犬を処理できる≪火薬樽≫が喜ばしいです。≪星の嵐≫は願いからの運用も検討できます。
≪赤霊破≫も相手の共鳴者の配分次第ですが、当てたい所には当たるので枠に余裕があれば入れたい所です。

相手のカウンターが薄いようなら≪予言の稲妻≫や大型フィニッシャーの追加も視野に入りますが、最低限4/4の≪尊大なワーム≫と戦えるスペックが要求されるでしょう。

スタイフルノート

≪ファイレクシアン・ドレッドノート≫、通称ドレノは1マナ12/12トランプルと一見破格のマナレシオを誇るアーティファクト・クリーチャーですが、戦場に出た際にそのパワー相当の乗組員の搭乗(?)を要求され、実際には打点に全く貢献せずカード1枚分の働きもしません。とはいえ額面でのスペックが凄まじいのは確かで、この搭乗員の要求をもみ消したり、誘発中にフェイズアウトさせる等して踏み倒す事で見た目通りの化け物を相手に叩きつける事を狙うのがこのデッキです。

私がミドルスクールに参入した頃はこのデッキがメタの頂点に君臨していましたが、置物破壊に≪剣を鋤に≫と弱点も多く、コンボに手札を2枚切る都合上対策に弱かったため、私も含めて皆が対策するようになるとみるみるうちに数を減らしていき、現在ではたまに1人2人居る程度に落ち着いた印象があります。マッチ相性が良くあまり意識に上がらないせいもあるかも知れません。

☆デッキ概要
ドレノ4枚と≪もみ消し≫にフェイズアウト手段にあたる≪幻視の魔除け≫の2種8枚の2枚コンボに、これを最短で押し通すための≪意志の力≫≪目くらまし≫までが実質の固定枠でフリースロットが多いため、単色型はもちろん≪悟りの教示者≫でドレノ本体をかさ増しした青白型や≪幻視の魔除け≫を継ぎ目にスレッショルドと合体させた青緑など2色の型は白黒赤緑全て存在し、いっそ≪目くらまし≫を捨てて5色にしたものや他のコンボデッキと合体させるものまで様々なバリエーションがあります。本項ではドレノと≪もみ消し≫の2枚コンボに集中した型のみに絞って解説します。

私が≪意識の力≫を購入する原因になったのもこのデッキで、これの有無で相性が大きく変わるマッチです。あればほんの少しだけ有利、無ければほぼ目無しという所でしょう。青白や青黒と違って≪剣を鋤に≫のような確定除去を持たないこちらのデッキにとってほぼ対処不可能な12/12トランプルが実質2マナ、≪水蓮の花びら≫を絡めれば最速1ターン目から着地する事になるので、最悪先手の場合だけを考えたとしても有効牌に数えられるのは≪魔力の乱れ≫≪無効≫のような1マナ以下で撃てるカウンターのみ、それもピッチカウンターでの抵抗を考えると1ターン目に最低2回は撃てる必要があります。≪蒸気の連鎖≫などバウンスを取ればまだ抵抗の余地はありますが、そう枚数を割けるものでもないでしょう。

☆殺し方
たまに≪翻弄する魔道士≫やミシュラランドなど追加のクロックが入る事もありますが、基本的にコンボ以外ではドローソースを撃つぐらいしかして来る事がありません。加えてコンボに手札を2枚切る関係上、一度でもコンボを止める事が出来ればテンポでもカードカウントでも大きく有利になります。後は頑張って揃えた2発目以降をのらりくらりと消しつつ土地で小突いていけば勝てます。

コンボの手順はまずドレノを着地させ、その直後に誘発を踏み倒す手段を撃つ形になるので、止めるにはこのどちらかを打ち消す形になります。合計2マナはかかるので、最速で仕掛けられた場合なら≪魔力の乱れ≫で消す事も可能です。

踏み倒し手段を打ち消せば相手に手札を2枚切らせる事になり手札の有利が取れますが、1マナと軽いため、マナが余っている場合は消しても2枚目を撃ってくる危険があります。デッキ構造として踏み倒し手段8枚にドレノ4枚と踏み倒しの方が多いため結構起こりやすく、2発目以降となると尚更です。応用として踏み倒しに対応で置物破壊を撃つ手もありますが、後述の通り≪幻視の魔除け≫に限ってはこれを返す事が可能です。逆にドレノ本体を消せば1:1交換に留まりますが、相手は踏み倒し手段を無駄牌として抱え続ける事になります。ドレノを出してきた時点で踏み倒し手段は持っている筈ですので、一度ドレノを消し始めたら以降それを貫徹する事になります。

細かい注意点として、特にサイド後や願いでドレノに置物破壊やバウンスを当てる場合は≪幻視の魔除け≫のフェイズアウトを回避手段に転用される事があります。また、フェッチランドを採用している場合は勿論もみ消されるリスクを警戒する必要があります。特に青単の場合など≪不毛の大地≫が入っている事も多いのは頭に入れておきましょう。

☆サイドボード
ドレノへの対処だけ考えれば基本工廠で殴り勝てるので当て先の無い≪稲妻≫類全てに≪黄塵地帯≫、枠が足りなければ≪横揺れの地震≫を抜き、置物破壊になるもの全てと追加の≪無効≫、序盤の有効牌として踏み倒し手段を打ち消せる≪赤霊破≫を入るだけ入れ、枠に余裕があれば≪予言の稲妻≫を追加するのが基本形ですが、何しろメインボードだけでも構築の幅が広い上、サイドから≪実物提示教育≫などコンボパーツを別の2枚コンボとごっそり入れ替えて来る場合などもあり、臨機応変な対応を要求されます。見えている構築に合わせて≪稲妻≫など有効牌の基準を変えていくのは勿論として、見えている脅威を確実に押さえるか見えない脅威に備えるか、この辺りからは妥協と読み合いです。

リアニメイト

何をトチ狂ったのかウルザブロックあたりまでのリアニメイトカードは1~2マナ程度を基準にデザインされているので、レガシー以下のフォーマットには何らかの手段で墓地に落とした大型生物を早期のうちにこれらで釣り上げるデッキが存在します。最近はモダンでも可能なようです。
☆マッチアップ
ミドルスクールで釣り上げられる生物はレガシーのそれらと違って対処後に爪痕を残すような事が無いため≪剣を鋤に≫≪悪魔の布告≫には滅法弱く、本来コントロールにとっては楽勝な部類です。しかしこちらのデッキにその類は無く、黒を濃くした型に関しては打ち消し以外の対処が不可能な中ハンデスで手札をボロクソにされるため、勝率は4割を切る可能性があります。逆に打ち消しに依存した型については根本はスタイフルノートと変わらないので比較的楽に戦えるでしょう。

釣竿を消していくのは勿論の事、墓地に落とす手段についても注意が必要です。≪納墓≫はインスタントタイミングで飛んでくるので仕方ないとして、≪入念な研究≫は既に個別に解説したように百害あって一利無しなので消します。

サイド後は≪トーモッドの墓所≫など墓地対策が入るので多少楽にはなりますが、≪死体発掘≫に限ってはトーモッドの解決後に≪納墓≫を被せて来る事があります。また、≪要塞の計略≫が追加される事もあり、これはコストの小さい方だけが場に出る≪実物提示教育≫のようなものですが、この場合墓地対策を透かされる事になるので、相手が5色地形を取っているようなら警戒しましょう。

☆サイドボード
他のコンボと大体同じで≪稲妻≫類と≪黄塵地帯≫、時には≪横揺れの地震≫を当たらない限り抜けるだけ抜き、墓地対策を詰め込み、枠が余れば≪予言の稲妻≫も入れます。一応≪動く死体≫には当たるので≪無効≫も増やしてよく、≪入念な研究≫が撃てる型なら≪赤霊破≫も良いでしょう。バウンスを入れているようなら勿論入れます。≪要塞の計略≫が入る可能性もあるなら生物の投入にも積極的になれるでしょう。≪青霊破≫まで入れるかは怪しいです。

黒単ウィニー/スーサイドブラック

黒の2マナ以下の優良生物24体そこらを≪トーラックへの賛歌≫などの手札破壊でバックアップする高速ビートダウンです。本項では複数存在するらしい別パターンは無視して特定のリストを扱いますが、安価である程度強いため該当リストを微調整したものが多く使われています。

こちらが全体除去1枚に大量のドローソースを有しているのに対し、向こうは強力な手札破壊を多く取っているため相性はややこちらが不利で最悪五分を切り、少しのミスが命取りになる印象です。実際のマッチ勝率はほぼ全敗ですが、ルールミスを含み大概こちらの何かしらのミスが敗因になっています。

☆構成
1マナ域にデメリット持ちの2/2ゾンビが8体、2マナ域にはパワー2のシャドー持ち2種8枚に≪ナントゥーコの影≫≪飛び回るスカージ≫がそれぞれ3~4枚取られています。自由枠が2枚程度あるようで、≪萎縮した卑劣漢≫≪呪われた巻物≫など追加のクロックが取られる事もあります。除去は4枚程度、加えて土地のスロットを≪不毛の大地≫に数枚割いているパターンもあります。

☆ゲーム概要
プレイング面であまり突筆するような事は無く、普通に相手の攻め手を焼いたり消したりするだけです。単純な除去枚数は相手生物の総数の半分弱なので生物にカウンターを当てる場面も多々あるでしょう。
こちらのクロックも相手の1体分同程度の打点しか出せないので大概長期戦になり、その中で着地した≪ナントゥーコの影≫は大体焼けないのでカウンターは可能な限り温存しておきたい所です。また、メインやサイドに墓地対策で複数取られている≪萎縮した卑劣漢≫もこちらの≪蓄積した知識≫を腐らせて来るので厄介です。
相手の1マナゾンビ群のデメリットを利用してライフを食わせ、長期化を防ぐ択もありますが、≪肉占い≫の方はゾンビの全滅がダメージ誘発の条件になるので相手のトップで解決される危険もままあります。

自分ではあまりやった事はありませんが、工廠をブロッカーに立てて攻撃を躊躇わせ、展開を強要する事が出来れば全体除去が有効に機能します。工廠で止まる相手を考えると、1マナゾンビ連中はこちらの引き次第ではある程度泳がせた方が良い場合があるでしょう。

忘れがちな事として、シャドー持ち2種はブロック出来ず、工廠では止まりません。またスカージのデメリット能力は誘発忘れが起こりやすく、お互いぼーっとプレイしていると何も居ない筈の虚空から6点、9点が削れているなんて事になりかねません。

☆サイドボード
まず≪黄塵地帯≫は当たらないので忘れずに抜きます。ピッチカウンターが必要なマッチではないので≪意志の力≫は抜いておきたい所ですが、≪マナ漏出≫が腐りやすいマッチでもあるので追加の確定カウンターが欲しければ少し減らす程度に抑えます。それに、サイドからミシュラランドが機能不全を起こす≪サーボの網≫が入って来る事も多いため、初手のカウンターが全くもって不要という訳でもありません。そういう訳で≪マナ漏出≫≪魔力の乱れ≫も腐りやすくサイドアウト候補ですが、何を重く見るかで枚数は変動するでしょう。

サイドインは全体除去になりうるもの全て、また≪無効≫も前述の網に加え1マナゾンビの片方に当たるので追加の余地があります。アーティファクト対策まで取るかは微妙な所ですが、≪呪われた巻物≫が見えた場合は流石に取って損はないでしょう。≪渋面の溶岩使い≫は生物を焼き続けられるので入れ得です。

テラゲドン

≪ハルマゲドン≫≪不毛の大地≫などの土地破壊やフェッチランドで墓地を肥やすギミックで≪土を食うもの≫を強化する緑白アグロ~ミッドレンジで、私の周囲では最近になってちらほらと見かけるようになりました。プレモダンの方から輸入されたデッキらしく、見る限り5cスレッショルドに居たマングースと熊に≪雨ざらしの旅人≫を採用してアグロに寄せ、≪根囲い≫で墓地を肥やしつつ土地を引っ張って来る型が一般的なようです。リストを見る限りこちらにとって辛い事しか起こらなさそうですが、私は少なくともこの型のテラゲドンと対戦した事が無いので実際の所はよく分かりません。言える事としては打ち消しで返されない分こちらのカウンターと全体除去が通りやすいというぐらいでしょうか。

他にもマナクリーチャーを並べて≪ハルマゲドン≫後も自由に動けるようにした型も存在し、これには一応私も当たった事がありますが、相性差が大きく、≪土を食うもの≫ら生物を消しつつ本記事で既に解説したプレイングや個別の対処さえ出来ていればあまり苦労せず戦える印象でした。

ここから分かった事として、≪ハルマゲドン≫それ自体は自分の場に何かしらの脅威を展開しなければ有効に撃てないため、いわゆる相方と揃ってはじめて機能する類のカードと言え、この相方の対処さえ出来てしまえば大した脅威にはなりません。つまり、マッチアップの相性は≪ハルマゲドン≫の相方がどれだけ対処し辛いか、もしくはそれに優先して対処すべきものがどれだけ存在するかに依存するでしょう。

ストーム/DD tendrils

そのターン中唱えられた呪文の数のコピーを伴って唱えられるストーム呪文を勝ち手段としたデッキで、キャントリップやマナ生成呪文の連打がこれを実現させる主な手段となります。≪暗黒の儀式≫が使えない関係上ミドルスクールでは時たま実験的に組まれる程度でしたが、最近≪ライオンの瞳のダイアモンド≫が解禁されたのをきっかけに≪最後の審判≫搭載型のものが模索されるようになりました。現時点でも30人規模(ミドルスクールではかなり大きい方)のイベントで入賞実績を挙げているので、今後の研究と活躍次第では見る事も増えるかも知れません。

私は一度だけフリープレイを数回ほど行う機会があっただけなのであまり詳しい事は言えませんが、手札破壊は飛んで来るものの打ち消す対象ははっきりしており、そこまで深刻な不利が付く印象はありませんでした。とりあえず≪苦悶の触手≫がメインボードから入っていたら仕方が無いものとして、≪燃え立つ願い≫≪三つの願い≫は消すでしょう。≪審判の日≫は山札だけでなくライフもぎりぎりになるので火力で焼き殺せる可能性があり、≪苦悶の触手≫のストームには≪もみ消し≫が当たるぐらいでしょうか。≪無効≫でダイアモンドを消すなどマナブーストにカウンターを当てるのは状況次第では有効そうですが、置物破壊まで入れるかは何とも言えません。

茶単系/青赤修繕、赤茶単

何度も言及している無色の2マナ土地をはじめとして≪厳かなモノリス≫など、旧枠世代は無色のマナ源が異常に強く、そこから出すに足る優秀なアーティファクトも揃っているので茶単系のデッキが組まれる事があります。実際に確認したものだと往年のスタンダードのそれに近い赤茶単型と、踏み倒しを兼ねた悪名高いサーチカード≪修繕≫を搭載した青赤型の2種が存在します。使用率で見れば特定の個人が≪修繕≫型を頻繁に使用しているのを除いてかなり稀な部類ですが、所有者自体は複数名確認しており、今後私の活動圏外でもイベントで使われる可能性が見込める程度には実績も地力もあるデッキなので本記事の解説に含める事にします。残念ながら赤茶単に関しては対戦回数が少なく記憶も朧気で詳しい事が言えないので割愛します。

☆デッキ概要
アーティファクトによるマナ加速とマナ拘束から一方的に動ける状態を作り、大型生物や即死コンボを叩きつける事を目的としたデッキで、これは赤茶単にも同じ事が言えます。
マナ拘束が致死的になるか否かの点でこれも≪意志の力≫の有無によって相性が変わるマッチアップですが、向こうが≪古の墳墓≫を抱えている関係上弱点を突ける面もあります。≪意志の力≫購入後はというと、マナ拘束との付き合い方さえ弁えれば打ち消しと火力でどうにかなるため、マッチでほぼ負ける事は無いと思って差し支えありません。より詳しく見ると実際のマッチでは大概一本落としているので試合単位での勝率は大体7割ぐらいになるでしょうか。

☆戦い方
有利とはいえ複雑怪奇な動きをするデッキなので頭を使う所も結構多く、対処すべき所を理解していなければ簡単に倒されてしまいます。

まず≪修繕≫でサーチする先として大型アーティファクトクリーチャーが数種類、それぞれピン挿しで入っており、構築によって変動はするでしょうが現在確認できるのは≪銀のゴーレム、カーン≫≪マスティコア≫≪トリスケリオン≫≪Phyrexian Devourer≫の4種です。このうちカーンと≪トリスケリオン≫は一応≪予言の稲妻≫で対処可能ですが、カーンの方はアーティファクトを一時的に生物化させる能力があるので一度着地すれば見た目以上の速さでライフが削れていきます。≪マスティコア≫はこちらのミシュラランドを撃ち落として来る上≪火葬≫が無ければほぼ対処不能です。≪Phyrexian Devourer≫は≪狂気の祭壇≫と並ぶと即座にライブラリーアウトが発生する即死コンボの他、単体でも着地早々からランダムにスタッツが増加し、運良く7/7を超えると自爆してくれますが5/5,6/6で止まってしまうと手が付けられなくなります。素出しに関しては見てから判断できますが、≪修繕≫からは対処し辛いものが状況に合わせて出てくるので必ず打ち消す必要があります。そのためにも向こうのマナ拘束にはなるべく打ち消しに頼らずに対処する事が鍵になります。

マナ拘束の手段に採用されているのは≪絡みつく鉄線≫≪煙突≫≪抵抗の宝球≫で、各々単体で出される分にはこちらの動き次第で何とかなりますが、鉄線と≪抵抗の宝球≫などセットで組み合わさると≪リシャーダの港≫も絡んで格段に動きにくくなります。

鉄線に関しては既にある程度解説していますが、通すかどうかは着地後1手2手先でお互いが用意できるマナの数を計算して判断する事になります。≪抵抗の宝球≫下では≪意志の力≫のピッチにも1マナかかる事も忘れがちで、判断ミスに繋がります。≪煙突≫は見るからに危険極まりないので消したい所ですが、≪ハルマゲドン≫同様手札にある程度土地を抱える余裕があれば対策可能で、着地後最低限構えつつのんびり待てば周りの置物を巻き込んで自滅してくれる可能性があります。≪意志の力≫が撃てるようなら比較的分かりやすいですね。ここでも数手先を見た計算が必要になりますが、見通しが立ちにくい所もあるので鉄線に比べてカウンターを切らされる事は多め、というか基本消します。

もう一つ厄介なのが≪ゴブリンの溶接工≫で、一旦動き始めてしまうとまずタップ状態になった≪厳かなモノリス≫の廃棄と再利用に始まり、鉄線が常に新品の状態で都合良くこちらにだけ作用して来るなど色々と碌な事が起こりません。幸い火力で焼けるので対処に困る事自体は少ない筈ですが、少しでも動かれると困るので即座に焼けない場合はやむなくカウンターを切る事もあります。

マナ加速やアドバンテージソースにカウンターを切る事は殆どありません。サイド後は≪防御の光網≫が入るのにも気をつけましょう。

☆サイドボード
置物対策をフルに入れるのは間違い無いとして、向こうの≪リシャーダの港≫≪黄塵地帯≫を見て≪テフェリーの反応≫も入れ、≪黄塵地帯≫は残します。枠を作るために抜けるのは向こうのマナ加速で腐りやすい≪魔力の乱れ≫≪魔力の乱れ≫の2種で、≪稲妻≫類は本体と溶接工を焼けるので残す優先度は高めですが、追加の≪予言の稲妻≫があるならそちらの方が強いので入れ替えます。≪渋面の溶岩使い≫は溶接工を焼きつつ鉄線への耐性も上がるのでかなり良さそうに思えますが、他の生物に関してはやってみた事が無いのでよく分かりません。

サイカトグ

≪サイカトグ≫をフィニッシャーに据えた正統派の青黒コントロールで、≪嘘か真か≫が墓地肥やしを兼ねてより強く使えるのが持ち味ですが≪剣を鋤に≫という天敵が存在するため、これを搭載したパーミッションとは環境的に共存し辛いようで、私の周囲ではここ最近見かけなくなりました。

☆構築の種類と相性
除去枚数を最小限、2枚程度に抑え青単に近い構成を取ったゼロックス型と、≪夜景学院の使い魔≫や≪強迫≫を取るなどした純青黒型の2種が存在します。いずれの構成においても≪サイカトグ≫が除去困難、前者の場合はほぼ不可能なため相性は不利に寄ります。
前者の方は≪意志の力≫購入前に戦った経験しか無いのですが、当時を思い返しつつリストを確認してみる限りだとこちらには≪行き詰まり≫がありますがお互いに使う≪蓄積した知識≫は期待が持てず、カウンター枚数はほぼ変わりないものの向こうの4積みされた≪狡猾な願い≫が追加のカウンターやドローソースに変わる分の差でやや不利そうに思えます。
純青黒型は使い魔の除去が難しい上に各種スペルの軽量化に繋がり、ドローソースの撃ち合いで勝ちにくくなってしまう面はありますが、こちらのドローソースがフルに使える点は確実に強みになります。またキャントリップもそこまで入っていないので、実は頑張れば≪サイカトグ≫を焼ける場合があります。

☆勝ち手段
ランドスティルに比べてミシュラランドの採用も少なく入っていない場合もあるので工廠での殴り切りも幾許か現実的ですが、カウンターを撃つ際はほぼ必ず打ち消し合戦になるため常に構え続ける必要があり、殴り始めはかなり後の方になるでしょう。相手の除去は大体2マナなのでランドスティル戦に比べてだいぶ殴り易い筈です。

使い魔が着地してしまった場合は隙を見て焼く必要がありますが、それ以外に火力の用途はほぼ無いのでハンドオーバーが見込まれる時は気軽に本体に撃って問題ありません。≪サイカトグ≫を巡る打ち消し合戦で相手の手札が尽きた頃に≪予言の稲妻≫を数発撃ち込んで勝つ事も考えられなくはありません。

☆≪蓄積した知識≫
≪蓄積した知識≫(以下AK)は相手が青黒と判明した時点で撃つのを我慢した方が良いです。特にゼロックス型は≪行き詰まり≫を取っていないのもあってこちら以上に土地を切り詰めている可能性が高く、睨み合いになれば先にAKを墓地に落とすのは向こうの方になるでしょう。流石にこちらの土地詰まりが酷い場合は撃たざるを得ませんが、迂闊に撃つと3枚目、4枚目あたりからこちらのAKに被せてAK,引いた分でこちらのAKが打ち消されるような現象が起こり始めます。純正型の方は不採用の場合もあり、それならそうと判別する方法があれば良いのですが。記憶している限りだと純正型は数回相手をしてそこそこ勝てていた憶えがありますが、御本人からAK不採用と聞いた前から勝てていたのか、不採用と知って警戒を辞めていたのか続けていたのかは記憶が不確かです。

☆カウンターの当て先
ほぼ対処不能な≪サイカトグ≫は絶対に消すものとして、これの強化や着地にも繋がる≪嘘か真か≫もマストカウンターなのでなるべく消しますが、こちらのターン中に深追いして≪サイカトグ≫に構えるマナが無くなるのもほぼ負けなので危険です。≪夜景学院の使い魔≫も厄介ですが上記2つを消す事を考えるとまだ我慢でき、余裕がある場合のみ消します。≪狡猾な願い≫はあまり持って来られて困るものは無いので通しても問題ありませんが、≪サイカトグ≫着地後は墓地の呪文を食べて再利用できるので注意が必要です。

邪悪なドラえもん

以上から、通してはいけないのは≪サイカトグ≫と≪嘘か真か≫、願いから持ってくる物も併せて8枚、≪無効≫が確実に腐る事を加味して自由に撃てるカウンターは4枚になります。また、メイン戦で≪蓄積した知識≫の撃ち合いになった場合はそこにカウンターを切る事にもなる筈です。

マッチアップ上絶対に通してはいけないカードがあるので打ち消しに打ち消しを当てるのはこちらの不利に繋がります。アドバンテージの問題で不可抗力もありますが不用意な深追いは禁物、むしろこちらの手札次第で余裕があればドローソースにカウンターを吐かせるぐらいの気持ちで良いかも知れません。

追加の注意点として、打ち消し合戦の際は≪魔力の乱れ≫をいつも以上に警戒しましょう。このデッキの場合、腐っても≪サイカトグ≫でディスカードできる兼ね合いで3~4枚取られていてもおかしくありません。

☆先手後手
≪サイカトグ≫を少しでも確実に消すため先手を取ります。

☆サイドボード
≪稲妻≫類は減らし、≪夜景学院の使い魔≫が採用されていないようなら全て抜く事も考えます。逆に使い魔が採用されているなら回答になる≪火葬≫は残します。≪サイカトグ≫の存在があるので≪意志の力≫≪魔力の乱れ≫は残しますが、≪魔力の乱れ≫はランドスティル戦ほどの価値は無いため抜く事を検討します。 ≪蓄積した知識≫は向こうが明らかに不採用型でない限りは2枚まで減らします。向こうが残している可能性と土地詰まり時の緊急手段として2枚です。≪無効≫≪黄塵地帯≫も入れてまで当てたい先が無いので抜きます。≪横揺れの地震≫も大体抜きますが、火力が抜ききれなかった場合に残るのはこれです。

≪ファイレクシアの炉≫≪赤霊破≫はあるだけ入れましょう。≪渋面の溶岩使い≫も解答になり得るので入れます。≪火薬樽≫でも一応倒せるのであっても良いかも知れません。枠が余れば≪予言の稲妻≫も入ります。

セットで火力をある程度残す形になるでしょうが、向こうの打点を計算しつつ起動のタイミングを間違えない自信があるようなら≪トーモッドの墓所≫も検討対象です。≪サイカトグ≫とのダメージレースが期待できるようなら大型のフィニッシャーを追加するのも視野に入りますが、≪変異種≫も布告系除去には当たるので注意が必要です。

ポックス

お互いの生物、土地、手札、ライフの1/3を大雑把に端数切り上げで抉り取る≪悪疫≫をデッキの核とした黒単色コントロールです。エクステンデッド時代からの愛好家が集中的に使っている印象で、かなり少数派の部類ではありますが地力もあり、コミュニティ次第ではある程度の頻度で見かける事になるでしょう。

対戦回数が少ないのであまり解説出来ませんが、一般的なものは≪トーラックへの賛歌≫に≪底なしの奈落≫まで取られたメガハンデスの構造を取り、生物の採用は構築上≪悪疫≫に巻き込まれてしまう関係で≪冥界の影≫やミシュラランドなどに留め、逆にこれに巻き込まれないアーティファクトやエンチャントの採用が多くならざるを得ないようです。単色のメリットを活かして≪黄塵地帯≫を2枚取っているのも見た事があり、必須かどうかは分かりませんが見る限り相性はかなりきつそうです。

サイドボーディングとしてはアーティファクト破壊含め置物対策になるもの全てと≪テフェリーの反応≫、あとは議論の余地もありますが墓地対策を1枚だけ入れ、撃ち辛そうな≪対抗呪文≫と≪予言の稲妻≫を減らす形になるでしょうか。≪悪疫≫で相手のライフも削れるので火力の価値は高そうに思えます。

ワイルドゾンビ

条件を満たすと墓地から戦場に戻って来る≪灰燼のグール≫をはじめとした墓地で活躍する生物群を≪隠遁ドルイド≫で一気に墓地に落とすギミックに≪ゾンビの横行≫≪野生の雑種犬≫ら共鳴者によるビートダウンも絡めたコンボ色の強い低速ビートダウンです。難解なためか見かける機会は少ないですが使用者は広範囲に複数点在しているようです。

こちらの天敵≪ゾンビの横行≫を有している上、生物が墓地から無尽蔵に帰って来るため相性は決して良くはありませんが、どうも初手の≪行き詰まり≫だけは無理との事で、こちらに全く打つ手が無い訳でも無いようです。勝つ時は大体殴り合いからすれ違う形になり、マナ基板もそこそこ痛々しいので本体焼き切りの目も十分あります。

とりあえず≪隠遁ドルイド≫は即座に焼却、≪ゾンビの横行≫≪野生の雑種犬≫も絶対に処理するものとして、≪灰燼のグール≫は条件を自由に調整できる場合を除いて焼けば時間稼ぎになる事、≪Krovikan Horror≫は素出しされると場の生物を火力に変換して工廠が焼かれる危険がある事は覚えておきましょう。交換勝負では最初から負けているので打ち消しは時間稼ぎに使う事も多くなります。また、サイド後に≪無のロッド≫を出されるとこちらの墓地対策が機能しなくなる事も覚えておいた方が良いでしょう。

サイドボードは墓地対策を全て入れて≪無効≫を追加し、枠を作るために≪黄塵地帯≫≪行き詰まり≫≪予言の稲妻≫から選んで枚数を調整する形になるでしょう。
≪渋面の溶岩使い≫は≪ゾンビの横行≫も含めて向こうの攻め手の大半への回答になり、ダメージレースにも積極的になれるので≪意志の力≫と入れ替えても良い可能性があります。ただし、≪Krovikan Horror≫を素出しされると焼かれてしまうため少し危うい所でもあります。
他のフィニッシャー枠についても積極的に検討し、殴り合いに寄せるのも良いでしょう。

赤緑マッドネス

現状では特定の個人のデッキの域を出ませんが、かなり強い部類かつ比較的安価で、ある程度深く情報を漁ればイベント入賞リストも落ちているため一応言及しておきます。私個人としても参入者にお勧めしたいデッキの一つです。

簡単に言うと生物枠の強化に緑を足し、マッドネスとスレッショルドから軽くて強力な所を少しずつ引用したスライというところで、スペル枠は少量のマナ拘束の他はほぼほぼ火力の束となっています。≪癇癪≫が雑種犬から飛んで来るため実質≪稲妻≫8枚体制とある意味バーンよりもバーンしており、マストカウンター級の生物が多い中どこにカウンターを当てるかがかなり悩ましい相手となっています。倒し方は正直分かりません。スライ/バーン以上に不利でしょう。≪タールルームの勇士ターンガース≫を採用した理由でもあります。

白系ビートダウン

こちらも一定数の愛好家が存在し、メタゲーム上で話題に上る事は少ないもののイベントで時たま見かける印象です。純粋にビートダウンとして組まれる事もありますが、青を足してクロック・パーミッション風にしたり、複数の部族にサポートが存在するためこれらを軸に組まれる事も多く、他にも無限ライフコンボを搭載したもの…は厳密にはビートというよりループ・ジャンクションというコンボデッキですが、色々とバリエーションがあります。

基本的にはお互いのデッキの構造上こちらが圧倒的に有利ですが負け目もある程度存在し、特に≪ルーンの母≫は一度動き始めるとこちらの除去が機能しなくなるので即座に対処する必要があります。他にもプロテクション(赤)を持った生物や≪十字軍≫などタフネスを上げて来るエンチャント、勿論≪ハルマゲドン≫も、と打ち消さなければならないものも結構存在します。さらに言うとプロテクション持ちは先制攻撃やシャドーがあり、工廠で止めるのは難しいです。

無限ライフを搭載したものについてはまずコンボパーツとなる生物が焼きにくく、単体のうちに処理しなければうまく対処出来なくなってしまいます。緑を足して≪適者生存≫や≪生ける願い≫≪起源≫などを入れたものもあって厄介です。無限コンボの決め手に土地の起動型能力が用いられる場合もあるのでサイド後は≪もみ消し≫も入ります。

無限コンボ搭載型以外についてはサイド後は全体除去が入る程度であまり動かす部分は無く、初手から通して致命的なものも少ないので≪意志の力≫も減量対象になります。

青緑オース

≪ドルイドの誓い≫は互いの場の生物の数を平等化する2マナのエンチャントで、少ない方に毎ターン生物を1体供給しますが、そのプレイヤーの山札からランダムに選定して供給する形になるのでデッキ内の生物を強力な数体に絞れば必ずそれを場に出す事が出来ます。ミドルスクールではしばしばリアニメイトのサブプランに組み込まれる事がある他、これを主軸としたものも存在し、稀にイベントに持ち込まれます。

この青緑オースの場合は≪スパイクの飼育係≫を使い回しながら時折≪変異種≫を踏み倒す形でコントロール・パーミッション的な構築を取り、実際こちらとのマッチアップでは≪ドルイドの誓い≫が機能しないため完全にコントロールとして動いて来ます。≪樹上の村≫≪ミシュラの工廠≫の地上8枚体制の上、≪ドルイドの誓い≫の運用上やむなく入っている≪ガイアの祝福≫で有効牌を再利用され続け、≪狡猾な願い≫からトークン生成も飛んで来てかなりきつい展開になります。
運良く勝てた時は初採用の≪変異種≫≪タールルームの勇士ターンガース≫を入れて≪火薬樽≫や土地の攻防を一切無視し、互いに大型生物を叩き付け合う形になりました。

赤緑ビースト

旧枠時代にはビーストにも部族サポートが刷られていた事があり、これを軸に組まれたデッキが存在します。サポートカードの要請により赤緑のミッドレンジとして組まれます。こちらも特定の個人が頻繁に使用している類ですが、一応使用者が複数居る事も確認しています。

主なサポートカードとしては、ビーストの着地時にドローする≪ワイアウッドの野人≫、ビーストのコストを軽減しつつ再生も行う≪クローサの戦長≫、対象の生物をビーストと格闘させる土地の≪騒乱の崖地≫あたりが入ります。メインアタッカーには大体≪ブラストダーム≫≪貪欲なるベイロス≫、他にも数体の大型ビーストが採用される事でしょう。ミッドレンジ、ステロイドの形で動くのでマナクリーチャーや火力も採用されます。≪騒乱の崖地≫でチャンプブロックも許されず見るからに絶望的なマッチアップですが実際勝つ事は殆ど無理で、一度だけ勝てた事もありますが正直信じられません。確か≪黄塵地帯≫と火力で土地とマナクリーチャーを縛りつつ不確定カウンターを無理矢理通していた覚えがあります。

ドレイン系黒コントロール

≪ファイレクシアの闘技場≫≪ネクロポーテンス≫のいずれかをドローエンジンとし、これらによるライフロスをドレイン呪文で回収するコントロールで、白黒のアリーナドレインや黒単のネクロディスク等が存在します。

≪トーラックへの賛歌≫≪ジェラードの評決≫など手札破壊が重点的に取られ、採用生物は除去耐性のある≪ナントゥーコの影≫を除いて≪ファイレクシアの憤怒鬼≫≪惑乱の死霊≫などアドバンテージを取れるものに絞られます。アリーナドレインに関しては≪名誉回復≫による土地破壊も行います。私の周囲では一時期よく見かけましたが、現在ではたまに見る程度の印象です。

手札破壊やドレインが辛い所はあるものの、既に解説したようにドローエンジンの2種の弱点をクリティカルに突けるため、これらを通すかどうかの判断さえ出来ていればだいぶ有利な部類です。

ドネイトコンボ

≪Illusions of Grandeur≫は場に出た際に20点のライフを得られるエンチャントですが、この得られたライフは場を離れた際に失われ、また維持コストとして毎ターン累積するマナの支払いを課されます。このデメリットの部分を≪寄付≫で相手に押し付けるコンボを勝ち手段に据えたのがこのデッキで、Grandeurのライフゲインを≪ネクロポーテンス≫で手札に還元する青黒型と≪サファイアの大メダル≫を搭載した青赤型の2種を確認しています。頻度としてはたまに見かけるぐらいでしょうか。ちなみに大メダルが青黒型にはいるのかどうかはよく分かりません。

戦い方はGrandeurの扱いさえ分かっていれば基本的にスタイフルノートとほぼ同じですが、コンボパーツがやや重いためゲームレンジは長めで、コントロールミラーのような様相を呈する事も多くなります。また、サイドボードから≪変異種≫が複数入って来る事も多く注意が必要です。

一見20点のライフゲインが致命的に思えますが、結論から言うとGrandeurは必ず通します。コンボの成立にはこの上から≪寄付≫を撃って手札を合計2枚切る必要があるので既に有利が付き、≪寄付≫を通しさえしなければそのうち維持コストで動けなくなるのでこちらは構える必要が無くなり、工廠を全力で走らせに行く事が出来ます。維持コストの支払いをやめてライフロスをもみ消す事になりますが、次のコンボはまたGrandeurを出す所からやり直しになるので大した問題ではありません。また、着地時のライフゲインにスタックでGrandeurに≪赤霊破≫を当てるとライフロスが先に解決されて自爆します。≪寄付≫まで通した上でこちら側でライフロスをもみ消すのも有効だと聞いています。

サポートパーツについて、≪ネクロポーテンス≫に関してはGrandeur着地後に出されると手札差で≪寄付≫を消せなくなる可能性があるので手札の火力や打ち消しの枚数と相談つつ判断します。

青赤型に関しては私が当たった時は戦い方を理解していなかったため、あまり確かな事は言えませんが≪サファイアの大メダル≫はマナの不自由を弱点とするこの相手に大幅な有利を与えてしまうため消した方が良い可能性があります。ただし消して良い枚数には限度があるでしょう。

ステイシス

マジック黎明期から存在するロックデッキで、≪停滞≫でアンタップ・ステップの概念を破壊し、相互に動きを縛り合う中での勝利を目指します。≪停滞≫が置かれれば即勝利という訳ではなく、試合中にいきなり別のゲームが展開されるような動きになるので個人的にはマジックらしくて好きなのですが、一方やられる側は展開を大きく制限されゲームも間延びするので嫌っている人間も多いようです。

ミドルスクールでは相性の良い≪見捨てられた都市≫≪噴出≫≪目くらまし≫が存在するためこれらを軸に青単型が組まれ、勝ち手段に≪黒の万力≫による継続ダメージか≪根の迷路≫での完全ロックが入ります。少数の熱心な愛好家が握っている印象で、制限時間内で勝つのが難しいという制約もあってかイベントでの持ち込みは滅多に見られません。

☆ゲーム概要
ロックデッキ、青、という所からのんびりとした展開を連想するかも知れませんが、実際にはむしろ早期からこちらを縛りに行く動きになり、アグロの類として認識した方が良いでしょう。≪吠えたける鉱山≫で≪停滞≫の維持を確実にする動きの他、≪見捨てられた都市≫から2ターン目にいきなり≪停滞≫を仕掛けて来ます。

別のゲームを展開して来るとは言っても、こちらのデッキは構成上そのゲームへの参加権を持ちません。従って狙いはむしろ向こうのゲームを破壊する事になるでしょう。

私自身はこのマッチで1度も勝てた試しが無いのですが、原因は恐らく≪吠えたける鉱山≫を通し続けた事です。他にも手段があるとはいえ、≪停滞≫の維持の根幹を成しているため、これを消す事で≪見捨てられた都市≫に手札を食わせ続ける事が出来ます。とはいえこちらのドローソースが過剰な事は確かなので、サイド後は隙の多い≪行き詰まり≫か≪嘘か真か≫から少し削って枠を作る事になりそうです。
≪黒の万力≫は一度通すと固め引いたカウンターで窒息死する可能性があるのでなるべく消しますが、それ以外にも一見関係なさそうな所でカウンターを切って手札を減らす動きも視野に入ります。特に≪停滞≫下での≪噴出≫はピッチで島が戻る所自体は消せませんが、≪吠えたける鉱山≫が無い場合≪見捨てられた都市≫の運用で手札消費が切実な問題になるので消した方が良いかも知れません。少なくとも私が回していた際は都市で島を切らざるを得ず、そのうち土地が足りなくなる局面がありました。
☆サイドボード
サイドインするものは置物対策全てと≪赤霊破≫、無理にでも詰め込みます。

減らすものは既に言及したように≪行き詰まり≫や≪嘘か真か≫、後はソーサリーで大量にマナのかかる≪横揺れの地震≫も不要です。

自発的に手札を減らせる上、≪停滞≫下ではパワー3の生物と等価になるため≪稲妻≫類の価値は比較的高く、むしろ≪大闘技場≫のようなタップイン土地の方がサイドアウト候補になります。

アルーレン

お互いに3マナ以下の生物をインスタントタイミングで踏み倒せるようになる≪魔の魅惑≫から無限コンボを発生させるデッキで、主にレガシーのメタゲーム上に存在しているようです。ミドルスクール上にも存在していますが、ここ最近私の周囲ではほぼ全く見かけません。

少ない対戦経験から思い出せる事として、≪魔の魅惑≫を消すのは大前提として向こうもそのつもりで動いて来るので、カウンターを致死的な呪文に温存しつつ、小粒を並べるタイプの低速ビートダウンと戦う形になります。
唯一≪帝国の徴募兵≫が怪しく見えますが、工廠で止めながら≪火≫や全体除去で巻き込みつつサーチ先を対処すれば良いので基本的には通して問題なかった気がします。また、5色構造でマナ基盤がかなり痛々しいので焼き切りへの移行チャンスも多いです。

ファイアーズ

自軍生物に速攻を付与しつつ打点にも貢献する≪ヤヴィマヤの火≫を軸に≪ブラストダーム≫など相性の良い緑の大型生物で攻め立てる赤緑のミッドレンジで、ミドルスクールではこれに≪古の墳墓≫ら2マナ地形によるマナ加速も追加されるようです。海外の大会でよく見られるリストですが、私の周りでは参入当初に「対ビートダウンでは最強」と聞いた程度で今日という日までついぞ当たる事はありませんでした。

決して数の少なくない高打点高タフネスの生物が殴りかかって来るため、相性は絶望的でしょう。幸いにもコンボとパーミッションへの耐性の無さからメタ上での遭遇は免れているものの、仮に何かの間違いで上記コンボデッキの面々が駆逐された場合は恐らくこちらのデッキも一緒に死にます。滅びます。救いがあるとすればマナベースで、マナクリーチャーに頼って土地を20枚程度に抑えている場合があるため、ここを焼いていけばマナスクリューで時間を稼げる可能性があります。

カウンターバーン

≪稲妻≫≪火+氷≫などの本体火力を除去に据えた青赤のパーミッションです。マジック黎明期から存在し、現在ではモダンやレガシーなどで組まれる事が多いようです。ミドルスクールでは現在≪行き詰まり≫とミシュラランドを搭載し、ランドスティルに近い構造を取ったものが確認できます。メタゲーム上では熱心な愛好家が握っている程度で稀な部類ですが、所有者は複数存在し、異なるコミュニティに点在しているようです。
デッキ内容についてはこちらの記事が詳しいでしょう。

☆ゲーム概要
私の周囲に使用者が居ないのでよく分かりません。こっちがやってみたいぐらいです。

分かる範囲で考えるとランドスティル戦と似たような展開になりそうですが、お互い≪正義の命令≫が無い分土地による攻防と≪黄塵地帯≫の割り合いへの比重が比較的高くなる事でしょう。とはいえお互い単体除去が多く序盤は早々殴れないため、ランドスティルの時とは逆に長い長い睨み合いの後に≪嘘か真か≫≪予言の稲妻≫を中心とした本体火力の撃ち合いから始まり、殴り合いは最後になる事が多そうな気がします。マナベースの問題もあるので、先に基本地形を揃えた方が勝つゲームになる可能性もあります。

メイン戦はマッチアップの非対称性に期待できないため≪行き詰まり≫≪蓄積した知識≫の双方が機能しなくなりますが、お互いこれらを抱え込む事になるため、AKがハンドオーバーで墓地に落ちた瞬間が勝負の始まりとなり、AKの撃ち合いになるでしょう。インスタントタイミングでの攻防になるため、≪嘘か真か≫も終盤まで迂闊に撃てませんね。逆に手札がうまく調整できればAKの撃ち合いに付き合わず、有利に動けるかも知れません。


マッチアップ解説はここまでです。だいぶ長々と書いてしまいましたが、ここまで読んで下さった方はお付き合い頂きありがとうございます。

改築案、今後の展望

ここまでは私の「行き詰まりカウンターバーン」をはじめ、殆どノンクリーチャーのミシュラランド搭載型のものを前提に解説して来ました。しかし設計思想の項でも散々述べましたがこの構築には前提の段階から作成者のエゴとこだわりが強く介入しており、より突き詰めればまだまだ改良の余地は残されているように見えます。私自身、実際にリストを動かす事は少ないものの、これが完成形だと確信した訳ではありません。デッキ名にわざわざ「行き詰まり」と付けているのもそういう背景から、新機軸を促す意図を込めての所があります。

この記事の締めくくりとして、以降ではこのデッキの改築案やその方針として私の頭の中にあるものを紹介ていきます。

≪行き詰まり≫の棄却/弱点

この一週間で本記事の執筆を通して今まで以上に真剣に自分のデッキと向き合ってきた中、一つ気付いた事があります。アドバンテージを還元する手段が本体火力しか無く、対ビート戦の有利に繋がっていないのです。自分で書いたマッチアップ解説を見てみると、対エルフ戦が特にそうですが、構築もプレイングも後ろ向き過ぎるせいでゲームが過度に長期化し、折角大量に稼いだアドバンテージが徐々に風化していって最終的に五分五分以下の殴り合いに終始しているのが見て取れます。

単にこちらのプレイングが甘いだけの可能性も十分ありますが、よく見ると本体焼きと全体除去のために単除去は温存しろとか書いているくせに≪行き詰まり≫の運用上除去は逐次的にならざるを得ないともあり、そもそも構築の段階でも矛盾が発生していた訳です。

もっと言うと≪正義の命令≫が無いせいで≪行き詰まり≫を置けるタイミングがかなり限られていたのも根本にあるでしょう。≪行き詰まり≫型を続けるなら≪めった切り≫を入れた方が良い可能性もあります。

≪直観≫型

やるにも思いつくにも一番簡単な改築案で、≪行き詰まり≫を全て抜いて≪直観≫2枚と≪嘘か真か≫1枚に変え、サイカトグと同じ構成にします。≪直観≫が足りないようなら1枚だけ≪行き詰まり≫を残すのもありで、AKと一緒に持って来る事でデッキ内のAKを節約する動きが見込めます。

元々構築を始める段階からサイカトグのリストを参考に検討していた案ですが、≪意志の力≫を超える高額と扱いを習得する手間から採用を渋っており、これを用意できるようになった現在でもゲームプレイ上のリスクから中々試用に踏み込めない状態でした。

しかし前述の問題を考えると、条件を問わず即時的な大量ドローと火力の温存が可能になる分本体焼き切りも視野に入れやすく、本来の動きだけを見れば≪行き詰まり≫よりもデッキコンセプトに即していてずっと強い可能性があります。スレッショルドがメタの上位に居る関係上、まだまだ≪行き詰まり≫併用のどっちつかず型に頼る事も多いでしょうが、≪直観≫型を試す価値は大いにあります。私も1枚だけ持っているのでそのうち試したい所です。

工廠かカンスペか

これも何度も本記事で語っているように、合理的な目的も希薄なまま趣味で共存させた≪ミシュラの工廠≫と≪対抗呪文≫がマナベースに過度な負担をかけているため、この2つを天秤に掛ける事も視野に入ります。

この環境には≪対抗呪文≫を除いて低マナ域に碌なカウンターが無く、貴重な確定カウンターなので、これを減らす事は殆ど中~長期戦を諦める事を意味します。この択を取るなら≪禁止≫≪雲散霧消≫など3マナの確定カウンターも視野に入れて新しい配分を探すか、次項のような前のめりな構築にする事になるでしょう。また、ペインランドをかさ増しする必要も無くなるため≪蛮族のリング≫≪セファリッドの円形競技場≫のような特殊地形の採用も現実的になります。

工廠を諦める、もしくは減らすのは現在の構築をそのまま調整する形でも可能ですが、勝ち手段とブロック手段が減り、ランドスティル耐性も下がるので火力総量を増やすなど何かしらの工夫は必要になるでしょう。もしくはいっその事別ののクロックを入れてしまう事も考えられます。程度によってはこれも次項に合流する形になります。

アーキタイプの変更

そもそもレガシーや旧スタンダードのカウンターバーンにはミッドレンジやクロック・パーミッションに近い構成のものも多く、それに倣ってコンセプトから一気に変えてしまうのも手です。リーサルが早まり長期戦で無理に耐える必要が無くなれば≪対抗呪文≫も必須でなくなり、≪マナ漏出≫の4積みや≪記憶の欠落≫も視野に入ります。

入れる物の第一候補としては構えながら出しやすく除去耐性もある≪熱狂のイフリート≫ですが、これ単体ではクロックが細く、別デッキで使用していた方曰くテンポ戦略は取りにくいとの事です。≪渋面の溶岩使い≫もマッドネスなどに耐性が付く点でかなり良く、いっその事≪モグの狂信者≫などと共に多く積んでスライ風のクロック・パーミッションにするのもありです。また、≪鋼のゴーレム≫にも一考の価値があると考えています。

あまり本腰を入れて考えた事がある訳ではないので採用案はこの辺りに留めておきますが、少なくとも言える事として、打ち消しを取る以上本来バーン戦略とは噛み合いが悪いため、このような構築を取る際はあくまでビートダウンとして、バーン要素は補助程度に考えることになるでしょう。

マッドネス型

実現性はともかくとして≪癇癪≫の採用による≪稲妻≫8枚体制には前々から注目しており、コントロールの範疇では≪ボガーダンの金床≫≪強制≫あたりをドローエンジンにしたり、≪アクアミーバ≫を軸にビートダウンにするのも良いのではと考えています。コントロール型の方については対策に弱く、パララクス補充等がメインから≪浄化の印象≫を置いて来るのが気がかりではありますが。


くぅ疲

改築案として考えている物は大体挙げましたので、本記事はこの辺りで終わりとさせていただきます。

本記事を読んでこのデッキやフォーマットに興味を持っていただけた方や、既にこのデッキを手にしていて運用の参考もしくは反面教師になったという方がいらっしゃれば何よりです。
また、新しい構築を考えている方にはこの記事も足掛かりにして是非ご自身の手に馴染むものを作り上げていただけたらと思います。


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