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退職というカードの適切な切り方

退職というのは社員が持つ強力なカードだ。
社員には退職する権利があって、会社に対し1ヶ月以上前に退職の意思表示をしておくなど適切な手続きをしておけば法律上退職することが可能になる。
そして会社は辞めさせない、という手段が法律上取れない。
以前業務委託で一緒に仕事をしていた同僚がリファラル採用で委託先に社員として参画することになったのだが、その時に

社員になるとね、僕、辞めることができるようになるんですけどね。
そのことにみんな気付いていないんです。

と言っていて、思わず膝を叩いてしまった。
業務委託なら契約結んだら余程の理由がない限り、その期間はやらないといけないからな。

しかし会社って、社員を簡単に辞めさせられないのに社員は簡単に辞められるなんて雇用については不利なことだらけじゃんか、と思ってしまう。
ヤバいですね。

さてこの強力な退職カードだが、適切な使い方がある。

まず絶対にやってはいけないこと。
退職カードをチラつかせて、交渉に用いてはいけない。
退職カードをチラつかせた時点で周囲の反応はガラリと変わる。遺留されて留まったとしても、あいつはこのゲームを降りる気だ、みたいな感じになって表向きは普段と変わらないように見えても皆の心の中は大きく変わってしまっている。
妙によそよそしくなったり、変に優しくなったり、腫れ物に触るような態度になったりする人もいる。

なので気持ちが留まるか残るか半々くらいの時は、上司や同僚に悩みを打ち明けるくらいに留めておいて、その段階で色々な反応を探るのがベストで、退職の意向から遺留に向かう道は避けておいた方がいい。

同様に交渉材料に退職カードを使ってもいけない。望みを聞いてもらえなかったら退職する、みたいなやつ。
これも同様に、たとえそれで望みを聞いてもらったとしても以降は退職する気のやつ、という気持ちで扱われるようになる。

会社は「会社の仕事」というゲームから降りるつもりの人には優しくない。あくまで続ける気がある人達のためにある。
その企業がブラックだろうがホワイトだろうがそこは変わらない。なぜならこれは皆の心の内に潜む気持ちの話であって、悪意があるとかないとか、意図があるとかないとかに関係なく起こりうる話だからだ。

これは恋人が別れを切り出して、それをなんとか踏み止まらせても切り出す前の心持ちには戻れないのと同じかもしれない。

だから退職カードを切るときは潔く一気に切ろう。
私がいなくなったら職場が回らなくなる、なんて考えなくていい。貴方が参画する前からその職場は存在していたし、多少皆が苦労するだろうけどなんとか回る。
職場なんてそんなもんだ。
部門の長がいきなり辞めたってなんとかなるんだから大丈夫大丈夫。
遺留も1回飲みに連れてってもらえれば十分だろう。

これまで幾多の同僚を見送ってきて、自分も同じように何度となく退職してきて、いろいろな光景を見てきた。
その中でああこの退職のやり方はよくないなと感じるものがあったので季節柄noteに書くことにした。

では良き退職を。

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