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7/27「バイトか、フェスか。」 〈バイト編〉

▶️ PLAY


「無理。もし休みたいならここを辞めなさい。働くってそういうことよ」

そう言われた7月某日、
僕は選択を迫られていました。

フェスか。バイトか。
この時も、今も、夏の僕は、迷ってばかりです。


⏮ PLAY BACK



時は6月末に遡ります。
僕は渋谷の飲食店で働いているんですけど、職場の人間関係があまり良くありません。
僕の職場は雑居ビルを3フロア貸し切ってやっているのですが、そのフロアごとにやり方が違い、お客さんの対応一つとっても、考え方が分かれています。そのため大きな喧嘩とかはありませんが、毎日うっすら気まずい雰囲気が流れています。
ちなみに僕は、そんな中でどのフロアの人たちともそれなりに上手くやっていると思います。(多分ね)
だからこそ、いろんな人の愚痴を嫌と言うほど聞くこととなり、愚痴ならまだマシですが、悪口もたくさんあって、そう言ったネガティブな言葉ばかりを聞いていると、胸の中に澱み?みたいのができてしまい、なんというか、疲れていました。

そうだ。
バイト変えよ。

そう思い立った僕は、新しい働き口を探し始めました。
以前から僕は「自分が住んでいる街で働きたいな」と思っていて、そんな時、よく通っている喫茶店でちょうど人材を探していると聞きつけ、僕は店長に直談判しました。
その結果、お試し採用という形で働かせてもらえることになりました。

新しい生活が始まる。

そう思っていた僕は、新しい職場で働き始めるまで、不安とワクワクでずっと心が落ち着かず、前日は一睡もできませんでした。遠足かよって話ですが、それだけ僕は期待を寄せていたのかもしれません。

迎えた初出勤、早く着いてしまい、近くの公園で暇を潰したあと僕は店に向かい、働き始めました。
新しい人間関係、新しい業務とにかくやることなすこと新しいづくめで当然慣れない僕は店長に怒られたりしながら目まぐるしく時間が過ぎていきました。

店長は厳しい方でした。それでもただ怒っているのではなく、そこには理由があり、お客さんへのサービス精神やプロフェッショナルだからこそ注意をしてるんだなというのはすぐにわかり、叱られてはいますが、それになんとか応えようと僕は思っていました。

だからこそ、1ヶ月前には休暇を申請しないと思い、僕は店長に言いました。
その時に言われたのが冒頭の言葉です。
衝撃的で、何もいえなかったのを覚えています。

とはいえ、僕自身もうっすらとそうなるかもしれないなという、予感があり、この時はバイトか、フェスかでいうと、バイトに舵を切ろうと思っていました。
一緒に行く友人たちにも、自分が手動で誘ったにも関わらず申し訳ないと思いつつも、断ろうと思っていました。


⏭ PLAY FORWARD


翌週、職場へ向かうと少しだけ業務に慣れてきて、少しだけ自分の居場所ができた感覚がありました。そう思った時になんとなく僕は店長が言った「働くって、そういうこと」の「そういうこと」の一端に触れられた気がしました。
すると、僕は店長から呼び出しを受けました。

僕は、嫌な予感がしました。

そこで僕は、諭されます。

「キミはね、すごく素直だし、言われたこともやろうと努力できる。
 でもね、接客業には向いてないよ」

接客業に向いてない。

その一言は、店長が思っている何倍も僕にとって重い言葉でした。なぜなら僕は就職してからずっと接客業しかやってきていなかったからです。

僕は店長に対して、「すみません」とか「そんなふうに思ったことなかったので」とか「今まで一度も言われたことなかったので、勝手にやれてると思っていました」とか言いながら、ヘラヘラと平謝りしていたと思います。

だっさいすね。
でも、そうするしかなかった。

それは、店長の言葉を否定できなかったからです。

僕は確かに人と接する時、緊張してしまうし、多くの人間がいると誰を優先したらいいのかわからなくなり、頭も痛くなります。
人間と接するのが、怖い。それは僕の中で今も、ずっとあります。

だからこそ、慣れたかった。乗り越えたかった。
そうすればもっと自分は、社会の役に立つ人間になれる。

そう思って、頑張ってきたし、苦手なら苦手なりの処世術を身につけようと思い、どうにかこうにかやってきました。そのおかげで、学生時代に比べれば、マシになってきたなという自負がありました。

なんとか、こうやって生きていこう。

そんな頼りないながら、頼りにしていた柱をポッキリと折られた気分になってしまい、僕はどうしようもなくなりました。

ちなみに、その直後のポスト(旧ツイート)がこちらです。


もう、僕、人間やめて畜生になる🐯

と思い、その日僕は、中島敦の「山月記」をAmazonで購入しました。
(この日の出来事を思い出すと悲しくなるので、ふざけさせてください)

「YOU ARE FIRE.」と一言、宣告されるだけならまだダメージは浅いですが、店長は僕を諭すように更に、語りかけてきます。

「キミのいいところは、もっと違う場所で生かしたほうがいい」

2度目になりますが、店長はただ怒りたいだけの人ではありません。向いてないという一言の前には、僕の良いところをいくつか教えてくださいました。
だからこそ、本心で言っているということがわかり、とにかく辛かったです。

お祈りされる就活生ってこういう気持ちなんですね。(しらんけど)

店長の一言はよく沁み、そして傷は膿みはじめ、もともとネガティブ思考の僕は、自分で自分を攻撃するようになりました。何をしても手付かずみたいな状況が続きました。

その時はメタルやスラッシュ、ラウドロックばかりを聴きあさる日々で、リンキン・パークが一番捗ったと思います。あと、宙船も聴いていました。お前のオールを任せるなってやつです。

そして、再び浮上する二つの選択肢。

「フェスか、バイトか。」

そう思った時、僕はまだ友人たちに断りのLINEを入れてませんでした。
今、考えてみると、それはそういうことだったんだと、思います。

後日、店長に電話をして、僕はバイトを辞めました。

僕は今年、29歳になります。もう30歳目前です。

あまりこの言葉を使いたくありませんが「普通は」もう結婚して、定職があって、そろそろマイホーム建てようかみたいな歳です。
僕の親友は、もうそんな感じで、最近は資産をどう増やすかとかちゃんと考えていて、スゲェとしか言葉が出なくて、幸せになってくれという気持ちと、とにかく情けないという気持ちがせめぎ合って、しんどいです。

「フェスか。バイトか。」つまり、「余暇か。仕事か。」

こんなことを天秤にかけている場合の歳ではないですよね。わかってます。
多分、この日記は今後の僕にとって、デジタルタトゥーになるでしょうね。(もはや、笑うしかねぇ)

それでも、僕はたった数日勤めただけのバイト先をこってり悩んだ末、あっさりと辞めた話をここに記しておこうと思います。

ということで、お次は〈フェス編〉です。


⏯ STOP


僕は虎になりたいです。いや、チーターでもいいかもしれません。
とにかく、自分にとって、他人にとって、嘘のない存在になりたい。

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