ChatGPTのマーケティング活用:ペルソナの導出と活用
こんにちは。
今日はマーケティングにおける戦略策定の第一歩、ペルソナの導出に挑戦します。
ペルソナとは
マーケティング(広告やPRに限らず、商品戦略、販促戦略など広義で)やUXデザインにおいては、まずは対象とする生活者・ユーザーのことを細かく理解する必要があります。
そのために作成するのがペルソナです。戦略やメッセージを考える出発点として、一人の人物をできるだけ具体的に想像し、共有し、その人物に向けて最適な商品・コミュニケーション戦略をしていくという手法です。
どのような手順で進めるか
通常であれば、ユーザーへのアンケートや個別インタビューを通して具体化する、市場調査やデータ分析を用いて定量的に把握する、などのアプローチをとります。後者の場合は、以下のプロセスが一般的です。
今回は上記のプロセスのうちいくつかを、ChatGPTで代替していきます。
今回は、カメラメーカーをクライアントと想定し、使っているメーカーによってペルソナをつくる作業を想定します。
1. 調査と分析
まずは、「どのブランドを使っている人が、どういう傾向があるか?」ということを、調査することなく設計できるかを検証します。
ChatGPTの弱点に、固有名詞に弱いという点があります。そもそも学習データが2021年で止まっているということ、個別の製品に関する情報がマーケティングで必要なレベル(どの商品のどういう機能が何で使われているのか、など)に達していないケースもあります。
いかんせん、マーケティング実務においては当然、個別の商品やブランドごとの、利用しているユーザーの違いを見極めていくことが求められます。なので、まずはChatGPTが、実際にどのレベルまでブランドごとの差異を理解してのか検討します。
いったん、固有名詞の中でもかなり一般的な、windowsユーザーとmacユーザーの比較をしてみます。
なんとなくできていそうな気がします。
次は家電メーカーにします。
このあたりも、なんとなくできていそうです。
次はビールの銘柄です。消費財の場合はどうでしょうか。
消費財は結構難しい(ネット上にソースがなさそう)なのですが、どうにか製品に関する情報をつなぎあわせてできていそうなので、少し突っ込んでみます。
うん。ここは正直なんとでも言えるなということですが、大事なのは何かしら仮説を提示してくれるということです。
ただ少し気になったのは、いずれもおそらくメーカー側から発信されている情報に基づいて、ユーザー像が導出されているという点でした。特にビールなど比較が難しいコンシューマー製品で顕著です。
例えばスマートフォンなどは、メーカー側が発信している情報では、多くの機種で「サクサク動く高性能なチップ」をうたっています。しかし実際はそこには「(日常使いで不便ではない程度の)高性能」から「(重たいゲームまでスムーズにできる)高性能」まで大きな差異があります。この場合、前者を使用している人は、必ずしも一般的な意味での「高性能」に惹かれているわけではありません。メーカー側の情報とユーザーのニーズは合致しないことがほとんどです。
より生々しいペルソナを作るためには、ユーザーのレビューや評価に重きをおいた言語モデルが必要かもしれません。
2. ペルソナの定義
課題はありつつ、使用ブランドによるイメージの違いがあることを把握したので、実際の人物像を作っていきます。
シンプルに、「このブランドを使っている人についてイメージしてください」でもいいのですが、少し性格を抽象化しようと思います。
ここでは以下のようにやってみました。題材としてはカメラメーカーの好みによる性格の方向性の違いを見ます。
指標については、16 personalitiesで有名な、MBTI診断という診断における4つの軸を参考にしました。これで人物の性格を抽象化できるはずです。
また、好きなブランド(ここではカメラメーカー)のところに、あえて「〇〇や〇〇ではない」と記載しています。これを記載しないと、ブランドごとの差異より、「カメラ好き」という属性が強く出てしまいます。
やってみると、うまくできました。
ほかのメーカーでも試します。
説得力があるような、ないような、です。
少し極端な数値が出るかと思って、ライカでやってみます。
あー、なるほどね。という感じです。
ブランドからの抽象化もできそうです。
3. ペルソナの洗練と詳細化
では、ここまでの情報をふくらませて、生っぽい人物像を練り上げていきます。
使用したプロンプトは以下です。
「人物」の部分は私が入力し、「性格」の部分はChatGPTが出力したものになります。ここからペルソナを膨らませられるかやってみます。
それっぽい人、佐藤昌幸さんが爆誕しました。
デザイン会社といっても、先端バリバリのとがった会社ではなく、比較的小規模で堅実なデザイン会社が想像できます。
一応そのイメージがあっているか聞いてみました。
あっているっぽいです。すごい。
一点だけ、デザイン会社勤務なのにWindowsユーザーというのが解せませんが、ほぼ実用レベルと言えるのではないでしょうか。
4. ペルソナの活用
というわけで、NikonユーザーでなぜかWindowsユーザーのデザイン会社の部長、佐藤さんのペルソナができました。
最後は活用ということで、ChatGPTに佐藤さんになり切ってもらってインタビューをしてみます。
この手のやつはいくらでもありますね。
それっぽいですねー! 大学時代ということは30年前でしょうか。それっぽい。
少しナーバスな質問を投げかけてみます。
ほんとかよ! 見栄をはってきましたね。
より具体的な質問をしてみます。
現実的だな……
使用しているカメラの型番を聞いてみました。
ちょっと古いですね(D750は2014年発売)。年間20~30万円使っているのであれば、どこかで買い替えるタイミングがあってもよかったかなと思います。やはり固有名詞に弱いというのはChatGPTのマーケティング活用上での大きな弱点のようです。
最後に、Bing Image Creatorに、佐藤さんの見た目を描いてもらいました。
なんだろう、完璧です。
でも佐藤さん、ほんとに、カメラ趣味は家族に受け入れられてるんですか?
まとめ
どうしても製品の詳細や、細かいところのリアリティを出すことはできませんでしたが、以下のプロセスはChatGPTでできそうでした。
ある製品・ブランドユーザーの性格的傾向を仮定する
そのユーザー像に基づいてペルソナを膨らませる
そのペルソナに簡単なインタビューをする
もちろん実際のユーザーインタビューや、実データに基づく分析のほうが精度は高いと言えますが、逆にそういった情報をこのプロセスにうまく入れ込んでいくことで、より素早く、正確なペルソナの策定ができそうです。
これからのマーケティングにおいて、一般的な事前分析となりそうです。
追記
最後のインタビューのときに、こういった口調に対する指示を入れました。
やりとりが生々しくなるのでお勧めです。
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