思ったことを書くのは難しい

というタイトルを見て何を言っているんだコイツは?と思う読者が多いかもしれない。
そんなこと小学生でもできるだろ!という反論が容易に予想される。
だが、それは小学生だからできるのかもしれない。

自分は数学がずっと得意だったし、好きである。
なぜかと言うと、客観的に計算や論証することが心地良いからである。
一方で国語は中学生ぐらいまでは苦手だったが、高校生ぐらいから得意になった。
なぜなら、中学生ぐらいまでは文章を読んで思ったことを書き散らしてバツをもらっていたが、高校生ぐらいからは文章を読んで問いに対して客観的に答えることを覚えたからである。

つまり、数学にしろ国語にしろ与えられた題材に対して客観的に答えるということが教育の中で是とされているのである。
しかし、そのレベルを超えると自分の思ったことを書くことが再び大事になってくる。
そのことに気付いたのは大学、大学院のレベルを超えて数学をするには、自分の思ったことを数学の論理を用いて表現することが必要だと感じたからだ。

抽象的な数学の論理構造に慣れ親しみ、そこで習熟したものを用いて思ったことを表現するのだ。
これは本当に難しいことである。
自分のアイデアを客観的に疑いようのない論証を用いて表現するというのは、与えられたものを論証および計算することとは根本的に異なる。

このことに気付いたとき、文章を書くことにも同様のことが言えるとわかった。
何かしら与えられた課題や仕事についての文章についてはそれなりに書けるものの、自分が思ったことを書くのは非常に難しい。
なんとなくモヤモヤとした考えがあったとしても、それを適切に言語化し、さらにどのような文書構造で書けば良いのかが大変である。
さらに文章として読んでて心地良いか等々。

このようなことを繰り返しているうちに、ついには小学生のように自由に文章が書けなくなってしまったのである…。

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